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シオマネキの剥製を作ってみた
NPO法人「みんなでつくる自然史博物館・香川」 様より 、所蔵しているグリセリン標本のシオマネキを剥製にできないかとのお問合せをいただきました。
グリセリン標本とは何ぞや?
私も詳しくは知らないのですが、ざっくり言うと生物の体にグリセリンを浸透させた標本で、一般的に作られる乾燥標本とは違い、直接触って関節を動かしながら観察できるというすごい標本なのです。
こんな標本があると子供たちは大喜びでしょうね。
グリセリン標本から剥製を作ったことはないのですが、何事も挑戦です。
剥製師としての新たな境地を切り開く良い機会になると思い、引き受けさせていただきました。
送っていただいた標本がこちら↓
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かなり黒ずんでいる上に、グリセリンで置換されて関節はフニャフニャです。
この状態から元の色彩を再現できるのか、そして緩くなった関節を固めて自立できるように仕上げることができるのか・・・。
すべてが初めての経験なのでわからないことだらけですが、完成目指して頑張ります。
それでは制作開始です。
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まずはボイル。
グリセリン標本のカニも茹でたら赤くなるんですね。
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甲羅とハサミを外し、耳かきを使って肉を取り除きます。
(さすがに脚は細すぎて耳かきが入らないので除肉していません)
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ポーズを整えて乾燥させます。
通常は1週間ほどで乾くのですが、グリセリンで置換されてフニャフニャになっている関節が乾燥するのか、そして乾燥後は自立してくれるのか・・・。果たして結果やいかに。
1週間後・・・
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除肉できた胴体とハサミの部分は乾いて固まってくれたのですが、除肉できていない脚の関節はフニャフニャのままで、全く固まっていません。
この状態では作業を進めることができないので、このままもうしばらく様子を見ることにします。
そしてそのまま2週間、3週間と時間は過ぎていったのですが・・・
脚の関節は依然潤ったままで全く乾く気配ががありません。
まさかここまでグリセリンに制作を阻まれることになろうとは・・・
これは想定外の事態です。
納期も迫っており先方をこれ以上お待たせすることはできなくなってきたので、
自然乾燥を待つ方法は諦め、
ちょっと強引なやり方ですが、
関節部分にボンドを塗ってみたところ、
なんと
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関節が固まり、自立してくれました!
これなら作業を続行できそうです。
納期に間に合わせることができるよう、塗装も頑張ります。
ということで、ここからは塗装作業です。
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まずは甲羅の白い模様を筆塗り。
これだけで2時間もかかってしまいました💦
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続いて甲羅の黒い模様を塗っていきます。
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甲羅の塗装が終了。
細かい模様の描き込みが大変でしたが、思った以上にきれいに塗れました。この時点で既にすごい作品に仕上がりそうな予感がします。
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脚と
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ハサミの部分を塗るとシオマネキらしくなってきました。
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ハサミのブツブツ部分を白く塗って
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塗装終了です。
先方に画像をご確認いただいたところOKをいただきましたので
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色褪せを防ぐ塗料でコーティングし、
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艶消しラッカーを吹いて完成です。
どうですか、この仕上がり!
自分で言うのもおこがましいですが、これはかなりの傑作です!!
先方からも「本当に人の業なのか」と絶賛していただき、作り手としてこれほど嬉しいことはありません。
一時は制作不能かと断念しかけましたが、グリセリン標本から剥製を作るという新たなチャレンジを成功させることができ、また一つ剥製師てして成長できたように感じます。
今回の経験をこれからの制作に活かせていければと思います。
この剥製も
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香川県立文書館(香川県高松市)にて開催中の「まちかど生き物標本展」に展示されております。
概要は下記の通り。
「まちかど生き物標本展 香川の生き物の世界 ~屋島や五色台などの瀬戸内海国立公園および瀬戸内海沿岸の自然~」
会場:香川県立文書館
住所:高松市林町2217番地19
会期:2025年 2月21日㈮まで
時間:9:00~17:00
電話:087-868-7171
観覧無料
標本展の様子はこちら↓
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シオマネキの仲間としては大型で、色彩も鮮やかなので見応えがあります。
会期は残りわずかとなっておりますので、この機会にぜひご覧ください。
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