古本市で10000円以上売り上げた話
――古本の値段の相場は50円~300円といったところでしょう。しかし、誰が売るかによってその価値に変動が生じるんですよね。絆や応援の力の影響で、市場価値が狂い、相場よりも高い価値がつくのです。
人生は物語。
どうも横山黎です。
大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。
今回は「『絆』や『応援』が市場価値を狂わせる」というテーマで話していこうと思います。
📚あおぞら一箱古本市に出店!
11月4日(土)、茨城県水戸駅の近くにある千波湖という湖の畔で、「あおぞら一箱古本市」というイベントが開催されました。1.5m×1.5mの区画のなかで古本を販売するものです。ブックエースという本の会社の主催でした。
湖のほとりの広場に13店舗くらいのお店が並びました。僕はその日に知ったんですが、どうやら古本市だけでなく別のイベントもあるようでして、想像以上にたくさんの人でにぎわっていたし、温かい場所でした。
僕は古本だけではなく、ちゃっかり自分の本も売っていました。本を届ける機会を易々逃すわけにはいきませんからね。とはいえ、正直あまり期待していなかったんですが、思いのほか売り上げが上がりました。12:00~16:00の4時間の開催だったんですが、僕の店の売り上げは次の通りです。
📚古本市で10000円以上の売り上げ⁉
正直僕もびっくりしているんですが、なんと古本市で1万円以上の売り上げを出すことができたんです。内訳を見れば一目瞭然ですが、古本ではなく、僕の本の売り上げが全体の多くを占めています。
1000円の『Message』が7冊と1500円の『伝えたいことが20年分ある』が2冊売れたので、僕の本の売り上げだけで1万円を記録したんです。
さっきの内訳を見て気になった人いるかもしれません。自分の本の定価が1000円~1500円なのは頷けるけど、古本で500円~1000円って高くない?と思ったのではないでしょうか。これに関しては僕も迷いに迷っての価格設定でした。
実際、来てくれたお客さんから「値下げした方がいいよ。500円じゃ売れないよ」とアドバイスされたこともありました。そのときには「まあ、そうだよなあ」と思って300円の値札をつくったくらいです。
しかし、値札をつくった直後、僕の古本が売れました。500円の本が売れたんです。買ってくれたのは、僕と同じ茨城大学の学生でした。江戸川乱歩が好きみたいで、『江戸川乱歩作品集』を買っていきました。
古本市で僕の本や古本が基準よりも高い売値だったにも関わらず思いのほか売れて、1万円以上の売り上げを出したのは、「絆」や「応援」が市場価値を狂わしてくれたからだと考えます。
📚僕に好待遇だった古本市
本題に入る前に、あおぞら一箱古本市というイベントに参加するまでの経緯を共有しますね。
実は1カ月くらい前からずっと気になっていたイベントだったんですが、参加申請をするにはいたっていませんでした。もちろん面白そうだなとは思っていたんですが、参加するだけの価値がどれだけあるのか測りきれなかったし、人手不足に困るバイト先に行くかどうか迷っていました。
しかしそれでも僕が参加するのを決めたのは、全国大学ビブリオバトル大学大会での出来事があったからです。
ビブリオバトルとは、自分のお気に入りの本を5分間で紹介するイベントのこと。リスナーはバトラーの発表を聴いていちばん読みたいと思った本に票を入れます。最も多く票を集めた本がチャンプ本になるというわけです。
僕は今、公式戦に参加しています。全国大学ビブリオバトル2023に挑戦しているんです。大学4年生の僕はこの大会に参加できるのは今年が最後。ラストイヤーを有終の美で飾りたいという思いが強くあります。
そんな情熱を手に挑んだ大学大会では優勝、さらに先日開催された地区大会でも優勝することができました。晴れて、12月17日(日)に東京の昭和女子大学で開催される全国大会への出場を果たします。
さて、話を戻しますが、あおぞら一箱古本市の主催であるブックエースという本の会社の人が、大学大会のときにいらっしゃっていたんです。大会終わり、優勝した僕に話しかけてきてくれたんですが、そのときに古本市への出店のお願いをされたのです。
そのとき出店者がまだゼロだったらしくて(笑)、どう集客しようかいろいろ考えられていたんだと思います。さっきもいったように僕は以前から興味を持っていたので、参加する意思を伝えました。
そんなこんなで出店者ひとり目が僕だったんです。
結果的に10組以上の店が並んだわけですが、少なからず僕に対するお礼の気持ちがあったのか、イベント当日は僕に対してすごく手厚く対応されました。僕のブースだけ2ブースにしてくれたし、パネルを置くように椅子も貸してくれたし、古本市が始まってからも定期的に様子を見にきてくれました。
実は、『伝えたいことが20年分ある』という僕のエッセイを買ってくれた2人はどちらもブックエースの方々なんです。まだ無名の大学生作家の出した1500円のエッセイを買ってくれたんです。
#なんてステキな人たちなんだ
📚絆や応援が市場価値を狂わせる
そろそろ話をまとめていきます。
さっきもいったように、古本市で1万円以上の売り上げをつくることができたのは、「絆」や「応援」が市場価値を狂わしたからだと思っています。
僕とのコミュニケーションや、僕からの本の紹介に価値を見出してくれて、一過性ではありますが少なからず信頼が生まれた。そんな風にしてお客さんの購買意欲を高めたのではないでしょうか。
また、何人か知り合いの方がいらっしゃったんです。事前に連絡してくれた方もいたし、偶然そこに居合わせた方もいました。その方々は、せっかく僕のブースに来たし、何か1冊でも記念に買っていこうと思ってくれたんですよね。実際にそんな風にして、『Message』1冊と古本の『へんな論文』は売れました。
また、僕がビブリオバトルに挑戦していることや、大学生作家として活動していることも購買意欲を高める要因になったと思います。「応援」が生まれるから。
大学生なのに本を出しているなんてすごい。そういう言葉をかけてくださる方は少なくありません。ビブリオバトルで結果を出していることを知ると、それがどんな大会なのかぼんやりとしか分からなくてもすごいと思ってもらえるんですよね。
以前から知り合っていた人が僕との絆にお金を払ってくれたり、僕のことを知らなくても大学生作家やビブリオバトラーの肩書を知って応援を込めてお金を払ってくれたりするということです。
実際、小説『Message』は手売りしやすいように1000円で売っているんですが、1冊を5000円で買ってくれる人もいました。あるいはそのときに僕が持っていた本を全部まとめて買ってくれる人も。これからの僕に期待して投資をするように僕の本を買ってくれるんですよね。
古本の値段の相場は50円~300円といったところでしょう。しかし、誰が売るかによってその価値に変動が生じるんですよね。絆や応援の力の影響で、市場価値が狂い、相場よりも高い価値がつくのです。
改めて、コミュニティに属すること、そのために自分で動くことの意義、そして、ビブリオバトルで培った本を紹介する力の効果を感じることができました。来月の全国大会でもちゃんと結果出して、僕の本を紹介する力に箔を付けたいと思います。最後まで読んでくださりありがとうございました。
20231107 横山黎