見出し画像

根をさがす。

午後、自宅のベランダに出た。文字では伝わらないのが悔しいけど、とにかく風が気持ちよくて、太陽が眩しかった。春だな、と思った。いつも同じ場所で、同じ机で、何かをするのもいいけれど、ちょっと気分を変えたい時、なんか疲れているなという時は、いつもと違う行動を起こしたくなる。 特に今日みたいにどこかへも出かけたくない時は、ベランダに出て、風を感じて、陽を浴びるだけでも、十分で。深呼吸して、空見てるだけで、自分の心の内を感じれるし、なんだか元気になってくるような気がした。


ほんとうのことを全身で感じるために。


真っ最中の時は見えないもので、こうして数ヶ月経ちあらためて見えてくるというものがある。2月・3月は自分と向き合う機会が多かった。でもわたしの場合、常に自己対話しているような人なので、ここ数ヶ月は他の月よりも重かったと言ったほうが伝わりやすいかもしれない。その重さというのは、自分の人生のこと。私は「ことば」を探していた。自分の思いを自らが紡ぎ出すだめに。若松英輔さんの詩集ばっかり読んでいた。繰り返し何度も、何度も。

ほんとうのことを 全身で
かんじるために
ひとは みずから 言葉を
つむがねばならない
 

詩集 燃える水滴


探しているものは、すでに心のうちにある。


人と会って、話を聞いて、自分も考えて喋って、また相手の話を聞いて、を繰り返してゆくうちに・・・人ってみんな一人一人違う、という当たり前のことに気付く。それを知るのに、わたしは何年も道を歩まねばならなかった。人に会えば会うほど、その人の色があり、個性があり、感覚と感情があり、表情も話す言葉もエネルギーもほんとうに豊かで、そのあなたっていいですね!素敵ですね!と思った。あなたは、そのままでいい、と、何度も思ったことだろう。
わたしは、ほんとうのことを感じるために「言葉」が欲しかった。わたしはその言葉をすべて「本の中」で探した。本の言葉の中から探した。誰かと話せば、また違った「ことば」を得られたのかもしれない。でも、こんなに大事なことを人に話したところで、何か大切なものが見えにくくなるのではないかと感じた。最後決めるのは自分自身であり、その道を生きていくのはわたしなのだから。私は、わたしのなかで深く潜る。ゆっくりと、そして深く。そして探しているものは、間違いなく、「心のうちにある」というのは本当のこと。

探しているものは
すでに 心のうちにあって
今おまえを
支えているかも しれないのに

詩集 燃える水滴 


すべての出会いは、絶妙なタイミングでやってくる。生きているうちに、自分にとって必要な人、すべての人と出会うようになっている。その人を前にしたとき、誠実な言葉と態度で接したい。たった短い時間、たとえ1回きりの出会いだったとしても、その人を理解しようと努力したい。長く付き合っていきたい、繋がっていたい、そう思える人の出会えるなんて奇跡なこと。だからこそ、その人との関係を大切に育んでいく努力を惜しまない。この世に素晴らしい何かを残せるチャンスかもしれないんだから。そして、愛する人との間で築きあげたいのは、互いをよく知ることではなく、深く信じ合う関係を築きたい。 


「ぼく モグラ キツネ 馬」の本の中で書いてあった。「それでも世界は、想像もできないほどの愛にあふれている」 本当にそうだ!と強く思う。


たった一度きりの人生よ、楽しみなさい。



いいなと思ったら応援しよう!

Rie
最後まで読んで頂きありがとうございます!