東海道と湖南三山 こっそり教える太鼓判の滋賀県観光地 ①
私はこれまで大津市の観光地について紹介してきたが、思わぬ好評を博したうえに、滋賀県全体が素晴らしいから大津市だけではもったいないというお声をいただいた。ありがたいご提案を受けて、大津市以外の滋賀県の観光地についても並行して、シリーズとして紹介していくことにした。大津市とそれ以外の滋賀県の記事と、併せてお読みいただけたら幸いである。
関連シリーズ
さて、猛烈な残暑が過ぎて近畿地方にもようやく紅葉のシーズンが到来した。滋賀県に紅葉を見に行こうとお考えのあなたは、ネットやお出かけ情報雑誌で下調べをしているはずだ。しかし、誰もが同じ情報に触れたら混雑するに決まっている。現に、メタセコイア並木や鶏足寺は、紅葉すると早朝から大混雑である。この二つに共通するのは、以前は紅葉名所としてほとんど知られていなかったことだな。
桜や紅葉などの季節観光地は、雑誌やネットで特集されると人が殺到してしまう宿命を負う。幸いなことに、滋賀県には多くの知られざる紅葉名所があり、行ってみれば新たな発見とともに満足することだろう。
よく「隠れた名所は人に教えたくない」というが、ネットが完全に普及した時代には隠しても無駄だ。私はお薦めをどんどんシェアしてこそ、分散もすれば活性化もすると考えている。
東から見て、鈴鹿峠を越えた甲賀エリアにあたる東海道の国道1号線沿線の紅葉スポットを紹介する。国道から近くて行きやすい所を選んだよ。
甲賀を東海道沿いに進む
鈴鹿峠の滋賀県側の麓は、頓宮があった地であいの土山と歌われ、傾斜地には茶畑が広がる。土山茶は信楽の朝宮茶と並ぶ名産品だ。そんな土山から東海道を西へ進んでいこう。
火頭古神社
こじんまりした神社で、知らなければうっかり見落として通り過ぎてしまいそうだ。モミジの木も本数は多くない。
しかし枝振りが圧巻なのだ。冒頭の画像のようにまさに火の頭じゃ。
田村神社と土山宿
なかなかに立派な神社だ。特に紅葉名所というわけではないが、境内の川べりに佇めば心も潤うだろう。
この向かいに「道の駅 あいの土山」があるが、現在は改装工事中でトイレも使えないので、立ち寄るつもりだった方は注意されたい。ちなみに来春リフレッシュオープン予定だぞ。国道1号から1本裏に入ると旧東海道の土山宿だ。そこかしこに往時の名残りが見え隠れするので散策するも良し。
ちなみに、新名神高速道路土山サービスエリアは、一般道からも入れる。
近江茶 丸吉
土山茶はまろやかで優しい味わいがする。おみやげに休憩にどうぞ。店内にはカフェスペースがあり、自慢のお茶やスイーツが楽しめる。ほうじ茶を推しているようだ。かき氷も人気だ。
LIBERA
ご予算が潤沢なあなたには1組限定の極上フレンチを。
もちろん完全予約制ね。
大池寺
小堀遠州の手による蓬莱庭園が眺められる大池寺は、秋の装いもなかなかにしっとりしている。
私はここで一日中本を読んだことがある。見どころは何と言っても大きく刈り込まれたサツキだ。改めて春にも訪れたくなる趣ある庭だよ。
湖南三山
程近い距離にある三ヶ寺の全てに国宝建造物がある。滋賀県における紅葉の名所といえば湖東三山が有名なので、湖南三山は耳馴染みがないかもしれない。甲賀郡の甲西町と石部町が対等合併して、新たに湖南市が発足したことにより、国宝の本堂を持つ三ヶ寺が湖南市に住所を持つことになり、湖南三山と呼ぶようになった。湖南市は去る10月1日をもって、市制20周年を迎えたばかりである。期せずして三山が湖南市に集まってから日が浅いので、世間にはあまり知られていないのだよ。
しかし、口コミで評判はうなぎ上りだから、今のうちに行っておこうぜ。
長寿寺(東寺)
本堂が国宝。近くにある同じ阿星山の常楽寺と区別すべく、こちらは東寺と呼ばれる。三山の中では最も雰囲気が良く紅葉を満喫できる。特に山門から本堂に向かう参道の紅葉が素晴らしい。
もみじの絨毯をそっと歩いていこうよ。
常楽寺(西寺)には歩いて行ける距離にあるよ。
常楽寺(西寺)
本堂と三重塔が国宝で、特に三重塔の存在感に圧倒される。三山の中では最も見栄えがする寺と言えよう。こちらは西寺だ。
残念なことに、かつて寺と対立して檀家が離反し、現在は常駐する住職がおらず、通いで管理しているとのこと。そのせいか、予約なしで見られるのは特別拝観期間だけだ。湖南三山をお薦めしたのも、気軽に行けるのはこの季節だけだからだ。本堂などで注意書きが厳しいのも人手不足ゆえと大目に見てあげてくれい。
善水寺
本堂が国宝。三山の中では最も管理が行き届いた印象である。庫裏の脇に繁る紅葉がベストかな。
紅葉の季節は観光バスが多く、なかなかの人気ぶりだ。岩根山の中腹にあり、周りに民家がないので落ち着いて紅葉を見られる。
湖南三山は、歴史ある伽藍と紅葉のマッチングを楽しむつもりで眺めよう。湖東三山と違って、各寺に繁るモミジの絶対量はそれほど多くない。しかし、これほど近距離に国宝伽藍の寺が三つも揃うのは、滋賀県でも湖南三山だけである。
不動明王磨崖仏
善水寺がある岩根山(十二坊)の崖に大きな石仏が彫り付けられている。大分県の国東半島でしか見られないような迫力ある磨崖仏だ。
残念ながら通路が落石で通行止めになっており、不動明王の近くまでは行けない。
みくりやうどん
名古屋めしの名物にエビフライがあるのはご存じだろうが、カレーうどんも若鯱家などが有名で名物なのだ。名古屋の店と間違えてしまいそうなカレーうどんの「みくりやうどん」だ。
尾張人の私の判定によると、名古屋のカレーうどんよりマイルドだな。トッピングで楽しめる人気店だ。
オマケ&おしまいに
東海道から少し奥まっていることと、紅葉が少なめなので挙げなかったが、余裕があれば油日神社も訪れたい。
実によく整ったしっとりとした神社だね。
食事処や土産を見つけるのが面倒に感じる向きには、イオンタウン湖南を利用する手もある。
Web記事をいくつか確認したが、ランキング形式をとっている滋賀県の紅葉スポットに関するサイトには、紹介したスポットは1件もランクインしていない。つまり、、、穴場。各スポットは東海道を挟んでほぼ一直線に並んでいるので、マイカーなら東西方向に進めばすいすい行けるぞ。
甲賀市と湖南市はともにコミュニティバスが運行されているが、お世辞にも接続が良いとは言えず、各施設を公共交通機関で周るのはかなり厳しいので、グループならタクシー利用を検討しよう。
また、タクシーで有名なMKトラベルではJR草津駅発着の湖南三山送迎ツアーが用意されている。少人数で公共交通機関利用の方には朗報だね。
ルートマップ↓
このシリーズは、成瀬が教えてくれない大津観光案内の姉妹シリーズとして、ぼちぼち追加していく予定だ。乞うご期待!
次回は、琵琶湖に浮かぶある島について語ろう。
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