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蛇の道は蛇


頂き女子は捕まり、裏金政治家は捕まらない

 「頂き女子」に懲役9年、罰金800万円が言い渡された。とニュースを目にして、どうぞ行き遅れてくださいと思いながら、懲役刑”または”罰金刑ではなく、懲役刑と罰金刑が言い渡されていることに対して、「オレでなきゃ見逃しちゃうね」と併科されている事実に気づいた。

 私は無類の金好きであるため、兎にも角にもまずは脱税による罰金刑が思い浮かんだ。では、懲役刑は何か?詐欺?ほう助?と考えながら調べたら両方だった。

 法律は専門ではないが、一般的に「ほう助」は法解釈が難しいらしく、Winny事件はこじつけだったが、こちらに関しては、マニュアルを作成して詐欺を手助けしたと捉えられても致し方なく、歴とした「ほう助」と言えるだろう。

 Winny事件の時は、違法アップロード者の逮捕に留まらず、プラットフォームの開発者が逮捕されたわけで、今回の件で置き換えるなら、このnoteの開発者がパパ活マニュアルを販売する場を提供したとして、詐欺ほう助に問われるようなもので、無茶苦茶である。

 しかし、シルバー民主主義であるが故に、テクノロジーの進化に追いつけない愚民が集まり、束になることで恣意的に、本来であれば罪のない人間を逮捕したり、逆に罪に問われるべき人間を捕まえない事態が罷り通っているあたりに、この国は事実上の社会主義国だとつくづく思う。

 頂き女子の脱税額は4,000万円で有罪判決。一方、裏金政治家は2,000万円を受け取り、収支報告書に記載していない(=個人の所得)にも関わらず、訂正しただけで延滞税も払わず無罪。これで政治家に逮捕者が出ないのは、国税局に対する不信感を醸成する一方で、いかがなものかと思う。

頂き女子とアイドルは何が違うのか?

 頂き女子を擁護する意図はないものの、モテない野郎の下心を煽って商売をする実態は、アイドルと大差ないのではないかとも思う。両者の違いはどこから来るのだろうか。

 恐らくは利権構造の違いだろう。いわゆるアイドルの場合、事務所やメディアを経由して売ることで、偶像を維持し続けた方が、多くの関係者にとって利益となるため、社会的に潰さない方が得であると判断できる。

 しかし、頂き女子の場合、直販の域を出ないため、その偶像が崩れた瞬間に、「騙された」と思った人から告発されて詐欺となる。

 アイドルオタクにも、いわゆるガチ恋勢は存在するが、事務所やメディアという権力がバックにつくことで、その恋愛感情が実らないことを薄々気づいていても、「騙された」にはならず、「錯覚した本人が悪い」にすり替わる。

 故にモテない野郎の下心を煽って商売をするという、本質的な構造は同一と考えるが、いかがだろうか。

泥棒を捕まえる役は、泥棒にやらせるのが一番

 とはいえ、他の女が詐欺で捕まり、本人はそのほう助で捕まっているあたりからして、再現性のあるパパ活マニュアルを作成している何よりの証拠である。

 その高いコミュ力や洞察力を、真っ当なことに活かせていれば、社会に高い付加価値を提供できた可能性もあり、それらの能力を活かせる場が、パパ活以外にない社会というのも、学歴至上主義が生み出した歪さが諸悪の根源な気はする。

 手前味噌だが、私は高次の空間認知能力が備わっている影響からか、その気になれば情景に写っている微かな情報(手がかり)を元に、ざっくり7割くらいの精度で現地を特定できる特殊能力がある。

 いわゆる2chの特定班に相当するものと思われるが、この能力は自分が好きな作品の聖地巡礼程度にしか使っていない。

 あまりの情報収集&分析能力の高さに、友人や社畜時代の同僚にFBIとかCIAのあだ名を付けられる体たらくだが、恐らく私がアイドルオタクガチ恋勢だったら、SNSに投稿された瞳に反射する景色から居住先を特定して、ストーカーで捕まっているwとブラック過ぎて笑えないジョークで返すよう努めている。

 悪用時の危険性を鑑みると、ストーカーほう助の罪に問われるリスクが付き纏うため、具体的なメソッドや培ったノウハウは、公開することなく墓場まで持っていく他ないのが悔やまれる。

 しかし、ホワイトハッカーのように、2ch特定班の総力が、警察組織の捜査部隊に加えられるなら、結構な精度で犯人を捕捉できそうな気もするが、おおよそ公僕には適さないパーソナリティや、捜査情報が漏洩するリスクを天秤に掛けると、ニートや子供部屋おじ(おば)さんとして、社会では一切活用できていないのが現状だろう。

 そうして、逆走ママチャリのような、しょうもないネットのおもちゃの特定ばかりやっては、しょうもない暇つぶしをしている訳で、才能の無駄遣い感から来る、勿体なさすら感じる。

 と言うのも、投資家保護が最も手厚いと言われている米国の、証券取引委員会の初代長官であるジョセフ・パトリック・ケネディ氏は、ケネディ大統領のお父さんと言えば聞こえは良いが、インサイダー取引で荒稼ぎした、いわゆる大悪党として名高かった。

 しかし、彼の財政支援を受けたルーズベルト大統領は「泥棒を捕まえる役は、泥棒にやらせるのが一番だ」と大悪党を抜擢したことで、投資家保護が最も手厚い米国株式市場の礎を築き、そのノウハウやシステムは現代にも脈々と受け継がれている。

 私は性善説を肯定こそしないものの、同時に、悪事を働きたくて働く者も居ない考えている。真っ当な環境に身を置いていれば、悪事を働くのはリスクしかないからだ。

 そのリスクが無い人を「無敵の人」と表現したりするが、偶然にも本人の努力では如何様にも変え難い、不遇な環境に身を置いて、社会から疎外されてしまったが故に悪事を働く他ない所まで、追い詰められてしまったのであれば、前科者の烙印で社会的に抹殺してしまうのは逆効果だと考える。

 むしろ実体験をもとに、犯罪の手口、心理、メカニズムを熟知しているスペシャリストとして、それらを取り締まる側に回れる役割を、社会がどう創出していくかが、未来がディストピア化しないために重要なのではないかと考える。

 そのためにも、裏金政治家は一度捕まって頂き、その後、裏金が作れない仕組みづくりをする側にまわって頂いた方が、裏金問題に対する本気度が窺え、政治不審を払拭するアピールとしては有用なのではないだろうか。


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