全体性を生きる ~自らにつながり直す(もう一つのイントロダクション)
どんな組織にも、道なき道を行くときは訪れます。そんな、「正しい地図」を持ち得ない場面でできることは何でしょうか。
たとえ簡単に目指すところが見通せない環境にあっても、我々は何を大切にするのか、何者であろうとするのかを、丁寧にひもといていくこと。そうして、はるか頭上に輝く北極星の存在に気づくこと。その光が指し示す大きな方向性へと心を向け、未来からのエネルギーをいま、ここで感じとり続けること。常に様々なリソースとつながるためのチャネルを開きながら、いま自分たちが立つ場において、とれる道筋を見いだして航路を紡ぎだしていくこと。
こうした活動は、対話の出発点となる素案や、ともに視点を重ねていくための思考プロセスが提示されるところからスタートさせられるように思います。
そのときに留意したいのは、素案やプロセスの良し悪しを問うのではなく、それらを起点に、「いつもの私たち」がはまってしまう行動や考え方に目を凝らし、繰り返されるパターンに気づくこと。思わず表出する反応や湧き起こる感情の奥にある願いに耳を傾け、自分の外側へと追いやっていた側面を取り戻すこと。
そうやって、大切にしていたはずのことを丁寧に掘り下げていく過程のなかに、見えなくなっていた領域に光を当てて、新しいパターンをつくりだすための手がかりが存在していることを、忘れずにいたいと思います。