【簡単あらすじ】偶然屋(微ネタバレ)【七尾与史/小学館】
『 おおおお! キタァァァァァァァー! 』
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司法試験を合格出来なかった水氷里美は、現在絶賛就職活動中だ。
そんな里美は、就活中に偶然見つけた「アクシデントディレクター」という仕事に就き、依頼者のため様々な偶然を演出し、そして結果的に多くの事件に巻き込まれることになる。
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大学卒業後、弁護士になるため司法試験を受けていた水氷里美だったが、合格するには力不足であると感じ、二年の司法浪人の後、現在は就職活動をしている。
しかし、様々な理由から百社以上の面接を受けたものの合格することが出来ず、靴紐を縛り直そうとかがんだ際に、普通ならば見つけられないような場所(=電信柱の下部)に張り付けてあった「オフィス油炭/アシスタントディレクター募集」という求人をたまたま見つけた。
里美は、この求人を見つけたことを運命に感じ、早速就職希望のメールを送信すると、相手方からの連絡を受けパチンコ店で待ち合わせをすることになる。
しかし、約束の時間になってもパチンコ店には担当者が現れず、仕方なく客のふりをしていると、何と景気良く大当たりを引き当てる。
結果的にパチンコには勝ったものの、担当者に会うことは出来なかったため悪態をついていた里美だったが、横で打っている中年男性から、様々な局面で偶然を演出してくれる「偶然屋」というプロ集団の話を聞く。
その後パチンコ屋を出た里美は、成り行きで、堀内栄子という女性が抱える隣人トラブルの解決を手伝うことになる。
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七尾与史さんというと、全裸刑事チャーリーや、ドS刑事というクセ強作品の印象をお持ちの方が多いと思いますが、そういったクセの強い登場人物やストーリーではない作品も多く出版されており、今作もそちらに分類される内容です。
生きていくためにお金が必要な水氷里美は、どんな会社でも良いというところまで追い詰められている状況の中、アシスタントディレクターでは無く、「アクシデントディレクター」という、多くの方が聞いたことの無い仕事を生業とするオフィス油炭に就職しますが、そこで様々な偶然を作り出し、そして自分が望んでいない事件に巻き込まれることになります。
某マンションでの隣人からの嫌がらせ行為。
図書館員の身内に起こった不幸。
都内屈指の中学校のある一クラスの学級運営。
ある女性との偶然の出会いの演出依頼。
など、作品中では様々な性質(年齢・性別・所属など)を持つ対象者が登場する場面が描写され、そして描写された各場面は、ある結末に到達します。
しかし、最終盤においてある事実が判明すると、その各場面においての結末が違った意味を持つようになります。
偶然屋も翻弄するような方法で目的を達成しようとするラスボスは、おそらく次作以降も絡んでくるでしょうが、どのように追い詰め・解決させるのか、その過程と結末がとても楽しみです。
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七尾与史さんは、ドS刑事でも同じような感想を書きましたが、
様々な人物が登場する一場面を短めの文章量で描写するため、作品途中までの印象は、悪い言葉を使うと「ちらかっている」ように感じてしまうこともあるのですが、そんな各場面を最終段階でまとめることが上手な作者さんだと再認識しました。
ミステリあり、笑いあり、アクションあり、家族愛あり、と様々な要素が入りつつもテンポ良く・軽めの雰囲気で進んでいく七尾与史さんの作品は、大変おススメです。
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