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【簡単あらすじ】白ゆき姫殺人事件(微ネタバレ)【湊かなえ/集英社文庫】
匿名という名の皮をかぶった悪意と集団心理がある事件で複雑に絡み合う。
噂の矛先はいったい誰に向けられるのか。
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『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、
『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。
この作品は、通常のミステリと違う構成で進んでいきます。
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① 中心人物が話す部分がほぼない。
基本的に、中心人物は他の方にインタビュー等をし、それをまとめているという形で物語が進みます。
この進め方によって(進め方のせいで)物語をとても複雑にしています。
また、中心人物が書いた雑誌の記事や、登場人物が運営するネット掲示板の様子も差し込まれています。
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② 殺人事件についての詳しい描写がほぼない。
ミステリ作品ですので、普通でしたら、殺害現場に主要人物が登場し、中心人物の大まかな説明(職業・考え方・人柄など)があったり、殺害現場での描写が、事件解決につながるヒントになったりするため、殺害現場には詳細な描写があります。
しかし、今作品ではめった刺しで黒焦げ死体、のようなとてもアッサリとした描写しかありません。
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③ 信頼出来る登場人物がいない。
普通でしたら、主人公格の登場人物を中心に物語が進むため、多くの読者は主人公等へ感情移入しながら読み進めていきます。
しかし、はっきり言うと、今作品のほぼ全ての登場人物が、大なり小なり自分が有利になる(自分が望んでいる)ウソをついたり、表現を大げさにしているため、読み進めると謎が解明していくのではなく、どこからどこまでがホントなのか・信じていいのかが分からなくなります。
しかし、私は以前、多くの女性社員が所属している会社で勤務していたため、会社勤務におけるドロドロした裏側をそれなりに体験しております。
20代で白髪が発生するというストレスも感じていたため、これについて、会社あるあるとしてとても共感し、物語に没入するきっかけにもなりました。
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物語終盤では、「もしかすると、殺人犯と疑われていた人物が一番素直で善良なのかも」という気持ちにもなりましたが、この人物もある人に対しての感情が醜いものだったので、立場が変われば、他の登場人物と同じようにウソや興味本位の言動をするかもしれないと思い、何だかモヤモヤした読了感です。
スッキリ感は得られませんでしたが、物語としてとても面白く、
ドラマ化していることも納得の作品でした。
これからも、他作品も読みたいと思わせるような作品です。
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画像は【Yokoito】さまからお借りしました。ありがとうございます。
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