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「社内公募の求人を見ていますよ」とちらつかせる部下たちに呆れる

私の勤める会社には「社内公募制度」がある。
「人が欲しい」という部署が社内に求人を出し、他部署の人材を獲得する制度だ。

「あの部署にいきたい」という本人の希望が優先されるので、この制度で一番困るのは、案件が成立して人材を引き抜かれる部署だ。

この制度が始まった何年も前に比べると、今は社内公募制度がだいぶ認知され、活用されるようになってきた。
それでも引き抜かれた部署の痛みは大きい。

私は20人ぐらいの部下とキャリアに関する1on1を行うことがある。
そのうち特に30歳前後の部下たちは、もっと違うことをしたい、とじりじりしていて、話をしているとその想いが伝わってくる。

その人たちはこうも言う。

「社内公募制度でおもしろい仕事がないかなあと思って継続的に求人を見ています」

この言葉が何を意味するかというと、

「私はこの職場を離れ、違う仕事をしたいと思っている。もし上司のあなたが私の仕事を変えなければ、私は自分で手を挙げて他の部署に行きますよ。そうしたらあなたは困りますよ」

ということだ。

この数人の言葉を最初聞いたとき、私は驚いたけれど、彼らがくり返しこの台詞を発するのを聞いているうちに呆れが生じるにようになってきた。

一人ひとり希望があることは知っている。
ただ、ある一人だけの希望を通すわけにはいかず、人の配置はパズルのように別の人のことも考える必要がある。
もっと言うと、例えば仕事を交代する2人がいたとして、その2人だけでなくその周囲の人との経験年数などのバランスも考慮する必要がある。

私は順番に自分の部下の配置を進めている。
いっぺんに多数の人の配置を実行することはできることだけど、組織への影響が大きく、またなかなか容易なことではない。

「私は社内公募の求人を見ていますよ」

といった言葉をちらつかせる人たちに、直接は言えないけどこう思う。

「気持ちはわかる。だけど、そんなに思いが強いのであれば、誰かがあなたを動かすのを待つのではなく、もう自ら動いてしまいなさい」

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