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映画の感想 「それほど昔ではなかった」、映画「瞽女」に泣く
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口頭伝承の自由と余裕が「瞽女うたに正調はない」、ですから。
そして今、こういう映画は残念ながら、わかる人にしかわかりません。
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期待して待ちました。期待通りを見せられました。期待通り泣きました。
シネリーブル池袋の最前列はリクライニングシート感激。
見上げるスクリーンから110分目が離せず。
原作の力、シナリオの力、カメラの力、役者の力、すごいねえ。
もともとのモデル小林ハルさんの持っていた底力、すごいすごい。
ロケされた日本の風景の底力、まあ美しいこと。
すいません、忘れてはいけませんね、瞽女唄の持つ底力。なんという力強さ。
子役、素晴らしいねえ。しっかり、しっかり瞽女唄語ってました。めくらっこの演技も堂にいってましたな。
ふたりの親方役の富樫真、小林綾子それぞれ好演でしたな。
針に糸を通す、習う番から教える番に変わって、どう変化をつけるか、好かったですね。(子役は一人二役かと思っていましたが姉妹を起用)
波乱万丈の人生の前半だけ、もっともっと苦労しただろうけれど、それはまた別な話。
目が見えない人が、どうやって生きていくのか、つらいなあ、それが見えるとなんともつらいなあ。
時として見えないことが羨ましくなる。それでも、生まれ変わったら見えるように祈る、すごいなあ。
菜の花畑で鼻の穴を広げて花を「見る」、いいなあ。(「めぐり逢う朝」の嵐の中で通奏低音を聴け、みたいなシーンを彷彿と)
ナレーションが最初は煩わしく聴こえましたが、よい意味で意識しなくていい差し込み方。
聞きたい人は聞けば好い、聞かなくていい人は画面を見れば好い。
さすがに東京の初日それなりに席は埋まっていました。それでも2割くらいかしら。