【簡単あらすじ】全員犯人、だけど被害者、しかも探偵【下村敦史/幻冬舎】
『 …これが真相なんですか 』
―
電動自転車「ラピド」を販売するSHIKAGAWA社。
ラピドのブレーキに不具合が出る危険性があることを知りながら販売したことで、事故により多数の死者が発生してしまう。
マスコミ・被害者遺族・そして大多数の国民からの非難が続く中、社長の志賀川恭一は、会社の社長室で首を吊って亡くなっているところを発見される。
恭一の死に関係していると考えられる、社長夫人・マスコミ・被害者遺族代表・社長者運転手・会社従業員・清掃業者など七人が、ある人物からの手紙で無人駅に呼び出され、その後ある廃墟に連れていかれる。
七人は巧みな誘導によりその廃墟で閉じ込められてしまうが、その内装は社長室にそっくりだった。
しばらくすると、スピーカーから
「四十八時間後、この廃墟内には致死性の毒ガスが充満する」
そして
「志賀川恭一を殺した犯人だけは命を助ける」
というルールが宣言される。
それを聞いた七人は、自分こそが社長を殺したと言い、競って自らの罪を自白していく…
ーーー
ーーー
前作読了した「同姓同名」が大変面白かったので、ハードカバーで購入した作品ですが、その決断が正しかったとはっきり断言出来る内容でした。
プロローグ後の第一章の一行目から、ん?と思わせるような文章で始まり、途中途中に挟まれる違和感で、「もしかしたらこんなトリックか?」と考えさせながら、結局は全然違かったwのような、
脳細胞が活発に動き・感情の上下も激しいという、とても良質なエンタメ作品でした。
内容は上記のように素晴らしいのですが、他にも個人的に、帯の文句がこれほどピッタリくる作品は久しぶりのように感じました。
多重推理「しかも」
密室「しかも」
デスゲーム「だけど」
と書かれているのですが、最後まで読了すると、これらの接続語が大きな意味を持ち、最後の「だけど」の後には、読者によってさらに文言が続く仕掛けになっています。
私なら、デスゲーム「だけど」の後ろに、
(▲▲▲。漢字三文字、ひらがなだと七文字)
(◎◎。 漢字二文字、ひらがなだと四文字)
を付け加えたいと思います。
同姓同名の下村敦史さんですから、そう簡単に分かる仕掛けや構成でないことは理解して購入・読み進めましたが、最後の最後まで刺激を与えてくれた作品でした!
また次作が楽しみになりました。
★他の小説レビュー★