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ぐっすり眠れる幸せ

※ラストマイル本編の内容に触れますので、映画を観た方のみお読みください。



映画、ラストマイルを観て一番に思ったのは「画が、音がいいな」ということ。
満島ひかりさん演じるエレナが電車に乗っているシーン。エレナの横顔。隣の人が席を立ち、また現れるエレナの横顔。あのシーンを観た時、意味のない画なんてひとつもないんだろうなと思ったし、その綺麗さというか(演じている人の美しさとか映像の解像度とかそういう意味ではなく)、何かを感じさせるような画が印象的で、この映画絶対好きだなと思った。


観終わってから一番に思ったのは「華麗なる伏線回収だったな」ということ。これは野木さんの脚本の素晴らしいところだと思う。すべての台詞が、出来事が、どこかで何かと繋がっているんじゃないかと思える。魅力的なストーリー。そんな言葉じゃ言い表せないくらい、相変わらずの面白さで。一言で言うと最高でした。


そして、一番心に残ったのは「エレナの寝顔」だった。
エレナが、警察を待っている間に勝手にパトカーで寝てしまっていたあのシーン。あの姿に、よかった、と。その感情が一番強く残った。
エレナも眠れなかったんだと知った時、私も社会人だから自分がそうなったらということを想像した。物流とは違うけれど、同じく止まれない仕事をしている身として、自分がボロボロになっていく姿を想像したらやりきれない気持ちになった
エレナが部屋にテントを張って寝て起きてきたあの朝も、ほんとは眠れなかったのかなと。あんなに仕事が出来る人が、やりきった!と眠ることができないなんて。そう思うとこっちまでしんどかったから。
最後にエレナのぐっすり眠る姿を見ることができてホッとした。リセットすることを決断したからこそ眠れたのだとしても。あの姿があったことで、エレナに対する気持ちがとてもスッキリした。
(同時に、孔はあのロッカーをどうするんだろうかと思うと不穏な想像もしてしまったけれど。)


ぐっすり眠り、心身ともにリセットできる時間。今を生きている人たちみんな、そんな時間があってほしいと願う。
母の安眠を願ったあの姉妹のように、願っている。
パトカーで眠りに落ちてしまったエレナのように、どこでも眠れる日々であることを。

(寝顔を愛おしく思うことも、その人がぐっすり眠れる幸せがあってこそですからね。)

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