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帆立貝のポワレ 〜レモンクリームソース〜 カジュアルで垢抜けた南仏ワインに

先日の週末、恵比寿に足を運び家族でクリスマス気分を満喫した。恵比寿駅を降りて水平エスカレーターをしばらく進みガーデンプレイスに。毎年恒例、バカラのシャンデリアが点灯されている。今年で23回目とのことでエターナルライツ2022 -歓びのかたち、のテーマで開催されている。シャンデリアの輝きは困難な時を乗り越え続け、今年も歓びを共有し、灯りによって一人でも多くの方に希望と笑顔が生まれたら、というメッセージが込められている。透き通るようなガラスに包まれたシャンデリアの灯りを見ていると、心が洗われる気がする。

なお、バカラはフランスのロレーヌ地方のバカラ村で創設されたクリスタルブランドで、もともとは1764年にガラス工場として誕生した。ロレーヌ地方はリースリングなどの白ワインの銘醸アルザス地方に隣接する。ドイツに国境を接する。あまり広く知られていないがロレーヌ地方でもオーセロワ品種(白ブドウ)などからワインが造られている。
 
シャンデリア見物の後は早めの夕食、カジュアルなビストロRue Favart (リュファヴァー)に入る。入り口を入るとガラス棚に陳列されたスイーツが出迎えてくれる。スイーツも売りのようだ。2階に通されメニューをしばし眺め、シーフードはスモークサーモンとオニオンスライス、帆立貝のポワレ 〜レモンクリームソース〜を注文。他にはポテトフライ、自家製ソーセージのシュクルート風、越後もち豚バラ肉のブレゼを。

スモークサーモンにはオニオンスライスに加えて、ケイパーが散らされていて、爽やかなひと皿。

帆立貝の調理「ポワレ(poêlé)」は、フライパンで肉や魚をカリッと香ばしく焼き上げる手法だ。料理を決めた後に何を合わせるかなとワインリストに目をやる。イタリア ヴェネト州のシャルドネやフランスのシャブリなども気になったが、最近のマイブーム、シーフードに合わせたら無敵のヴェルメンティーノ品種のワインを発見。いつも飲んでいるイタリアのものではなく、フランスのもので、どんな違いがあるかワクワクしながらオーダーする。
 
マリウス ブラン by ミシェル・シャプティエ, ラングドック・ルーション, フランス, 2020, 4,000円 (レストラン価格)
Marius by Michel Chapoutier, France

ミシェル・シャプティエは1808年ローヌの銘醸地タン・エルミタージュに創業して現在は7代目。ロバート・パーカーから100点満点の最高評価を40回以上も獲得。1本10万円を超えるようなワインを造りつつ、1,000円前後のワインも手抜かりがない。こちらのワインも小売価格は1,000円前後。
最近、イタリアのトスカーナ、リグーリア、サルディーニャ島でヴェルメンティーノ品種から造られるワインにはまっているが、こちらは南仏のカジュアルワインの産地ラングドックのヴェルメンティーノ品種だ。
香りにはグレープフルーツ、レモンのはっきりとした柑橘香、ほのかにスモーキーなタッチ、白い花のフラワリーなフレーバー。磯の香りも。
風味にはみずみずしく透明感の高い軽快な果実味、中盤から余韻にかけてほろ苦さ、軽い塩味。あか抜けていてバランスに優れた印象だ。
スモークサーモンに合わせる。スモークサーモン単体で食べるよりも断然、ケイパー、オニオンスライスを添えた方がワインへのつながり良くなる。サーモンのリッチな脂とコクを、生タマネギの鮮烈な辛味、ケイパーのハーバルと調味料のヴィネガーの爽やかな香りが心地よく引き締める。オニオンとケイパーの爽やかな香りを起点にワインの酸味が一体化、料理が吸い込まれるようにワインに繋がっていく。相性: ★★★★☆
帆立貝のポワレ 〜レモンクリームソース〜に。まずはソースを付けずにホタテ単体でワインに合わせると、ホタテの旨味、磯の香りがこんがりとした焼き目のこうばしさを伴いながら口内に広がる。そこにワインのあか抜けた果実味とほろ苦さ、軽い塩味が継ぎ目なく繋がる。続いて、レモンクリームソースと一緒に。クリーミーな乳脂肪分が料理のボリュームがよりリッチに、レモンの酸味は乳脂肪分に包まれてまろやかに広がりホタテのコクと旨味を包み、そこにワインの垢抜けた柑橘香、軽快な塩味が調和しつつ、味覚を様々な角度から刺激する楽しいひと皿。相性: ★★★★☆
 
サーモンとホタテのオーソドックスな食材に、オニオンとケイパー、レモンクリームソースでワインとの距離が一気に縮まり、余韻の幸福感も一気に高まった。

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