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【簡単あらすじ】時計屋探偵の冒険(微ネタバレ)【大山誠一郎/実業之日本社】

「アリバイがあると主張する人は、何時何分、自分はどこそこにいたと言います。つまり、時計がその主張の根拠となっているのです」
「ならば、時計屋こそが、アリバイの問題をもっともよく扱える人間ではないでしょうか」

P6/P7

と主張する美谷時計店店主・美谷時乃

時乃のアリバイ崩しの能力は、亡くなった祖父仕込みの一級品であり、県警捜査一課所属のは、守秘義務違反に悩み、一般人に助けを求めているようで恥ずかしいと思いながらも、時乃に様々なアリバイ崩しを依頼する。





第1話 時計屋探偵と沈める車のアリバイ


人材派遣会社の元社長・藤村孝蔵が自動車ともどもダムの底で発見された。

甥の藤村裕樹が容疑者として浮上するが、裕樹はその時間、友人たちとひたすら麻雀をしていたというアリバイがあった。

第2話 時計屋探偵と多すぎる証人のアリバイ


河川敷で焼死体が発見された。

被害者は衆議院議員の戸村政一の秘書・名越徹

当日には戸村の政治パーティーが開催されており、途中で抜け出した後に殺害された名越の周辺を調査していたが、そのわずか二日後、新たな被害者が発見された…

第3話 時計屋探偵と一族のアリバイ


富宰健一
という男性が自宅で殺された。

健一には、「女優の宇川蒔絵」「元有名店シェフ・朝倉正平」「元プロバスケ選手・井田泰明」の三人の姪と甥がおり、それぞれが容疑者だったが、三人ともにアリバイがあった。

第4話 時計屋探偵と二律背反のアリバイ


閑静な住宅地の一軒家で、中石沙都子が殺されていた。

容疑者は夫の中石純一

捜査を進めると純一が犯人であることが濃厚だったため、沙都子の葬儀の場に任意同行を求めにいったところ、何と警視庁捜査一課の面々と鉢合わせする。

警視庁捜査一課は、ほぼ同時刻に純一の愛人が殺されていた殺人事件の容疑者として、任意同行を求めるところだという。

第5話 時計屋探偵と夏休みのアリバイ


日常的にアリバイ崩しを依頼しているお礼として、美谷時乃を食事に誘った僕。

時乃は、食事の話題として「高校二年生の夏休みに遭遇した、バラバラに壊された石膏像」事件を話す。

本作は、以上5話の短編集です。

個人的には、「時計屋探偵と二律背反のアリバイ」が好みです。

二律背反とは

二つの相反する命題や推論が、同じだけの合理性・妥当性をもっていること。また、自己矛盾に陥ること。

という意味ですが、二件の殺人事件とそれぞれ二件のアリバイがまさにこの状況になっています。

第75回日本推理作家協会賞受賞作ですが、それに相応しいしっかりとしたミステリーです。

主人公については、いまだに、「僕」や「新人」としか言われていなく、名前が出てこないのは意図的としか考えられないですし、時乃の鮮やかな安楽椅子探偵っぷりが清々しいほどですので、まだまだ続編も注目です!


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