短篇小説【やがて滅びる国の民へ】後編
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トキの耳に届くのは馬の荒い息遣いと、木の車輪が土を削る音だけだった。どれだけの時間が過ぎたのか見当も付かなかった。
後手に縄で縛られ目隠しもされていた。
それでも隣にミミが眠っているのが分る。
その小さな背中の上下の動きだけが、トキの心を何とか落ち着かせていた。頬に微かな風を感じる。目元の布を越す明かりが段々と薄れ、
日が暮れてきているのだろうとトキは思った。
双子の娘2人と役人住居の簡素な部屋で昼食を取っている時だった。
広場の方から大きな爆発音が聞こ