「空海式」 悩みの克服方法
『空海「三教指帰」―ビギナーズ日本の思想』 を読んで
この本は、空海が若き日に著した本です。
日本史上最高峰の天才とも言われる空海もまた、多くの人が経験するのと同じ悩みを持っていました。この本を読むと、空海がどのようにして、それらの悩みを克服したのか、その軌跡に触れることができ、その圧倒的な努力に痺れます。
彼が抱えていた悩みは、社会で常識とされる生き方に対する反発心、そして、彼の見いだした進路に対する親族の強い反対、でした。非常にありふれた悩みで、現代を生きる私たちにも重なるのではないでしょうか。
彼が凡人と違う点は、頭の良さではなく、その時にとった行動です。その行動によって、次々とチャンスと掴んでいきます。
何をしたかというと、、、
物語を著しました。
その物語の中で、憤りを感じる社会で常識とされる生き方と、自分の進路を非難する親族とを、登場人物になぞらえました。そして、その登場人物の主張に対する完膚なきまでの反論と深い知識からくる自分の進路の正当性と魅力を展開しました。物語を通して、自分の生き方を宣言したのです。
その物語が、「三教指帰(さんごうしいき)」です。
この三教指帰が後の大僧正として大成功する空海のきっかけになったと言っても間違いでないでしょう。私が思う、三教指帰の成功した理由は3つあります。
1つ目、登場人物について深く理解していたこと。
ここでいう登場人物とは、何の疑問も抱かず敷かれたレールの上を歩く人々、敷かれたレールについて、そしてレールから外れることを許さない人人々、です。それらのことを、本人たち以上と言っても言い過ぎでない程、深く理解していました。だからこそ、反論にも説得力がありました。
2つ目、直接論破するのではなく、物語という作品を創り上げたこと。
論破でえられるものは多くありません。三教指帰という作品を創り上げたからこそ、世間に認められることになります。空海は後の遣唐使に選ばれますが、その当時年齢的に空海が選ばれることはありえません。この作品が認められ、誰かの強烈な後押しがあったからこそ、チャンスを掴むことができたと推測します。
3つ目は、自分のビジョンを明らかにしていること。
なぜ自分が仏教を学ぶのか。どういう生き方を目指すのか。誰の目から見ても明らかなほど、登場人物と比して、自分のビジョンが優位であることを証明しています。自分の志を全うすることを許さない人々や社会に向けて、不平不満を言うのではなく、実力で納得させてしますのです。
そして、それらを支えているのは、空海の圧倒的な努力です。
当時の正しい生き方である、儒教、道教、仏教を凄まじい努力で学び三教指帰を書き上げました。後の遣唐使時代には、語学の壁を乗り越えて、1年で権威ある宗派の一子相伝の継承者となりました。遣唐使として渡航する前に血の滲むような努力で語学を学んだことを容易に想像できます。
空海の生き方に触れ、自分がいかに今の環境に甘え、言い訳をしているかと言うことは思い知らされました。空海が何歳でこの著書を著したかは、正式な記述は見つけられませんでした。物語から推測するなら24歳の時です。
私は、今35歳です。彼がやっているのに、なぜ私がやらないか。始める時期に早いも遅いもありません。これから空海の100分の1でも努力を重ね、自分の力で道を切り拓いて行こと思えました。
そして、その一歩として、自分の志を批判する人への理解、そしてその反証、そして自分のビジョンは、明らかにしておこうと思います。良い本に出会えたことに感謝します。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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今日もあなたに良いことが雪崩のごとく起きますように!
出典:空海「三教指帰」 ビギナーズ 日本の思想 (角川ソフィア文庫)
加藤 純隆https://www.amazon.co.jp/dp/4044072027/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_LwL3EbZK46TQ5 @amazonJPより