儲けのカギはこんなところにあった!【アート・オブ・ビジネスモデル】
うちの息子、服が大好きなんです。
私の子供か?!というくらい休日の服装がお洒落で毎回びびります。彼なりにファッションの勉強をしているようで、本当に好きなんだなぁと温かく見守る日々です。
年末、そんな息子にとってショックな出来事がありました。
「狙ってたZARAのパンツが売り切れてしまった…!再販なし!メルカリ覗いても一切なし!つらい!!!」
単純に在庫切れを起こしただけなのですが、ZARA(インディテックス)がどのようなビジネスモデルでアパレル事業をやっているのかを理解していると、息子の嘆きの切実さが伝わってきます。
ZARAってどんな企業?
ZARAは、インディテックスが展開するスペインのファッションチェーンです。ファッション性に優れた服を手ごろな価格で提供することで成功した、いわゆるファストファッションブランドになります。
2022年8月時点で世界95カ国に出店し、EC販売を含めると215カ国に販売しています。世界的なパンデミックに見舞われた2020年を除いて、常に15%以上の営業利益率を保持しており、年平均約11%の増収総益を続けているイケイケなアパレル企業です。
ZARAのビジネスモデル
そもそもアパレル販売は、季節の移り変わりと流行の変化に左右されやすいビジネスとなるため、売り切れる保証がない値下げリスクと売れ残りリスクに晒されています。
ZARAは、見込みで店頭に並べる必要最小限の在庫を作ることでリスク低減を図っています。
シーズン販売予定数の1/4を生産し、顧客の反応を見ながら、高速で需要連動生産を繰り返すことで、シーズン終了間近にはセール品として売り切り、売れ残りゼロの状態にするのです。
なので息子は、ZARAのパンツをセールで安く手に入れようとしたけれど、もともと少ない在庫に顧客が集中し、買い損ねてしまったというわけです。再販はなし。同じように狙っていた人がきっと多かったことでしょう。
それだけZARAの商品は魅力的なのです。
(でも私はベーシックなユニクロを手に取っちゃう40代)
書籍「アパレルゲームチェンジャー」
…と言うわけで、こんな本を読んでみました。
この本では、サプライチェーンの最適化、デジタルテクノロジーの活用、持続可能なビジネスモデルの構築など、アパレル業界での革新的なビジネスモデルについて解説しています。
とにかく図解がわかりやすく、面白い!
【書籍内で取り上げられている企業】
◾️ ZARA(インディテックス)
◾️ SEAIN(シーイン)
◾️ ZOZO
◾️ ワークマン
◾️ COSTCO(コストコ)
◾️ MHLV(モエヘネシー・ルイヴィトン)
◾️ 丸井グループ
◾️ メルカリ
◾️ Door Dash(ドアダッシュ)
◾️ ZARA(インディテックス)
そうなんです。
ZARAで始まり、ZARAで終わる一冊。
そんな書籍構成も素晴らしかったです。
その中で個人的に興味深かったのは、SEAINとMHLVでした。
気になる企業① SEAINについて
非公開企業でありながらも、世界のオンライン市場で急成長を続けるSEAINのビジネスモデルは「ウルトラファストファッション」と呼ばれています。ユニクロやH&Mを超えちゃっているのか…!?
オンラインのリアルタイム情報を解析し、最速で作り、世界中の顧客にダイレクトに届ける。これを「中国のアパレル産地と世界の消費者を直接オンライン上でつなぐソーシャルゲーム」と例えていたのがグッときました。
なんと現代的なんでしょう…!ちょっと先の未来を象徴しているかのようです。
物流問題やESG対応への遅れなど、課題も山積みではありますが、アパレル業界での新たなアゲームチェンジャーとして、今後更に進化することを期待しています。
気になる企業② MHLVについて
モエヘネシー・ルイヴィトン
最初の印象は「なんじゃその高級フルコースみたいな企業名は?!」でした。笑
ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、ブルガリ、ティファニー、モエ・エ・シャンドン、ヘネシー、ドン・ペリニョンなど名だたる高級品は、MHLVというひとつの大きな企業によって生み出されていたのです。知らなかった!!
MHLVは、既に存在する有名な企業を次々と買収(M&A)を行い、のれんと無形固定資産を増やすことで規模を拡大してきました。
しかも、むやみに高級ブランドを買収するのではなく、ラグジュアリーを切り口にセグメントごとに売上規模、利益率、在庫回転率をミックスして財務バランスを取っているところが実にお見事です。
のれんってナニ?居酒屋か?!という方はぜひコチラを読んでくださいね↓
著者・齋藤孝浩さんの人柄
書籍で取り上げられていたビジネスモデルは、どれも個性的で戦略性が高く、やはり今のアパレル産業を担っている企業だけあるなぁと読んでいてワクワクしました。
具体的な数字と図解だけでも説得力があり、とても面白いのですが、この書籍のもう一つの魅力は、著書である齋藤孝浩さんの人柄だと思います。
各チャプターの間に、齋藤さんのコラムが掲載されているのですが、これがまた良いのです。決算書を読む際のヒントが散りばめられていて、とてもとても実用的でした。何度でも読みたい。
そして何と言っても、「おわりに」に書かれていた文章にとても共感しました。
決算書を読み始めて1ヶ月、初心者なりに数字を地味にこねくり回していますが、視野の狭さと知識の少なさを痛感する日々です。でも楽しい。私もいつか決算書を読み解いて、ワォ!って驚いてみたいです。
おわりに
アパレル産業が置かれている厳しい現状を考えると、確かに抱える課題は多いかもしれません。しかし、ファッションは私達の生活を豊かにしてくれます。
気に入った洋服に出会った時のときめきや、買ったばかりの洋服に初めて袖を通す瞬間、大切にしたい感情が確かに存在するのです。
ファッションの勉強をして、欲しい服を買うために熱心にアルバイトをする息子を見ていると、そんなことをより一層感じます。
なので、厳しい市場環境に負けず、これからも地道な改善活動と革新的なアイデアをもって、より良い商品を提供してくれることを期待し、私からもエールを送ります。
頑張れ!アパレル産業!
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