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【簡単あらすじ】しあわせの書・迷探偵ヨギガンジーの心霊術(微ネタバレ)【泡坂妻夫/新潮文庫】
『 ガンジー先生、どうぞ、その戦いの指導と結果の審判を引き受けて下さいませ 』
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本州の北端、下北半島のほぼ中央に立つ恐山円通寺の境内。
テレビのレポーターが、あるイタコに「最近航空機事故で亡くなった歌手」の口寄せを依頼する。
イタコの口寄せによると、その歌手は「夫に、私の命日を忘れず、供え物も必ずするように。」と言って冥土へ向かった。
参拝客がほとんどいなくなり、ある男女がイタコに話しかけると、
「おっちょこちょいのレポーターに間違えられたから、顔を潰すまいを口寄せをしたのですよ」とバツが悪そうに答えた。
そのイタコこそ、迷探偵ヨギガンジー、その人だった。
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『はじめに』
今年は各地で大雪の被害が出る等、最近では久しぶりのちゃんとした冬になっています。このような状況では「寒くて外出したくない(したくても出来ない)」という方が多いと思いますが、逆に言うと「室内での読書が捗る時期になった」とも言えますので、私だけでなく読書好きとしては良い面も多い時期ではないでしょうか。
私自身も衝動買い時期が中々終了せず、積読状態になりつつありますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んだりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。
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Youtubeほんタメ「2025年2月8日「必ず読み返したくなるミステリ【3選】」で、ヨビノリたくみさんの紹介がとても印象的だったことや、
帯に描かれている「紙の本ならではのトリック」が、最近読了し・大変印象に残った、「世界でいちばん透きとおった物語」にも通じることもあり、
出張中に本屋に立ち寄り購入、そしてホテル内で一気に読了した本です。
表紙イラストを見る限り、ちょっとした(結構多めの)胡散臭さがあり笑、書店レジ前で購入を少々躊躇うレベルでしたが、それを超える好奇心で購入したことが大正解でした。
確かに「紙の本ならではのトリック(複数)」があり、「何度も読み返す」ことになりました。
そして、世界でいちばん透きとおった物語ともまた違った内容でしたので、両方の作品を楽しめて大変良かったです。
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注意点としましては、本作は昭和62年に初版が発行されているため、昭和のノリが作品中に入っている所です。
つまり、
ちょっとしたセクシーシーン
ちょっとしたコメディ要素
があるため、そういった雰囲気が苦手な方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、それを感じない方であれば間違いなく楽しめます。
ですので、
1.世界でいちばん透きとおった物語とは一味違う、紙の本ならではのトリックの一つを体験したい方
2.葉桜の季節に君を想うということ(特に序盤表現)にアレルギーを感じない方
3.表紙のイラストに嫌悪感を抱かない方
に特におすすめです。
昭和に刊行された単行本の良いところ(と、私が勝手に思っていること)である、
1.価格が安い・・・何と590円(税別)
2.ページ数が少なめで一気読みし易い・・・約230ページ
に当てはまっている本作を、是非読了ください。
※奥付には「令和六年・重版、三十刷」となっていますので、息の長い人気作・人気作家さんなのが良く分かった一作でした。
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