さとしとさ

地方(愛知県)で商業映像の企画構成演出をやってます。技術や感性の加速にしがみつきながらもこの先どうなっちゃうんだろうと不安ばかり。で、思うんです。あの時は正しいと思ってやったことも時が経つとあれ?と。しょうがない。人間は変化する生き物だから。「その時」を記録していきます

さとしとさ

地方(愛知県)で商業映像の企画構成演出をやってます。技術や感性の加速にしがみつきながらもこの先どうなっちゃうんだろうと不安ばかり。で、思うんです。あの時は正しいと思ってやったことも時が経つとあれ?と。しょうがない。人間は変化する生き物だから。「その時」を記録していきます

マガジン

  • 本と映画と、すてきないくつか

    今日も心をとらえて離さない本と映画と、それからいくつかのステキなものたち

  • 臆病で控えめな自己主張 はじさらしな日記

    今日もまた、あんなことこんなことが気になって。あんまり深くは考えずさらっとひと息ついてます。妄想半分の控えめ自己主張日記。文章トレーニング兼ねてます。

最近の記事

使徒使徒死都死都雨が降る〜筒井康隆「敵」

東京国際映画祭で東京グランプリに輝いた「敵」(吉田大八監督/筒井康隆原作)。 ちょっと気になって、原作を読んでみました。 主人公は、妻に先立たれた一人暮らしの元大学教授。75歳。 各章のタイトルが、朝食、郵便物、預貯金、買物、野菜、親族、風呂、映画、老臭などとなっていて、例えば、朝食は何をどのようにして食べる、物置には何が仕舞ってある、退職金や年金を合計した預貯金がいくらあり、あと何年でなくなる、とか、それぞれが一章まるごと、ディテール豊かに、まるでカタログのように綴ら

    • 近所の事件を何も知らない

      数ヶ月前、家の近所で事件が起きました。 早朝からパトカーや鑑識、テレビ局や新聞の報道が集まり、いったい何事!と。 あとから分かったのですが、どうやら3箇所刃物で刺した跡のある女性が路上で血まみれになって倒れているのが発見された、とのこと。 女性は救急車搬送中にお亡くなりになりました。自傷の末だったとか。 いまこうして顛末を書きましたが、詳細を知ったのはその後のニュースや新聞記事からで、騒ぎの最中数時間はなにが起きたのか分からず、まったくの霧の中状態でした。 この時思っ

      • 竹やぶ焼けた、を文学に進化させた満島ひかりのクリエイティブ〜「軽いノリノリのイルカ」

        お時間あるときで結構です、けっしてお手間はとらせません。 写真にある文章を下から読んでみてください。 竹やぶ焼けた 新聞紙 が、ここまでクリエイティブに拡張するもんだ、と 満島ひかりの恐るべき才能に震えています。 *どこか一文に回分混ぜようと試みましたが才能及ばず力尽きました*

        • 翼をください〜「虎に翼」が終わってしまった

          せっかく翼という勢いを得るチャンスだったのに、数学が受験科目にない、という消極的な理由だけで法学部を選んだ意思持たぬン十年前の自分が情けない。 そもそも虎でさえもなかったから、生半可な法の知識だけでは翼を羽ばたかせる事もできず、未だ地べたを這いずり回るだけの日々です。 そんな後悔が身にしみる9月27日。「虎に翼」が終わってしまった。 この半年間の、小さくも大きくも散りばめられてきたいくつものエピソードと言葉が、100年という時の隔たりがあるとはいえ、どれだけ現代の、いくつ

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          「かしこくて勇気あるこども」を願うことは自然なことなのか親のエゴなのか

          生まれてくる子どもに望むこととして、元気で健康を、は当たり前として、こんなことも願うかもしれません。 「かしこくて勇気ある子ども」になって欲しいと。 親にとってのそんな願いが、あるきっかけで不安の種となり、日々のなかで、大きく膨らみ、苦しいほど心を締めつけていく。 「かしこくて勇気ある子ども」は、子を持つことへのためらいを描いたマンガです。 主人公夫婦は、妊娠がわかった日から児童書や子育て本を読み、ベビーベッドやベビーカーを買い揃え、子のいる生活に向けて夢をひとつひと

          「かしこくて勇気あるこども」を願うことは自然なことなのか親のエゴなのか

          戦後を記録し続けた報道写真家。小手鞠るい「アップソング」の力強さに震える

          新宿駅西口での反戦集会、あさま山荘事件、三菱重工爆破事件、御巣鷹山日航機墜落事故、ベルリンの壁崩壊、チェチェン戦争、9.11同時多発テロなど、戦後から21世紀にかけて起きた、これらすべての「現場」を記録した日本人女性がいた。 偶然居合わせた場合もあれば、自らの意思で現場へと足を運んだ場合もある。 そのどんな時も、彼女の手には一台のカメラがあった。 報道写真家の最低必要条件は、その場所に、そのタイミングで、いること。 どんなに優れた撮影技術を持っていても、その場にいなければ

          戦後を記録し続けた報道写真家。小手鞠るい「アップソング」の力強さに震える

          渋谷のきのこ雲もいいけれど。小手鞠るい「ある晴れた夏の朝」を読んで

          79年前の、ある晴れた夏の朝の上空に、忽然と湧き上がった人工の雲。 そのキノコ雲を渋谷の街に映し出すスマホAR が出たとか。 原爆の恐怖を知ってもらうため、というけれど、ビジュアル的な巨大さや覆いかぶさる威圧感だけで、その脅威と恐怖はどれだけの持続力と浸透力があるのか、どうも疑問です。 なんたって、渋谷、ですよ。刺激物に満ちている渋谷ですよ。 一瞬の体験は、スクランブル交差点を渡り切る間に、またすぐ他のなにかに上書きされて、するっと蒸発してしまうんじゃないかな。 アメリ

          渋谷のきのこ雲もいいけれど。小手鞠るい「ある晴れた夏の朝」を読んで

          「虎に翼」第18週のあとに、「マルモイことばあつめ」を。

          今週の「虎に翼」の時代設定は、昭和27年(1952年)。 朝鮮語の誤訳、という問題に絡めて、諦めざるを得ない存在がいる、ということに触れています。 知識を持って正しく「言葉」を理解できることの重要性を描いていました。 舞台となった1952年のずっと前の日本統治下の朝鮮では、朝鮮語を使うことが規制され、日常の言葉も名前も日本語(式)に変えざるを得ませんでした。そんななか、このままでは朝鮮語が消えてしまうと、朝鮮語の辞典を作成しようという運動が密かに行われていました。 そんな

          「虎に翼」第18週のあとに、「マルモイことばあつめ」を。

          代わりに読んでくれて、ありがとうございます。

          「虎に翼」には登場人物がさりげなく本を読む姿がよく出てくる。 書名がはっきりと映し出されることはないけれど、 貴族のお付きの玉ちゃんは、「アンクル・トムの小屋」 後に教師となる寅子の弟・直明は、アドラー「問題児の心理」 書記官の高瀬は、ツルゲーネフなんかを読んでいる。 その人がその本を選ぶ理由は必ずあるはずで、しかもどのタイミングでその本と接しているかで、その人が抱えている問題や意識を想像することができる。 書名映さないからなんだっていいや、じゃ全然なく、その本である意

          代わりに読んでくれて、ありがとうございます。

          2024.7.11[たかだかさかざか問題]

          「た」だと思っていたら「だ」だった。 「ざ」だと思っていたら「さ」だった。 選挙なんてカンケーないとか言う18歳未満にも、もれなく襲いかかる、「た」か「だ」か「さ」か「ざ」か?の「たかだかさかざか問題」 全国の福田さん原田さん高田さん山崎さん、あなたはどちらですか。 メンドくさいでしょ、自己紹介や名刺交換の時、「た」や「さ」を強調するのは。 紹介を受けたほうは、「だ、じゃなくて、た、なんですね」とか言って納得するんですが、いい加減なもので次会ったときはするっとまた濁

          2024.7.11[たかだかさかざか問題]

          おじさんを震わせるハニの「青い珊瑚礁」

          大好きで大切だったいくつかをクッキーの空き缶に詰め込んで 校庭の隅っこに埋めたんだけど、いったいなに入れたんだっけ、 と忘れちゃっていて、  でもある日、  どこかの誰かが親切にも掘り起こしてくれて、  でもって、目の前に突然現れて、  ほら、  と蓋を開けて差し出された気分でございます。 そして今、好きなものを好きと素直に言えずに山で遭難した「あいつ」のために、「青い珊瑚礁」を歌う、「ラブレター」(岩井俊二19995年)での豊川悦司の顔を思い浮かべてしまう、 そんなわ

          おじさんを震わせるハニの「青い珊瑚礁」

          映画を見る前にもう一度マンガの方を。「ルックバック」

          藤本タツキ「ルックバック」 このマンガの読み方を、「倍速」と絡めてみる。 1回目: マンガなので、大きなコマを中心に、ネーム優先で、倍速とまではいかないけれど、1.5倍速ぐらいの感じでぱらぱらと読んでみる。 うん? もしも〜だったら?のアナザーワールドを描いた作品なのか? でもなんかそれだけじゃないような…。 2回目: とりあえず読んだ、で本棚にしまってしまうにはなんか重要なものを見逃したような、もったいないような気がして、今度は一倍速でじっくりと読み返してみる。 二人の

          映画を見る前にもう一度マンガの方を。「ルックバック」

          「マルホランド・ドライブ」制作日誌

          *月*日 第一回メインスタッフ・キャスト合同打ち合わせ。  予想通り中味について多くの疑問質問が飛び交う。 特に今回始めてキャスティングしたナオミ・ワッツとローラ・エレナ・ハリングからが多かった。  私たちは二役なんですか、それとも全くの別人な んですか。 前半の世界と後半の世界はリンクして いるんですか等々。 予想通りである。 しかし私はその種の疑問質問に対しては次のように応えるようにしている。  感じたままに演じろ、と。 なんという都合の良い言葉だ。自分自身説

          「マルホランド・ドライブ」制作日誌

          聴くものを読み。観るものを聴く。「蜜蜂と遠雷」から聴こえてくるもの

          役者の天才とその演技を文章で表現した「チョコレートコスモス」、そしてこの、天才たちの演奏を文章で描き分けた「蜂蜜と遠雷」 恩田陸という人は天才を描く天才ですね。 この小説、ただ数日間のコンクールに出場する数名の演奏者とその演奏を書いただけのシンプルなストーリー。 実はまだ読み終わっておらず途中なので、もしかして違うかもしれませんが、おそらくライバルの戦い、恋愛への発展、とんでもない謎、なんてものは今後出てこなさそうです。 なのになぜ、ぐいぐい引き込まれていくのか。 電車

          聴くものを読み。観るものを聴く。「蜜蜂と遠雷」から聴こえてくるもの

          その横顔が好き 2024年6月20日

          かつてリンゴスターは、「ベートーベンについてどう思いますか?」と聞かれ、こう答えた。 「いいね、とくに歌詞がいい」 そして私は、 「富士山についてどう思いますか?」と聞かれたら、こう答える。 「いいね、とくにその横顔が」

          その横顔が好き 2024年6月20日

          厚く生きる、と書いて厚生年金とよむ2024年6月19日

          会社員でなくなってまもなく30年。てことはフリーランスになって30年。 いま会社ってどんな仕組みで動いているんだ。 あの頃と比べて 自由になっているのか 窮屈になっているのか 便利になっているのか 快適になっているのか 働きやすくなっているのか 人間関係の煩わしさから離れてホッとしている反面、ひとつだけ、手放して後悔しているものは、なんといっても厚生年金。 会社員の唯一といってもいいメリットは、厚生年金だと痛感している今日このごろです。

          厚く生きる、と書いて厚生年金とよむ2024年6月19日