今アメリカで太宰治が人気になっている理由
――単純に本の告知をするだけでは大きな効果は期待できないので、本を知ってもらう、本を手に取ってもらうための仕掛けを施す必要があると考えるわけです。
人生は物語。
どうも横山黎です。
今回は「自分の作品を読んでもらうまでの導線設計」というテーマで話していこうと思います。
📚アメリカで太宰治が人気⁉
今朝、とあるネットニュースを見ました。どんな記事かというと、アメリカで太宰治の『人間失格』が流行っているとのこと。なんで今さら海外で昔の日本文学作品が取りざたされているのかというと、TikTokでとある動画がばずったからだそうです。
詳しくは以下の記事をごらんください。
やっぱり時代はTikTokなんですね(笑)短い動画でも爆発的な普及を起こすポテンシャルがあるのがこのプラットホームの特徴かなと思います。
小説紹介クリエイターのけんごさんは、TikTokで本の紹介をしています。それを見て、興味を持たれたユーザーは読んでみたい、買ってみようかなと本に手を伸ばすわけですよね。ちなみにけんごさんの紹介のおかげで売り上げを伸びたのではないかといわれている本があるくらいに、TikTokの持つ影響力は凄まじいのです。
それは海外でも顕著で、BookTakという女性二人組のクリエイターもいらっしゃるんですが、彼女たちが紹介した本も飛ぶように売れているそう。案件動画をお願いするほど、業界も無視できない状態です。
『人間失格』の件も含め、TikTokの力を再認識したわけですが、同時に、自分の作品を読んでもらうまでの導線設計を充実する必要性について考えさせられました。
📚読んでもらうまでの導線設計
本は、コンテンツ全体を楽しみきるのに時間がかかる娯楽です。最後のページまで読み切ることで、その本を楽しみきったといえるわけですから。時間をかけて楽しむ。ここには長い時間をかけて大きく変わる心の動きを期待できるメリットがありますが、参加障壁が高いというデメリットがあります。
本屋さんに行って、タイトルや表紙に惹かれ手に取った本でも、購入にまで至らない場合があるじゃないですか。本好きの人ですら躊躇うことがあるんだから、時間に大きな価値を見出す現代人は試しに買ってみようと思いにくいんですよね。
だからこそ、とりあえず有名作品を読もうと思い至るわけです。誰もが知っている本ならばきっと面白いに違いない。はずれの確率が低いと予想がつくため、買う価値があると思うわけです。
つまり、単純に本の告知をするだけでは大きな効果は期待できないので、本を知ってもらう、本を手に取ってもらうための仕掛けを施す必要があると考えるわけです。
特に僕の本みたいにまだ認知も結果も出せていないような作品は、中身もさることながら、作品に辿り着いてもらうための設計をすることにも重きを置くべき。本を手に取ってもらうためには、その作品への入り口を整備することが必要になってくるのです。
このnoteも入り口のひとつですね。記事で告知して、本の認知を高める。それを繰り返すことで、購入意欲を高めるわけです。
あとは音楽とか。YOASOBIは小説を原作とした音楽をつくるユニットです。本よりも短い時間でコンテンツ全体を楽しめる音楽を入り口にして、小説にも興味を持ってもらえるように導線設計しているわけです。そういえば、女性直木賞作家4人のアンソロジー『はじめての』という本があります。ここに収録されている4作品は全て、YOASOBIがそれぞれの話を原作に曲を書き下ろしているんです。業界のトップランナーたちのコラボにより、相乗効果で双方が盛り上がっていけるわけです。
僕も本を書く人だから、自分の作品を読んでもらうための導線設計を常々考えているわけですが、最近はオフラインイベントに目を付けています。
📚オフラインイベントという入り口
僕は去年、『Message』という本を出版しました。
成人の日を舞台にしたヒューマンミステリーで、僕の20年分の思いを込めた集大成のような作品です。Amazonで出版したんですが、まだ無名の作家の作品が見つかるはずもないので、手売りしたり、ビブリオバトルで紹介したり、自分で動いてきたんです。
最近はまた新しい角度から攻めようと思い、「BOOK TALK LIVE “Message“」と「Message展」の準備を進めています。どちらも僕の通う大学の施設を借りて行うオフラインのイベントです。
「BOOK TALK LIVE “Message”」は、ひとつのテーマのもと本にまつわるエピソードを物語るブックトークをライブイベントとして開催するという企画。イベント名にあるように、小説『Message』にまつわるエピソードを物語っていきます。
共同創作でつくったり、Amazonで出版したり、160冊以上手売りしてきたり、ビブリオバトルで紹介して全国大会に出場したり、異色のエピソードを持ち合わせているので、以上のような話を熱弁するもつもりです。
参加はこちらから!
で、そのライブイベントの集客をかねて、「Message展」という展示会を行います。小説『Message』ににまつわる写真やイラストを展示して、ライブイベントのチラシを置いて、集客を狙います。
展示会の会場は、大学図書館1階の展示室で行うんです。図書館の受け付けは2階にあるので、図書館に行こうと思ったら、この展示室が目につくわけです。つまり、図書館に行く人が必ず目にする場所に、自分の本を読んでもらうための入り口を設けたわけです。
こんな流れをつくっていけたら最高です。もちろんどんな結果が出るか分かりませんが、これからも自分の本を読んでもらうための導線設計と向き合っていこうと思います。最後まで読んで下さりありがとうございました。
20230327 横山黎