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子どもが困ったことの「ゴール」について、教えられたこと。

子どもが困ったことを訴えてきたら、どんな「ゴール」がイメージできますか?話し合いをさせて、「もうしない」って約束させたり、「ごめんなさい」って謝らせたり・・・。どうでしょうか?

今日は、「クラス会議」に取り組む中で、自分自身の考え方が子どもたちにひっくり返された・・・と言っても過言ではない、この「ゴール」についてまとめておきたいと思います。

「クラス会議」ってどんなもの?

「クラス会議」は、アドラー心理学をベースにした活動です。毎日短時間で以下の3つの活動を中心に話し合いを続けていきます。

①輪になる。
②「ありがとうみつけ」をする。
③「議題の話し合い」をする。

今日、お伝えしたい「ゴール」は、上の活動の③「議題の話し合い」でのことです。「議題の話し合い」は、何気ない日常の困ったことや悩みなどを「議題」として挙げて、それについて話し合います。

その「議題」の話し合いをずーっとやってきて、子どもたちが困ったことの「ゴール」は、ボクラ大人がイメージしているものとはちょっと違う・・・ということを子どもたちから教えられてきました。

「草むらに投げらたボール」事件

3年生のやまとくん(仮名)の議題です。

昨日、近所でキャッチボールをして遊んでいたら、6年生の人が来てボールをうばって、草むらの方に投げました。「なんでそんなことするん!」って聞いたら「楽しいから。へっへー!」と言ってどっかにいってしまいました。どうしたらいいですか?

さて、この議題。あなたならどのように解決するでしょうか?おそらく、「クラス会議」がなければ、6年生を呼び出して、「なんでそんなことしたんや?」と話を聞いて、3年生のその子と3人で話し合いの場をもって、「もうしません。ごめんなさい。」と言って終わる・・・という王道の話し合いになるのではないでしょうか?

しかしながら、「クラス会議」で話し合った3年生は全く違う展開でこの問題を解決していきました。

まず、議題を読んだ後、周りの子たちから出たアイデアは以下のようなもの。

アイデア: 1・あやまってもらう。
      2・弁償してもらう。
      3・探したらいい。
      4・先生におこってもらう。
      5・先生に助けてもらう。

他にも、みんなができることのアイデアとして、
      1・一緒に探してあげる。
      2・一緒に話をしにいく。

という合計7つのアイデアが出ました。

そして、議題を出したやまとくんが選んだのは・・・

みんなに助けてもらって話をしに行って、みんなに助けてもらって探しに行く。

というもの。これ、面白いのです。その日の昼休み、3年生の10人くらいの集団が、6年生のその子のところに向かいます。1人じゃどうしようもないけれど、ノリノリの10人のパワーはすごいのです。みんなで楽しそうに、6年生のところに向かい、周りを取り囲んだのです。

そして、議題を出したやまとくんは、こう言います。

「昨日のあのボール、大事なものやから、放課後一緒に探してや。」

すると、6年生は、「う、うん。わかったわ。放課後な。」としぶしぶOK。

放課後、またまた10人くらいの3年生と、ボールを投げた6年生は、草むらに向かいます。

そして、薄暗くなったころ、やまとくんが職員室にやってきました。どろだらけで、蚊に刺されまくっていたけれど、うれしそうに名前が書いてあるきれいな野球ボールを見せに来てくれました。そして、一言。

「先生、このボール買ってもらったばっかりやったし、ホンマに見つかってよかったわ。」

やまとくんは、買ってもらったばっかりの宝物のボールを返してほしかっただけだったのです。あとで聞いたのですが、一緒に探してくれたみんなと、6年生に「一緒に探してくれてありがとう!」とお礼を言ったそうです。

この話、もしもボクラ大人が絡んでいたら、こんな解決にはなっていないかもしれません。下手したら、ボールは見つからず、ただただ謝って、もうしません・・・と言わせて終わっていたかも・・・と思うのです。

本人は謝られることも、もうしないと誓われることも、全く求めていない。やまとくんには「ボールを返して欲しい」というゴールがあったのです。

困ったことの解決は、子どもたちが求める「ゴール」をはっきりさせて、大人の先入観をちょっと取っ払って、その「ゴール」に向けて、本人がどう行動したいか・・・をしっかりと問いながら、行動していくことの大切さを教えてもらった事例でした。


みなさんもぜひ、子どもたちが「どうしたいのか?」ということを明確にして、そのためにどう支援するか・・・ということをイメージしながら、子どもたちの困ったことの解決をサポートしてあげてくださいね。

何より「クラス会議」はオススメです!

毎日はちょっとずつ、成果は見えにくいかも知れないけれど、子どもたちが問題にどう向き合っていくのか、どう解決していくのかを学ぶことができます。ぜひ実践してみてくださいね!


店長敬白。

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