見出し画像

銀のさら宅配お寿司 島根ワイナリー縁結 甲州の繊細でピュアな果実香

銀のさらのお寿司をデリバリー。注文したのはオーソドックスなメニューで、シラス、イカ、穴子、カジキマグロ、海老、甘エビ、ネギトロ、トロ、サーモン、イクラに玉子。

合わせたのは南アフリカのスパークリングワイン(シャルドネ主体)と島根ワイナリーの白ワイン(甲州品種)。風味の繊細なシラスやイカは甲州に合わせ、風味がしっかりとしたトロやエビには南アのスパークリングワインを。

この島根ワイナリー縁結 甲州はちょっとした事件で一躍有名になった。国内最大級のワイン品評会、日本ワインコンクール。2019年は788銘柄が出品し、21銘柄が金賞を受賞。そこで「甲州部門」の部門最高賞に山梨県以外のワインが初めて選ばれたのだ。それがこの島根ワイナリーの甲州。
甲州品種は日本ワインの代表品種であり、その9割超が生産される山梨県が誇るブドウ。品種名の甲州は山梨県の旧称で甲州市という地名もある。起源には諸説あるがよく知られる二説はいずれも山梨県勝沼が発見場所とされる(奈良時代に行基が発見或いは1186年に雨宮勘解由が発見)。こういった歴史的背景、現在の生産量、品種名からしても、強い思い入れのある山梨としては、部門最高賞を島根に持っていかれたのは相当な屈辱だったに違いない。

ちなみに島根ワイナリーの甲州は過去に牡蠣鍋に2020年ヴィンテージのものを合わせていた。

今回の2019年ヴィンテージのものは2020年7月に購入し約3年、自宅セラーに眠っていた。上述の事件で入手が困難になったこともあり、なかなか開けられずにいた。あまり熟成させて楽しむタイプのものではないが、どのように変化しているかワクワクしながら開栓。特にシラス、イカの繊細な風味、甘みに、島根ワイナリー 縁結 甲州の繊細な果実香、吟醸香のようなフレーバーが絶妙に調和した。

さて、お寿司とそれぞれのワインの相性について。


島根ワイナリー, 縁結, 甲州, 2019, 1,980円

起源は昭和34年(1959年)に遡る。デラウェア100%でのワイン醸造を開始。ワインの原料となるブドウは、生食用のデラウェアや契約栽培の甲州、マスカット・ベーリーAを中心としていたが、適地を求め中国山地の奥出雲町(旧横田町)に自社農園「横田ヴィンヤード」を開園するなどし、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニョン品種といった高品質な国際品種のワインもリリース。

香りには青リンゴ、白桃を微かに、吟醸香のような華やか香り、セルフィーユ、香りのボリュームは控えめでスリム。
味わいには瑞々しくピュア、透明感の高い繊細な果実味。酸味は穏やか。余韻に旨みとほろ苦さを軽やかに。わずかに熟成から来る落ち着きやひっかかりも余韻に。

お寿司にワインを合わせていく。
シラスに。シラスの繊細な風味、甘みをワインの吟醸香のようなフレーバーが引き立たせる。相性: ★★★★☆
イカに。ワインがイカの風味の芯まで入り込み、その甘みをより一層際立たせる。相性: ★★★★☆
穴子に。ケンカはしないが甘辛のタレの味付けにワインの繊細さが負けてしまった。相性: ★★★☆☆
カジキマグロに。ケンカしないが高めあいもないか。ワインのピュアで繊細な風味が生かしきれない。相性: ★★★☆☆


エルギン・リッジ, MCC, ブリュット ブラン ド ブラン 2015, シャルドネ, 南アフリカ, エルギン, 12.5%, 2,960円
Elgin Ridge, MCC Brut Blanc de Blanc

畑では化学薬品や農薬は一切使せず、ビオディナミ農法に沿って畑の手入れを行う。エルギン・リッジは南アフリカ屈指のクールクライメイトを誇る銘醸地。
琥珀がかった強い色調、細やかな泡が力強く持続的。開栓翌日も力強い。
香りには蜜漬けの花梨、洋梨のコンポート、自然派系の作りに典型的なビネガー香り。モカのビターなニュアンスと熟成による落ち着いた果実香が重なりグリップのある芳香。
味わいには酸味が攻撃的ながらその奥の奥に、リンゴのリキュールの微かな甘み。余韻にはほろ苦さが残りゆるゆると長く風味が持続。

お寿司にワインを合わせていく。
エビに。茹でられて凝縮した、甲殻類のグリップのあるフレーバーに、ワインの果実味の滋味と強めの酸味が調和。相性: ★★★★☆
甘エビに。茹でられたエビとは異なる生のエビならではの甘みや繊細な風味に、ワインの風味が強すぎた。島根ワイナリー甲州と合わせるべきだった。相性: ★★★☆☆
ネギトロに。マグロの赤みのフレーバー、叩かれて凝縮された風味に、ワインの果実味の滋味と酸味が心地よく寄り添う。相性: ★★★★☆
トロに。ネギトロに比較すると食感、風味ともにさらっとしていて、パワーのあるワインにはやや物足りず平凡な相性。相性: ★★★☆☆
サーモンに。ワインの風味が強く、サーモンの脂、その甘みをやや圧迫。相性: ★★★☆☆
イクラに。ワインに魚卵は喧嘩することが多いが、不思議とケンカしない。ワインの熟成感と自然派の造りならではの果実味の滋味が魚卵のクセやコクも包容。相性: ★★★☆☆

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?