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いかの塩辛のワイルドな磯と肝の香り 島根ワイナリー縁結 甲州の吟醸香
いかのわたに漬けて熟成させた独特の風味をもつ”いかの塩辛”は、ワインに合わせるのは簡単ではない。いや、日本酒や焼酎以外に合うお酒があるのだろうか。
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いかの塩辛そのものにではなく、トッピングや調味料的に料理に使ってワインに合わせたことはある。じゃがバターに塩辛をトッピングしたものにスペインのカヴァがなかなか好相性だった。また、いかの塩辛を炒めてミートソーススパゲティに混ぜ、イタリア カラブリア州の赤ワイン(ガリオッポ品種とカベルネ・ソーヴィニョン品種のブレンド)に合わせたときは極上のペアリングを体験。
ジャガイモをレンジで温めバターを投入、加えてイカの塩辛をトッピング
イカの塩辛を効かせたミートスパゲティ
とはいえ、いかの塩辛そのものには合わせていなかった。今回遂に禁断の組み合わせに挑む。島根ワイナリーの縁結 甲州の吟醸香に似た香り。いかの塩辛にも日本酒に合わせるようにいけるのではと背中を押された。さらにはいかの塩辛に、強烈な臭いと個性の塊のブルーチーズを添えて合わせてみた。
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いずれも期待を裏切らず、ワインの吟醸香に似た香りが塩辛やブルーチーズの個性的な香りをも包容し、みごとに調和。これでいかの塩辛に合わせるワインは?と聞かれても、いつでも自信をもって答えられる。同じ甲州でも甲高い柑橘香を伴うものだと相性は劣りそう。島根ワイナリーの穏やかで繊細な甲州の柑橘香がちょうど良い。
さて、いかの塩辛とワインの相性について。
島根ワイナリー, 縁結, 甲州, 2019, 1,980円
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起源は昭和34年(1959年)に遡る。デラウェア100%でのワイン醸造を開始。ワインの原料となるブドウは、生食用のデラウェアや契約栽培の甲州、マスカット・ベーリーAを中心としていたが、適地を求め中国山地の奥出雲町(旧横田町)に自社農園「横田ヴィンヤード」を開園するなどし、シャルドネ、ソーヴィニョン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニョン品種といった高品質な国際品種のワインもリリース。
香りには青リンゴ、白桃を微かに、吟醸香のような華やか香り、セルフィーユ、香りのボリュームは控えめでスリム。
味わいには瑞々しくピュア、透明感の高い繊細な果実味。酸味は穏やか。余韻に旨みとほろ苦さを軽やかに。わずかに熟成から来る落ち着きやひっかかりも余韻に。
いかの塩辛にワインを合わせる。ワインが纏う吟醸香のような香りが、塩辛のわたや熟成による個性の塊を包み込む。五つ星にするか悩む。塩辛専用ワインに認定したい。相性: ★★★★☆
いかの塩辛にブルーチーズを添えて。チーズといかの塩辛の発酵臭、熟成香、乳製品の香りの入り混じったとんでもない香りに、ワインの纏う吟醸香のような香りが絶妙に調和。こちらも五つ星にするか悩むほどの良い相性。相性: ★★★★☆