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続コンプレックス Vol.12

寮は阿蘇内牧の中心、ダイレックスのすぐ近くであった。ワンルームタイプが16部屋、大きなタイプが3部屋あり、ボクは2階の一番端の大きなタイプに入った。

旅館は瀬の本なのに何故にして寮が阿蘇内牧なのか…
瀬の本に寮を作ることも出来なくは無いが生活するために必要なスーパーを始めなにも無い。
であれば生活が出来る環境は阿蘇内牧か南小国町しか無い。
南小国町の方が若干近いが阿蘇内牧の方が開けているのだ。

寮のすぐ近くにファミリーマートやダイレックスがあり、
誠に便利な環境であった。

ただ通勤にはやや距離があり、なんと片道30キロ弱もあった。
とは言っても信号はほとんど無いので時間的には丁度30分であった。

寮から旅館までの行き方は三つあった。
一つ目は212号線を登り、阿蘇スカイラインに入って、山並みハイウェイに入る方法、
二つ目は最初から山並みハイウェイに入り、山並みハイウェイを登っていく方法、
そして三つ目はこれは地元の人しか通らない裏道である。

国造神社の横の細い道を登っていくと山並みハイウェイのすぐ近くに出るのだ。
道が細く、カーブがきついが、その分登りの区間が短いし、対向車も滅多に来ない。
ほとんどのスタッフがこの道で通っていた、

ただこの道「雨天時落石注意」という標識があちこちにあり、実際大小様々な石が道にゴロゴロしている。

地元の人も「雨の日は通らない方がいいよ!」と言っていた。

ある時、強い雨が何日間も降り続いたことがあった。
私は大して気にすることも無くその裏道で旅館に行った。

その2時間後くらいか…
その裏道の道路がのり面ごと大きく崩れ、道が無くなってしまった。
ぞっとした。

その崩れた箇所が開通したのは、なんとそれから丁度半年後のことであった。
自然を甘く見てはならない!

その時に感じた。

****

当初は単身赴任だったので寮で色んな料理をするのも楽しみだった。

よく自炊は大変なので…という人がいるが、ボクに言わせてもらえば、買ってきたお弁当や惣菜でよく満足出来るもんだと不思議に感じる。

色んなものを作った。

煮物、おでん、そしてパスタなど…

皆より少し早めに帰り、
「21時には完成するので取りにおいで!」
とスタッフに声を掛ける。

皆美味しいものには目が無いので、
「ハイ、ありがとうございます!」とニッコリ(^O^)である。

そして、料理長とおでんをつまみながら飲んでいると
「しはいに~ん!」と取りに来るのだ。

ドアを開けなくても、キッチンの窓を開けて
「ハイ、まいど!」と渡してあげた。

懐かしいなぁ~(-.-)

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