牡蠣グラタン サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種の安定感抜群の相性
生牡蠣にワインはかなりハードルが高いが、蒸し牡蠣やグラタンにすると独特の磯の香りが和らぎ一気にワインとの距離が近づく。牡蠣独特の磯の香りとほろ苦さを念頭にワインを選ぶとさらに喧嘩リスクを引き下げられる。
生牡蠣にもいろいろとワインを合わせてきた。
先日は浅草のシーフードレストランで牡蠣グラタンとイタリア シチリア島のグリッロ品種のワインが素晴らしい相性だった。
牡蠣グラタンと白ワインの余韻に浸りたいと妻に牡蠣グラタンをリクエスト。たっぷり入れてくれた牡蠣をに、4種のワインをじっくりと合わせていく。
牡蠣の磯の香りとほろ苦さとの予想した相性のポイントとしてはイタリアの スプマンテの泡の刺激で緩和、OKストアのコスパ抜群のニュージーランドのピノ・グリのシーフードに無敵の陽気な果実味での包容、甲州品種のほろ苦さを同調、イタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種の潮の香りへの同調。さて、実食し検証。
ヴァンジーニ, ピノ・ネロ, スプマンテ, エクストラ・ドライ、2,109円
Vanzini, Pinot Nero, Spumante Extra Dry
ピノ・ネロ、つまり黒ブドウのピノ・ノワール100%で造られるワイン。
香りにはリンゴのコンポートをほのかに軽快に、干し藁のようなスパイシーなヒントは温度が上がるにつれ強まる、黄色い花、控えめなボリューム。
風味には黒ブドウらしい密度のある質感と充実の飲みごたえ、シャープな酸味、中盤からじわじわとほろ苦いタッチ、余韻にはまったり、クリーミーな厚みも。
牡蠣グラタンに。力のある果実味が牡蠣のほろ苦さに反発するかと思いきや、泡の刺激も緩衝材にしっかりと繋がる。グラタンソースのクリーミーさうまくコーティングしてくれていることも手伝っている。むしろ余韻の牡蠣のほろ苦さをワインがふわりと立ちあげてくれ、それらの反発もない。相性: ★★★☆☆
シャーウッド・エステート, ストラタム, ピノ・グリ, ワイパラ, ニュージーランド, 1,452円
Stratum, Sherwood Estate, Pinot Gris, Waipara Valley, New Zealand, 2022, 13.5%,
香りにはみずみずしく陽気なグリーンアップル、ピンクグレープフルーツ、白桃、グァバ、ライムの真っ直ぐに伸びるような果実香、黄色い花、軽やかにセルフィーユのハーバルなタッチ、微かに白胡椒、還元的な火薬の香りも。
風味にはみずみずしく伸びやかでハリのある万人が好きな親しみのある果実味、果実味の上品で柔らかい甘み、酸味は穏やかでアプローチャブルでチャーミングな柔らかい残糖、余韻にはドライな柑橘果皮の香りが鼻腔抜けていく。OKストアワインの驚異のコストパフォーマンス。
牡蠣グラタンに。ハリのある果実味は牡蠣の磯の香りに不思議と溶け込んでいき上質で充実の余韻に。還元的な火薬の香りのようなタッチが牡蠣のほろ苦にも相性が良い。
相性: ★★★★☆
ドメーヌ・デ・テンゲイジ, 甲州, argenté アルジョンテ 2019, 3,443円
香りには大ぶりの和梨のおおらかでみずみずしく柔らかい香り、青いトマト、パパイヤのアクセント、ワインヴィネガーのようなやや酸化的なニュアンスもほのかに。
風味にはみずみずしい軽やかな凝縮感、前半からほろ苦さが走る。若干の酸化のニュアンスと軽快な果実味のためか酸味を強く感じる。パパイヤなどの香りに日照時間の恵みが垣間見られるが、どちらかというと酸味がやや強く風味の統制、バランスを重視したスタイル。
牡蠣グラタンに。ホワイトソースの存在はやや押しやられるが、牡蠣とワインの相性の良さがダイレクトに伝わる。ワインにより牡蠣の磯の香りとほろ苦がふわりと立ち上がり、牡蠣を食べたときの喜びが増幅される。相性: ★★★★☆
ジュゼッペ・ガッバス, マンザニーレ, 2019, ヴェルメンティーノ・ディ・サルデーニャ , イタリア, 2,464円
GIUSEPPE GABBAS, Manzanile
「マンザニーレ」とは「早朝」という意味の言葉。元々は自家消費用として造っていたワインをお客のリクエストにより商品化。生産量は僅か5,000本。
香りにはグレープフルーツ、ライムの青いニュアンスも微かに、果実香はやや控えめ、グラスを回すと潮の香りがふわりと広がる。
風味にはみずみずしい口あたり、中庸ながらしっかりとワインを引き締める酸味でワインには緩さはない、グリップとほのかな渋みとビターネス、余韻にヨードが明瞭で岩塩を舐めた後のよう。
牡蠣グラタンに。ホワイトソースに包まれた牡蠣の磯の香りとほろ苦に継ぎ目なく、まるで口内で料理とワインが一緒になる前から繋がっていたような一体感。円熟の安定カップルの静かな貫禄。相性: ★★★★☆
いずれもなかなかハイレベルな相性を見せてくれたが特に、サルディーニャの島ワインとの抜群に安定的な相性が光った。