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【簡単あらすじ】笑わない数学者(微ネタバレ)【森博嗣/講談社文庫】


『 オリオン像が…いなくなってる!』


天才建築家が大改造した館に、偉大な数学者が住み、
さらに親戚が集まりパーティーを開催するとなれば、
舞台が完璧に整ったと言わざるを得ません。

殺人事件・物質消失など、様々な謎に犀川助教授西之園萌絵が挑みます。




『はじめに』
今年は各地で大雪の被害が出る等、最近では久しぶりのちゃんとした冬になっています。このような状況では「寒くて外出したくない(したくても出来ない)」という方が多いと思いますが、逆に言うと「室内での読書が捗る時期になった」とも言えますので、私だけでなく読書好きとしては良い面も多い時期ではないでしょうか。
私自身も衝動買い時期が中々終了せず、積読状態になりつつありますので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んだりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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ある年のクリスマスイヴ、国立N大学助教授・犀川創平N大学生・西之園萌絵は、萌絵の同級生・片山和樹に誘われ、天王寺家・片山家など親戚が集まるクリスマスパーティーに参加することになった。

片山和樹は、偉大な数学者と呼ばれる・天王寺翔蔵博士の孫であり、パーティーは博士らが住む三ツ星館で行われる。

犀川は天王寺博士に会えることを・そして萌絵はパーティー自体をとても楽しみにしていたが、館へ向かう途中の電車内で、萌絵は『 12年前に三ツ星館で起こった・大きなオリオン像消失事件という「非科学的な」出来事 』を話す。


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S&Mシリーズ第三作です。

舞台となる三ツ星館は、天才建築家・片山基生が改造し、幻想的な・哲学的なとしか表現出来ないような独特の建造物。

そしてその館には、仙人のような風貌で新奇な発想の発言をする、偉大な数学者・天王寺翔蔵博士が住んでいます。

となると、「全てがFになる」に登場した真賀田四季博士を思い出す方が多いと思いますが、今作も天王寺博士が重要なポジションを占めています。

博士がどのようなことを隠し・どのような事を行っていたのか。
事件が解決したときに、その全貌が分かります。

今作初登場で、主任・萩原刑事が良いアクセントになっていると思います。

萩原刑事が、その時の状況をかみ砕いて説明したり、私のような文系にも分かり易い推理を披露したり(もちろん間違っていますが…笑)することで、多くの方が事件の内容を理解するのに役立ちます。

萩原刑事は、前作「冷たい密室と博士たち」の喜多助教授のようなポジションですが、ある程度出世している刑事であり、萌絵の叔父である県警本部長とも面識があるので、もしかしたらですが、これからも重要な役割を担う登場人物なのかもしれません。

個人的には、シリーズで一番読みやすかった(一番現代ミステリーに近かった)作品ですので、順番を考えなければ、森博嗣さんやS&Mシリーズに興味を持った方が、一番初めに読むのにちょうど良い作品だと思います。

S&Mシリーズは、これからも継続して読んでいきます!

※森博嗣さんの作品S&Mシリーズは理系ミステリーの金字塔ですが、下記のような文章や表現がお洒落で、そういうところが(私だけでなく)多くの読者を惹きつけているのだと思います。

史上最大のトリックとは、人々に神々がいると信じさせたことだ

P86

テレフォンカードのような薄弱さと、ドーナッツのような幼稚さに、呆れながらも、彼は、烏の嘴みたいに頑固に、まだそう信じている

P129

⇒今の時代、テレフォンカード(テレカ)を使ったことが無い・見たことが無い・知らない方も多いんでしょうね…



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P206 - 人財教育/人事労務コンサルタント -
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