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イカ墨パエリア 墨のコクに寄り添うシチリア島の潮風香るワイン
自宅で妻のお手製イカ墨パエリア。墨をたっぷりと吸い込んだお米の上にイカのリングとレモンの鮮やかなイエロー。見た目も楽しく食卓が華やぐ。さて、イカ墨のコク、少しクセのある磯の香りには合うワインが絞られる。
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過去にはイカ墨のパスタになるが、イタリアマルケ州ヴェルディッキオはいつも安定して素晴らしい相性を見せてくれた。カドが取れてまろやかさを増した熟成ボルドーも捨てがたい。
今回はセラーに本命のヴェルディッキオがなく、空いていたワインからいろいろと合わせてみた。チリのロゼ・スパークリング(ピノ・ノワール品種)、イタリア リグーリア州のヴェルメンティーノ品種、シチリア島のグリッロ品種、サルディーニャ島のトルバート品種の計4種。特に相性が良かったのがシチリア島のワイン。ワインを合わせるとイカ墨に活力が加わり、風味の迫力が一層増した。
イカ墨パエリアとそれぞれのワインの相性について。
ドンナフガータ スルスール, グリッロ, イタリア, シチリア
Donnafugata, SurSur, Sicilia, DOC, Grillo, 2021, 13%, 約3,000円
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ドンナフガータ社のオーナーは何世代にも渡って酒精強化ワイン、マルサラワインの生産に携わってきた由緒ある家系。
「ドンナフガータ( 逃げた女 )」という名は、19世紀初頭にブルボン朝の王の妃が、ナポリで起きた革命を逃れて、現在のドンナフガータ社のある土地へ逃げてきたという歴史にちなんだもの。
香りにはグレープフルーツ、レモン、ライムの爽快な柑橘香。柑橘果皮のビターなニュアンス。典型的な南の緩いワインとは一線を画すフォーカス。海岸の潮風、レモングラスも。
味わいには瑞々しい果実味。冷えた状態では酸味が締まり的確なフォーカス(温度が上がり緩くなるのもまた魅力)、キュッと効いた塩味、余韻にはグリップのあるほろ苦さ。
イカ墨パエリアにワインを合わせる。ワインのやや力のある塩気や潮風の香りが、イカ墨に活力を与えてコクがさらに引き立つ。相性: ★★★★☆
コノ・スル, スパークリング・ワイン, ロゼ, チリ, ビオ・ビオ・ヴァレー, 825円(スーパーの特価で購入)
Cono Sur, Sparkling Wine, Rose, Bio-Bio Valley, Chile
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Cono Sur とは「南向きの円錐」という意味。その地理的な場所を表すとともに、世界最南端の地で表現豊かで革新的なワインを造るという気概の表れ。1993年設立。
ピノ・ノワール100%で造られるワイン。オレンジが強く入ったサーモンピンク。持続的な泡立ち。
香りには快活なチェリー香。ビスケットや食パンの香ばしさやイースト香はどこか上級のロゼ・シャンパンを思わせる。が、余韻の奥に少々甲高い植物的なニュアンスあり。
味わいは瑞々しく伸びやか、快活でチャーミングな果実味。的確にワインを引き締める酸味。余韻にはビターネスとこうばしさが続き充実のフィニッシュ。若干抽出が多い印象だが素晴らしいコスパ。
イカ墨パエリアに。快活な果実味とイカ墨のコクと磯の香りはどこか風味のベクトルが異なる。大きなケンカはないがしっくりこない。相性: ★★★☆☆
ルナエ, エチケッタ ネーラ, コッリ・ディ・ルーニ, ヴェルメンティーノ, イタリア, 3,729円
LVNAE, Etichetta Nera, Colli di Luni Vermentino
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トスカーナ州とリグーリア州の境にワイナリーと畑をもつ。コッリ・ディ・ルーニは両州にまたがる産地の呼称。ワイナリー名のルナエの由来はラテン語の「Lunae(月)」。古代ローマ時代、ワイナリーの土地の近くに「Luna(イタリア語で月)」という名の町があり、高品質なワインを造っていたことにあやかった。
ブドウは9月半ばに手摘みで収穫。24-36時間コールドマセラシオンした後にプレス。
ステンレスタンクで定温下(15-17℃)で発酵。
香りにはフレッシュなグレープフルーツ、レモン、ライムの活力のある柑橘香が溢れる。軽快で繊細にハーブと潮の香りが絡みワインをエレガントの極みに。
味わいには瑞々しくのびやかな果実味。シャープでメリハリの効いた酸味、余韻にはグリップ感のあるほろ苦さが残り様々な表情がエレガントに。
イカ墨パエリアに。ケンカなくワインのグリップ感のあるほろ苦さがイカ墨にまずまずの相性。ただ、イカ墨のやや力のあるワイルドなコクは、リグーリアのエレガントなヴェルメンティーノではお相手務まらないか。サルディーニャ島の潮の香りがしっかり入ったヴェルメンティーノの方が相性良さそう。相性: ★★★☆☆
セッラ&モスカ, テッレ・ビアンケ, トルバート アルゲーロ, サルディーニャ, イタリア, 2020, 1,638円
Sella & Mosca, Terre Bianche, Alghero Torbato, Sicilia, Italy, 2020, 12.5%
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“テッレ・ビアンケ”は「白い大地」という意味。石灰質の多い白い畑に由来。
色調は鮮烈なゴールド。
香りにはグレープフルーツ、ライム、グレープフルーツの果皮、微かなハーブや微かにほしわらの植物的なニュアンス、ポジティブな酸化的なニュアンスも。グラスを回すとマルメロ、黄色い花も豊かに、潮の香りがふわりと。
風味には果実味はやや控えめでほろ苦さ、塩味やミネラルのニュアンス、突出した個性はないがバランスに優れる、磯の香りに包まれるようなワイン。開栓から1ヶ月が経過したが、風味の崩れが限定的。程よい酸化で異なる表情を見せてくれる。
イカ墨パエリアに。ワインの風味は見た目の力強い色調とは裏腹に、軽快に花梨や蜜の香り、風味は軽快。イカ墨のコクに寄り添うが期待以上の高め合いはない。墨にバランスするようにもう少しワインに力が欲しい。相性: ★★★☆☆