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フィードバックのやり方―ティール組織(2)―

先日も紹介したティール組織。フィードバックについて、印象的な記述があった。

評価が人の心を破壊してしまうことがあまりにも多い。30分のミーティングの間に、それまでは生き生きと、仕事に対する問題意識の強かった人が、週末になると求人広告を眺める、何の取り柄もない無気力な社員に変わってしまうのだ。彼らが働かなくなるのは、評価システムのほとんどが判定と統制の形式を取っているからである。
意図的かどうかは別として、私たちはフィードバックの仕組みを用いて、「こうあるべきだ」と自分が考える方向に、他者を強引に導こうとしがちなのである。従業員に本音を隠させるのに、これ以上簡単な方法はない。しかし、評価制度がこのようであるべき必要性はない。アプローチを変えさえすれば、評価面談の場はうまくいかないところを判定するのではなく、貢献をほめたたえ、実績を認めたうえで、私たちの知識や経験、才能、あるいは態度のどこが求められている水準に足りないのかを心から問う場に駆られるはずなのだ。

人事考課面談が辛いのは日本だけなのかと思っていたが、世界でもそういう傾向はあるらしい。「判定」「統制」を用いて行われるものというのは、古今東西、同じようにやってきているのだ。それを変えている会社があることをこの章では紹介している。

かくいう自分も、先日上司と面談をした際に、フィードバックが欲しいと要望してみた。最初、その上司は『(私の与えた)評価が不満なのか?』と勘違いしていたのだが、そこは修正し、「評価が不満なのではなく、どういう点が良くて、どういう点に課題があるのかを教えてほしい」と、さらに提案をした。自分の評価に対する不満ではないことを理解したからか、『その点は私が今後努力するようにする』とコメントを引き出した。

これまで、面談の場で、そういったやり取りがされてこなかったのだろう。部下から上司に物申す機会がこんなにもないことなのかと驚きもした。たしかに、今回はそれを言おうと決意して臨んだし、実際、言いたいことは言えた面談だった。しかし、誰もがそんな決意を持って面談に臨まないだろうし、願わくば(たとえ言いたいことは言えなくても)穏便に終わらせたいと思ってしまう人が多いような気がする。しかし、言いたいことも言えない場であることのほうがおかしいのだ。上記のような自分の言動が、本書で言っていることの方向性と概ね合っていたので、こういった提言は今後も続けていかねばなと、改めて考えることができた。

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