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【簡単あらすじ】たかが殺人じゃないか(微ネタバレ)【辻真先/創元推理文庫】


『犯人はお前だ!』
『ヘエ、私が犯人?』


昭和24年、戦後の学制改革に伴い、教育現場は混乱の極みに達していた。
その犠牲者とも言える高校三年生が、一年間だけの男女共学生活を送ることが出来る学校・東名学園高校。

その学園に通う、推理小説研究部部長・風早勝利

勝利が部員に推理小説の面白さを熱弁している最中に教室に入ってきた、巴御前こと別宮操教員は、
「中止になった修学旅行の代わりに、私が顧問を務める、推理小説研究部と映画研究部とが一緒に、県内の温泉に旅行しないか?」
と、部員たちに提案する。

その提案に乗った両部の部員と顧問・別宮らは、旅行当日、宿泊地となる温泉宿へ向かう途中に、戦前からの有名な観光地『夢の園』へと向かう。

勝利らは、思い思いに『夢の園』を楽しみ帰ろうとしたのだが、帰ろうとしたその時、ハエの音や何かしら腐った匂いがするという違和感に気づいた。

音と匂いを辿っていくと、建売住宅のモデルハウスの中で、地元の名士である徳永が殺されているところを発見してしまう。

そして不思議なことに、そのモデルハウスは密室になっていたのだった…



『はじめに』
夏も(暦の上では)終わりが近づいてきていますが、それに全く伴わない気温が続いており、最高気温は30度どころか35度を超えることが増えています。 私は暑さに弱いため不要不急の外出は減らしている時期ですが、エアコンを起動し、自室で飲み物を飲みながら読書をするという、絶好のシチュエーションを得られる時期が到来したとも言えます。
ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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本作の題名となっている「昭和24年」という舞台設定が、動機やトリック・タイトル回収など作品に深く関わるところが、私の大変お気に入りポイントです。

作品中の「主人公ら高校三年生」と「戦前の考えを引きずっている大人たち」の対比描写が、凄く生々しいと感じながら読み進めていました。

あとがきなどを見ると作者が88歳時!の作品ということなので、実体験も含めて書かれていると思われる、当時の「大人と子ども・世代間の考えや温度差」などがリアルに描かれている所もおススメの作品です。

本作品や、以前レビューしました横溝正史さんの作品も大変面白かったですし、



今現在活躍されている若手作家さんの作品と比較すると、どちらにも優れた点があります。

若手もベテランも、どちらも活躍出来るミステリー業界になって欲しいですね!



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