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キメンガニの剥製を作ってみた

友人が漁で獲れたキメンガニをくれたので剥製作りに挑戦してみようと思います。



変わった形のカニでしょ?

漢字で書くと「鬼面蟹」。
ゴツゴツした甲羅が鬼の顔のように見えることが名前の由来だそうです。

ヘイケガニの仲間で、短い4本の脚で貝殻などを背負って身を隠す習性があります。

このような特殊な形のカニを手掛けるのは初めてなので成功するかわかりませんが、完成させられるように頑張ります。



それでは制作開始です。



まずはボイル。

茹でるとご覧の通り赤くなりました。
見た目は奇妙な形をしていますが、やはりちゃんとしたカニなんですね。



続いては除肉です。

所詮はカニなので、カニを食べるときの要領で殻を外せるだろうと軽い気持ちでいましたが、


あれっ、


殻を開けられそうな箇所が・・・ない!

カミソリの刃も通らないほどどこにも隙間がありません。


何度挑戦しても甲羅を外すことができなかったので断念し、

やむなく殻を割ってみると、 殻全体が一体化しているような感じで、甲羅を外せるような構造にはなっていないようです。

16年間剥製を作ってきましたが、甲羅を外せなかったカニは初めてです。
どうやって脱皮しているのか気になりますね。

後日 𝕏(旧Twitter)のフォロワーさんが、普通のカニと特に変わりなく脱皮すると教えてくださいました。
こんなに硬くて隙間もないのに普通に脱皮できるとは不思議ですね🤔



ポーズを整えて乾燥させます。

今回の個体は割った穴から除肉しましたが、ヘイケガニの仲間は甲羅が外せない構造になっているので、無理に除肉せずにそのまま乾燥させても良いかもしれません。

これも 𝕏 のフォロワーさん情報ですが、茹でた後エタノールかアセトンなどに浸けると腐る可能性がぐっと下がるみたいです。
これからヘイケガニ系の剥製を作ろうとされている方は参考になさってください。



充分に乾燥させたらいよいよ塗装です。



絵の具で色を塗り、



コーティングして完成です。




試しに別の個体は除肉せずに作ってみたのですが、

腐敗臭はしないので、ヘイケガニの仲間は除肉せずそのまま乾燥させるだけで大丈夫そうです。




ちょうど良いサイズのカキの殻があったので乗せてみると、

ちゃんと背負えました。

海の底でもこうやって生活しているのでしょうか。
(自分で作ったからというのもあるのかもしれませんが、)とても愛おしく思えてきます。


甲羅が外せなかったときはどうなることかと焦りましたが、無事に完成させることができて良かったです。

これでまた一つ新たな種類が作れるようになりました。

これからもさらに練習を積み重ね、より多くの種類の剥製を作っていけるように頑張ります!

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魚道部!/ 剥製師 力石眞弘 (チカライシ マサヒロ)
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