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【簡単あらすじ】透明人間は密室に潜む(微ネタバレ)【阿津川辰海/光文社文庫】


『 透明人間病 』


細胞の変異により、全身が透明になってしまうという恐ろしい病にかかった女性。
その病気が確認されてから約百年がたち、効果的な新薬が開発されるなど、対策も進んできている。
しかし、ある理由から女性は殺人を実行する。



『はじめに』
続々と梅雨明けが発表され、それに伴い最高気温も上がり30度どころか35度を超えることが増えています。
私は暑さに弱いため不要不急の外出は減らしている時期ですが、エアコンを起動し、自室で飲み物を飲みながら読書をするという、絶好のシチュエーションを得られる時期が到来したとも言えます。ですので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
この感想で、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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本作は、

(1)透明人間が事件を起こしたら、どのような流れと結末になるのか。
(2)裁判員に選ばれた人たちが、アイドルオタクのみだったら。
(3)聴力に特殊な能力を持っている探偵の、ある事件簿。
(4)ミステリーイベントに参加した少年たちが、ある事件に巻き込まれて…

という背景の、四編の短編集になっています。

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個人的には、

表題となっている「透明人間は密室に潜む」がお気に入りです。

「透明人間」

多くの人が、一度は(良い意味でも悪い意味でも)考えたことのあるシチュエーションで、「透明人間が殺人事件を起こしたら」という内容になっています。

作品には、透明人間が殺人事件を起こす場合の傷害、

① 透明になっているため、食べたものが消化されるまでは丸見えになる。
② 裸で歩き回らなければいけないため、子どもなど動きが読みにくい人の近くには行けない。
③ 裸のため、汗をかいた場合に足の裏に砂などが付きやすい。

など、細かいところが描写されています。

そして、上記の制約が影響し、殺人者は殺人現場から逃げ出すことが出来ず、現場に閉じ込められてしまうという絶体絶命のピンチに陥ります。

しかし、殺人者も頭を働かせ・透明人間である状況を上手く利用し、追い詰められながらも現場から逃げ切るためのトリックをすぐに考えます。

殺人現場での透明人間と探偵との戦い、そして後日譚と大変面白かったです。

阿津川辰海さんは、本作だけでなく、様々なシチュエーションとトリック等を絡めるのが大変上手ですので、これからも追いかけていきたい作者さんです。

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