詩 【 時間がない 】

ここには時間がないようだ
そんな気がするのは時計をしていないせいなのか
とにかく時間がない 時間を完全に忘れてしまう
時間に追われることもなくなってしまう
なにもしないのだ
守るべき時間がなくなると なにもする気になれないし なにもしなくなる
ただ空っぽになった存在だけが ふわふわ浮いている感覚

どれくらい時間が経つのだろう

こんなはずじゃなかった
元々わたしは機能的な人間だった
タイトにびっしり埋め尽くされたスケジュール帳が わたしのすべてだった

時間がない
あのときもそうだった

だが今思えば、時間はあった
いやむしろ時間だけだった

目にうつるのは時間ばかりで
時間ばかり気にして
起きては寝て また起きては寝ての繰り返し

ここに放り出され ようやく気づいた

しかし もう時間がない

さよならまで

あとどれくらいこうして浮いていられるだろう

20190505