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なみきかずし
2019年6月10日 22:31
公園のしげみの裏に座りこんで、だんごむしをころして遊んでいた。それを父親に見つかったとき、彼は、「かみさまのところへ返してあげたんだ。えらいね。」とぼくの頭をなでて微笑んでくれた。「ぼく、えらいの?」「そうだ、きみはヒーローだ。」彼は、ぼくが小学生になるころには、もう家からいなくなっていた。 ***ある日、おなじ行為を目にした母親は、こわい顔をしてぼくに怒った。「そ
ころっぷ
2024年1月31日 20:27
1 ちびた鉛筆を最後まで使う為のキャップを、私はその時初めて見た。シルバーの金具に小指の先位になった鉛筆が差し込まれている。斜めに傾げたちゃぶ台の上、インスタントコーヒーの空き瓶の中にそれが無造作に3本突っ込まれていた。初めて寺岡泡人(ほうじん)のアパートに行った時、暖房器具の一切無い冷え切った部屋で私は、その寂しげに光るシルバーのキャップをずっと見詰めていた。