はかるとわかる
「わけるとわかる」の続きです。
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「わける」と「わかる」が似ているように、「はかる」と「わかる」も似ています。見た目というか字面が似ているのです。
わける、わかる
はかる、わかる
ただし、「わける」と「わかる」はイメージも似ている気がしますが、「はかる」と「わかる」のペアのほうはイメージは似ていないと感じます。
とはいえ、イメージや似ているは個人的な印象ですから、人それぞれでしょう。
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*はかる:人が最も苦手とする行為。人は、「はかる」ための道具・器械・機械・システム(広義の「はかり」)をつくり、そうした物たちに、外部委託(外注)している。計測、計数、計算、計量、測定、観測。とりわけ機械やシステムは高速かつ正確に「はかる」。誤差やエラーが起きることもある。
*わかる:人が自分は得意だと思っている行為。「わける」は見えるが、「わかる」は見えない。見えないから、その実態も成果も確認できない。お思いと同様に共有できない。行為や行動と言うよりも観念。一人ひとりのいだく思い込み。解釈、判断、判定、判決、理解、誤解、解脱、悟り。
*わける:人が得意な行為。ヒトの歴史は「わける」の連続。分割、分離、別離、分断、分類、区別、差別、分岐、分別、分解、分節、分担、分裂、分配、分け前、身分、親分・子分。言葉と文字の基本的な身振りは「わける」。つかう道具は、縄と刃物とペン。線を引き、切り、しるす。
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このように考えると、人の代りに「はかる」をしてくれている「はかり」たちが実に頼もしい道具に見えてきます。
なにしろ人は全面的に「はかる」を、道具・器械・機械・システムといった「はかり」に外部委託しているのですから。かなり信頼しているもようです。
でも、「はかり」は、人が自分の知覚機能と自分の都合に合せてつくったものである点を忘れてはならないと私は思います。自然物でもないし、全知全能の神から授かったものでもありません。
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ということは、人は「はかり」に掛けているのだと言えるでしょう。実際、「はかり」に掛けないことには「はかる」ことはできそうもありません。
つまり、人は自分に欠けた能力を自分のつくった「はかり」に代行させているのです。
欠ける ⇒ 掛ける ⇒ 賭ける
これは賭けではないでしょうか。
「はかり」に掛けるときって、わくわくしませんか? 私はどきどきます。数値のことですけど。
掛けるは賭け。
そもそも、はかりをはかるはかりはないみたいです。
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はかるとわかるのか?
はなはだ疑問です。「わかる」は見えませんから。
ただ、あちこちでせっせと「わける」に精を出していることは目に見えます。
分割、分離、別離、分断、分類、区別、差別、分岐、分別、分解、分節、分担、分裂、分配、分け前、身分、親分・子分。
はかるとわける。はかってわける――。
現在、この星で起きているさまざまな出来事や、公表される数値を見ていると、人類が賭けに勝っているのか不安にならずにはいられません。
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体調が良くないので、記事を短めにするように心がけています。今回はちょっと長すぎました。気をつけたいと思います。
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