【workshop】 『ぼうけん図書館』出版記念展のための製本教室 | no.2 岩波少年文庫をスイス装にしよう
— 製本ワークショップのご案内 —
2024年6月26日〜7月29日、東京・西調布の「TEGAMISHA BOOKSTORE」にて拙編著『ぼうけん図書館 エルマーとゆく100冊の冒険』の出版記念展が開催されます。店頭には、100冊+αの冒険物語がずらり! まるで小さな図書館みたいになりますよ。さらに、期間中『ぼうけん図書館』にちなんだ製本ワークショップを行います。ワークショップは3週連続の3本立て。というわけで、1本ずつ、詳細を紹介します。
no.2
岩波少年文庫をスイス装にしよう
2024年7月20日(土) 13:00〜16:30
item
2本目のワークショップもまた、文庫本の改装です。改装するのは「岩波少年文庫」です。わたし、むしろ大人になってからこのシリーズにハマっています。作品のラインナップや挿絵の素晴らしさはもちろんですが、ゆったりとした文字組がいい。文字組って、読むときの時間の流れや心もちに影響すると思うのです。おおらかな気持ちで読める岩波少年文庫は、少年少女のみならず、大人の読書にもおすすめです。
今回は、この岩波少年文庫を「スイス装」に仕立て直します。スイス装は別名「背開き製本」とも呼ばれ、その定義はさまざまあるようですが、ここでは表紙を開いたときに本文の背が見える様式、とさせてください(製本界の偉い方、ざっくりした解釈ですみません……)。手紙社さんでの『週末でつくる紙文具』ワークショップでは、はじめての開催となります。
specification
普段のワークショップでは手紙社さんのオリジナルペーパーを使っていますが、今回はちょっと趣向を変えて。外側の厚表紙にはネパール生まれの手漉き紙「ロクタ紙」を使います。この厚表紙がパタンとフラットに開いて、本体の背が現れます。何だか表紙と函の中間のような感じがしますね。
本体のほうも薄表紙をつけかえて装い直しを。つまり、上製本の表紙づくりと並製本の改装、両方を少しずつ体験できてしまうというわけです。
ポイントは、表紙と本文がぴたりと合わさるようにすること。そのためには寸法をきちんとだして、材料を正確に切り貼りすることが大切なのですが……それだけじゃないのが製本の深いところ。最終的には、手の加減や目の見当といった数値にはできない要素が仕上がりを決めるように思います。
material
ロクタ紙は、手漉きならではのおおらかな風合いが魅力。大胆な図案もまたハンドプリントによるもので、一枚ずつ表情が違います。数種類を用意しますので、お好きなものをお選びください。
本体の薄表紙には、エンボスのほどこされたファインペーパー「クロコGA」を使います。クロコダイルの皮革をイメージしたエンボスなのですが、繊細で上品な佇まいをしていて、ロクタ紙の存在感に負けず、かといってケンカもせず……というよき塩梅かな、と。こちらは3色からお選びいただけます。
岩波少年文庫は、『ぼうけん図書館』で紹介しているタイトル『ライオンと魔女』や『星の王子さま』などを含め、「TEGAMISHA BOOKSTORE」の店頭にあるものからお選びください。ちなみに、写真は店頭ではなくて、うちの本棚ですのであしからず。試作では、ミヒャエル・エンデの『モモ』とE. L. カニグズバーグの『クローディアの秘密』を改装しました。どちらも大好き!
厚表紙を開き、露わになった本の薄表紙をまた開く。すると、冒険の世界がみるみるうちに立ち上がり、読み手をふわりと包み込む……。スイス装という様式には、そんな宝箱を開けるようなよろこびがあるような気がします。そういえば、エルマーがカナリヤ島で見つけた宝箱からは、6袋の金貨がでてきました。あなたの宝箱からは、何がでてくるでしょう?
● 詳細およびお申し込みは、手紙社さんのオフィシャルサイトにて。
* お申し込みは6月26日の18:00スタートです。