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教養としての「世界史」の読み方 (著・本村凌二さん)を読みました

吉田:これは10月のポッドキャストで紹介した本なんですけど、本村凌二教養としての世界史の読み方」。2017年に出版された本が今年文庫化された本です。今年、200冊ぐらい本を読んで、その中から1冊おすすめを選ぶとしたら、この本をおすすめしたいです。

昨年12月に配信したポッドキャストで吉田さんが2024年の1冊としてオススメされていたので年末年始に読んだのがこの本です。Kindle版を読みました。

本の目次です。

●序章:「歴史に学ぶ」とは何か?
●第1章:文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
●第2章:ローマとの比較で見えてくる世界
●第3章:世界では同じことが「同時」に起こる
●第4章:なぜ人は大移動するのか
●第5章:宗教を抜きに歴史は語れない
●第6章:共和政から日本と西洋の違いがわかる
●第7章:すべての歴史は「現代史」である

本を読んで愕然としたことがあります。

記憶が薄っすら、というか、ほぼゼロ? ということです。大学の受験で「世界史」を勉強したのですが、その記憶がかなり飛んでしまっていることを認識しました、、、

そんな感じでしたが、印象深い、記憶に留めておきたいことを書き残しておきます。


文化と文明の違い

文化は自然風土の影響下にあるので、その土地では有効ですが、ほかの土地に行くと通用しない可能性があります。でも文明は、そうした「地域性」を超越した、ある意味「普遍性」を持ったものだということです。

本村 凌二. 教養としての「世界史」の読み方 (PHP文庫) (p.41). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

文明発祥に必要なもの、状況(その状況にならなかったがために日本に文明はうまれなかった)が指摘されています。そういうことだったのか!と。この指摘は、僕が学校で学んだ世界史では為されていなかったはず。

もう一つ、初めて得た視点、切り口が「馬」の存在です。著者の本村さん、かなりの筋金入りの競馬ファンなんですね、シンパシー笑

ギリシアとローマ

 ギリシア人は敗戦という結果を不名誉と断じますが、ローマでは立派に戦った結果なら、生きて帰ってきたという時点で、すでに本人は充分な恥辱を受けていると考え、責めないということです。

本村 凌二. 教養としての「世界史」の読み方 (PHP文庫) (p.100). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

ギリシア人は「リザルトパラダイム(△)」、ローマ人は「プロセスパラダイム(▽)」だったのかもしれませんね。

そして、そのローマについて

ローマは、あれほど広大な地域を、あれほど長いあいだ平和に治めた大国であるだけでなく、欧米人にとってはルーツなのです。そのためローマは、欧米人の自負心の源であると同時に理想でもあるのです。  欧米ではこうした意識を「ローム・イディ(Rom idee)」と言います。  日本ではほとんど知られていない言葉ですが、あえて訳すとすれば、「ローマ的理念」あるいは「ローマ的理想」と言えると思います。要するに、キリスト教世界の精神的な拠り所になっている、その根底にローマがあるのです。

本村 凌二. 教養としての「世界史」の読み方 (PHP文庫) (p.214). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.


西洋と東洋

西洋では民衆の前に姿を見せることが為政者の権威につながり、逆に東洋では、民衆に姿を見せないことが権威になったのです。

本村 凌二. 教養としての「世界史」の読み方 (PHP文庫) (p.241). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

古代からすすできた歴史の違いが、この違いを生んだとのことでした。確かに、違いますよね。

産業革命をもたらしたもの

 産業革命というと、何よりも蒸気機関の発明による動力の刷新が東西の明暗を分けたように言われますが、蒸気の熱を機械を動かすエネルギーに活用する技術自体は、実は古代地中海世界ですでに使われていました。しかし、ローマ帝国でも産業の近代化は起こりませんでした。
 そう考えると、技術よりも生態環境の違いのほうが大きかったと言えるのではないかと思います。  イギリスを中心とする西ヨーロッパが、こうした生態環境の恩恵を受けたのに対し、アジアは、産業革命を起こすだけの力を持ちながら、有利な条件に恵まれなかったために後れを取ってしまった。

本村 凌二. 教養としての「世界史」の読み方 (PHP文庫) (p.144). 株式会社PHP研究所. Kindle 版.

産業革命=蒸気機関 という図式は、非常に短絡的な認識なのだなあ、と教えられました。「なぜだろう、何がそれを引き起こしたのか」という問いを自分で持つことが大切ですね。

すべての歴史は「現代史」

過去に起きてきたとされるコトを「今」の視点から解釈する=「歴史」。

昨日、たまたま、イスラエルの歴史教育について紹介するテレビ番組を見たのですが、確かに「今」の視点で解釈されたイスラエルなりの「歴史」が学校で子どもたちに教えられているようでした。

「歴史」として捉えられているのは、本当に起きた事実が全て反映されているわけではない、その認識を持つことが大切なのだろう、と感じました。

世界史、歴史をどう見るか、を自分で考えるための読書体験となりました。

ご紹介してくださった吉田さんに感謝です。

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