「赤の自伝」アン・カーソン【読書感想文】
ともかくすごい。ノーベル賞を囁かれるのも納得。
これはジャンル分けすると、詩、らしい。ともかくいろいろなものが混じっている。私の感覚では
1……詩的な論文(6P)
2……詩(10P)
3……論文っぽい詩(2P)
4……詩(1P)
5……哲学の問い風の詩(5P)
6……散文詩(202P)
7……インタビュー形式の詩(4P)
こんな構成。ジャンル分けがきちんとされていないとイヤだというタイプの人は落ち着かないかもしれない。
私は「全体的にわけが分からないけど、分からないところはあとで戻って確認すればいいから通読」というスタンスで臨んですごく面白かった。
訳文だけしか分からないけれど、言葉の選び方や場面の切りとり方が「これしかない」っていう感じがする。
「これだけバラけた形式ものもをつなぎ合わせたからイメージが組みあがってくる」って思う。「あ、こんな自由でいいんだ」とも思うし、それが奇跡のバランスで成り立ってるのもすごい。
「2・赤い肉、ステシコロスの断片」で悲しいエンディングが示されているから、その予感を持ったまま読み進めていく。
なんとなく尻切れトンボな気もするけれど、私の読みが足りないのかも。
しばらく鞄に入れて、電車で読み返そうと思う。