岐阜市の公教育が面白くなりそう。
岐阜市公教育検討会議💡
https://www.city.gifu.lg.jp/36509.htm
面白いです。
柿谷正期先生が委員として入られていて、妹尾昌俊さんなどのお名前も。
とりわけ、苫野一徳さんが招聘された回の会議録がとても面白かった。
↓
<令和元年度 第2回 岐阜市公教育検討会議 会議録>
https://www.city.gifu.lg.jp/secure/43419/2%20kaigiroku.pdf
~以下、一部抜粋~
○柿谷委員
宿題についてのコメントを短く。宿題は勉強嫌いの子どもをつくるという調査を行った人がいます。教育者のアルフィ・コーンについて、苫野先生も著作に書かれていますが、この方は、宿題は勉強嫌いの子をつくる、もし宿題を出すのなら個別に出すとか、本を沢山読めるようにするとか、学校の繰り返しにならない宿題にするとか、家庭でテレビを見て話し合い報告するなど親が関わるようにしたほうがいいと言っています。日本の、宿題を出すのが普通だと思う考え方を変えていく必要があると思うのです。私も、アルフィ・コーンが言うとおり、宿題は勉強嫌いの子をつくると思います。勉強ができる子も宿題は好きでないと言われます。苫野先生が著作の中でサドベリー学園に触れておられました。子どもが1年間釣りばかりやっていて、親が心配して学校に相談したら、先生は、釣りが1年できるなんてすごいですよ、と言い、それが何年も続いた後、別のことに取り組み始めたという話でした。誰もが何かに興味を持っているはずですよね。自由ということを先生が言われたのですけれども、自由も大切ですが、他に大事なものもあるのではないかというのが私の考え方です。愛、所属の欲求。場合によっては自由よりも愛、所属の欲求のほうが重要な場面があるのかなと感じました。
○苫野准教授
哲学の概念の中では、それらは自由に含まれますね。
○加藤会長
妹尾委員、いかがでしょうか。
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こんな感じで続きますが、苫野さんの哲学や教育学の話も、濃く話されていますし、現在の国内外の先進的な教育について、2時間半の会議にこんなに詰め込めるんだな!と驚くほどに、いろんな視点が網羅された内容。
哲学での自由という概念、心理学での自由の概念とは、かなり違うのがわかったのは新鮮でした。抽象的な単語を使う議論は前提を共有しておく必要があって、難しいですね。
(合理主義の私の今の考えとしては、結局子どものためになるのかどうかが一番なので、哲学での自由の概念の議論とかはどっちでもいい。)
昨年から何度も開催されていて、全てを説明しきれませんので、詳しく知りたい方は直接読んで頂くとして。
【第2回会議録から自分的メモ】
●軽井沢風越学園。大量の本を置き、インターネットにも自由にアクセスできる。勿論1人1台タブレット。
●探究の類型。1つ目が、課題解決型プロジェクト。2つ目が知的発見型プロジェクト。3つ目は、創造型プロジェクト、物を作るような取り組み。
●ハイ・テック・ハイ。アメリカ、貧困層が半数を占める有名な高校。探究をカリキュラムの中核としテスト勉強は一切ないが、98%の大学進学率。
ドキュメンタリー映画『Most Likely To Succeed』成功に一番近い教育とは
●オランダのイエナプラン教育、3学年の異年齢学級
●小学校の教科担任制は大変少ないが、白川では教科担任制を採用。岐阜県では先生の8割が小・中両校種の免許を持っているからできる。しかも、岐阜県の教員異動方針は、初任から3番目までの勤務校で小・中両校種を経験させることとなっている。
●学習指導要領に関して。学年縛り、国の言う「個別最適化」の観点からもナンセンス。標準授業時数についても。
●算数、数学について無学年制、9年間を27程度のユニットに分ける、マスタリー・ラーニングの手法
●総合学習のメッカとして非常に有名な長野県の伊那市立伊那小学校。低学年は生活科だけでカリキュラムを作っていくという、恐るべき学校。(学年部屋があって、そこで学年の先生たちが子どもたちの探究活動を支える。徹底的な対話。総合学習がカリキュラムの中核。)
●教育社会学、探究型カリキュラムにすると更に格差が広がるのではないかということに関して2つの研究
⇒1つ目、今までの画一化された、子どもたちが興味を持てないカリキュラムを勉強させていくと格差が広がるという研究
⇒2つ目、先生の統制をなくして探究カリキュラムを中核にすると、家庭の力が大きく影響するので格差が広がる懸念。全くデータがなく憶測。
だが、入試などの選抜では必ず格差が出る。経験格差。家庭での体験が多い子どもが有利になるのは問題。学校が機会を保障する必要があるという事。
●ティーチング・プロセスからラーニング・プロセスへ。教師は、教えるプロから、学ぶことについてのプロフェッショナルへ。
●ただ、ティーチングとラーニングの二項対立ではない。イエナプランは個別化・協同化・プロジェクト化の融合を成し遂げている例だが、ティーチング、インストラクションの時間がある。10分や15分、ピンポイントで大事なことを必要に応じて教えることができる。この力が先生に求められている。
●先生に探究する力を付けることについて。教員が集まってもできない。教員が新しいカリキュラムを作ろうと思っても、所詮、教員免許を持っている人だけでデザインするので限度がある。
●ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」
●フィードバックをする前に、自己評価を促すときを。
●麹町中学校での宿題・定期テストの全廃
●楽しむことを沢山やらないで「探求せよ」と言っても無理
●長野県の佐久穂町にある日本初のイエナプランスクールの校長先生が以前勤務されていた公立学校での実践
●宿題は勉強嫌いの子どもをつくる。教育者のアルフィ・コーンについて
トピックの羅列でも濃くなってしまったのですが、うなづく内容がたっぷりです。
わからない単語がある方も、それをググって調べてみてください。
岐阜市についてまず、すごいのが、この人選をなさった方がいること。
そしてちゃんと予算がついていること。
まともな議論がされている事。
岐阜市の方々が、これをどう形にされていくのか。
見ものですね!
「麒麟が来る」を観る目にも熱が入ります!(笑)
(化石と言われる宮城県・仙台市の教育委員会、行政においても、このような議論がされる日が、早く来てほしいものです…。)
そして奇しくも、文科省からはICT教育を進めるようにという説明会が昨日LIVE配信されました。
【文科省のLIVE配信】
2020年5月11日 学校の情報環境整備に関する説明会【LIVE配信】
あまりにも現場が動かないからでしょうね。
指示がないと動けない。勝手に忖度し、公平性の名前で逃げている。
各自治体、教育委員会、学校教育の現場の皆さん。
「ICTを使おうとしない自治体さんに
これからは説明責任が生じてきます。」
と、文部科学省が発信していますよ。
我が家の地域では、いまだオンラインの「オ」の字も、子どもの学校からは出てこず、相変わらず時間割表とたくさんの宿題プリントが配られるのみ。
一般社会でも、一気にテレワークが進みました。
本当に、日本の公教育はかなり遅れています。
今までも、教育後進国だったと思いますが、それにも気づいていない。
現場の皆さんに早く、この肌感覚を持ってほしいです。