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股関節疾患 姿勢へのアプローチ

股関節疾患といったら股関節ばかりに注目にしがちですが、股関節疾患の病態理解と共に、その方その方の「姿勢」に注目することが重要となってくると思います。
よく、姿勢全体をみて運動連鎖を考えてみるようにいわれます。

  • なぜその姿勢になってしまっているのか。

  • 疼痛のある部位へどのような影響を及ぼしているのか。

  • もしかしたらその姿勢のせいで疼痛が発生しているのではないか。

  • 疼痛回避姿勢となっていないだろうか

姿勢を分析することで見えてくることがたくさんあると思います。
今日は股関節疾患を「姿勢」という観点からみていきます。


股関節疾患と脊柱の関係について


私の現在の身体の状態は…
寛骨臼回転骨切り術後のため、腸腰筋や大腿直筋、恥骨筋、内転筋など、疲労や機能不全により緊張が高くなりやすい傾向にあります。
そのため、ストレッチと可動域訓練により可動域の保持をしっかりと行い股関節独自の可動域保持につとめています(股関節可動域を骨盤で代償しないようにするため)。

また、妊娠時の姿勢変化と術後の姿勢変化により胸腰椎の伸展可動域が(自動他動共に)悪く、手術による腸腰筋の機能不全により骨盤前傾が苦手で、スウェイバック姿勢となりやすいです。
筋力や筋持久力も低いため、長時間の座位で姿勢が崩れ、スウェイバック姿勢となり、胸腰椎平坦化・骨盤後傾が増加してくることで、仙腸関節に負担がかかり仙腸関節部の疼痛を及ぼしていました。(仙腸関節の問題もありましたが)
仙腸関節痛については、4カ月前までは痛みがありましたが、現在はリハビリにより消失し、再発なく過ごしています◎

とまあ、様々な部位の問題がが複雑に絡み合ってはおりますが、
私の身体はわかりやすく「運動連鎖」を示してくれています。

かなりわかりにくい説明となり申し訳ないですが、
私の身体を例にあげると、

「股関節疾患だが、股関節だけの問題ではなく、脊柱や体幹の問題についてもものすごく比重を占めています!!」


ということが言いたいわけです。わかりにくくてすみません。

ということで、股関節疾患の姿勢要因や評価、状態について姿勢という観点からみていきます。



股関節疾患の姿勢要因

  • 全身的視点→股関節と多関節との相互作用

  • 局所的視点→股関節を中心とした視点

*この2つに着目してみていきます

ちなみに「姿勢」とは… 「構え」と「体位」の2つ

・「構え」→身体部位の相対的位置関係を示すもの
・「体位」→身体全体の重心方向に対する位置関係を示すもの

⇒姿勢はこの2つが組み合わさったもの
この2つを「矢状面」、「前額面」、「横断面」の基準線から
”逸脱の有無”、”程度”からとらえ⇒アライメントを評価します



股関節疾患のチェックすべき姿勢要因

*全身的視点(2つ)


①「hip-spine syndrome]
=脊椎と股関節は相互関係にある考え方

互いに影響を及ぼしあっているというもの

例1:骨盤後傾に伴う骨頭被覆の減少
⇒大腿骨頭は球状であるのに対して、臼蓋は半球状であり臼蓋前部に比べ臼蓋後部が深いため→骨盤前傾すると被覆面は増加

例2:股関節屈曲拘縮による腰椎前弯の増強に伴う脊柱管狭窄

*脊柱異常姿勢
・スウェイバック型(猫背)
・前弯亢進型(反り腰)
※脊柱の弯曲の違いによって骨盤の前後傾も異なってくる

⇒脊柱の状態を知ることは股関節疾患を局所的に捉える際に非常に有用なヒントとなります◎

②「coxitis knee」(コクサイティス・ニー)
=変股症に伴う隣接関節障害


⇒股関節病変の進行に伴い、股関節肢位不良や脚長差などに起因して
下肢アライメント異常を来たし、体側または同側に二次性の膝OA(変形性膝関節症)を招くこと
⇒股関節は股関節だけの問題ではなく、股関節の問題が他関節へと影響を及ぼし、他関節の障害を引き起こしてしまうことがあります
→よく言われる、「股関節が悪いと腰が悪くなる」というやつです


*局所的視点(2つ)

静的姿勢動的姿勢に分けて考える

①静的姿勢

  • 矢状面
    骨盤傾斜異常
    ・前傾パターン⇒骨盤前傾、腰椎前弯増加
    ・後傾パターン⇒骨盤後傾・腰椎前弯減少
    ※立位で両ASISと恥骨結合のなす面が直立(垂直)にある状態を中間位

    大腿骨頭は球状だが臼蓋は半球状のため、臼蓋前部に比べ、臼蓋後部が深い→そのため、骨盤が前傾することで被覆面積が増加する。

    ということは・・・

    臼蓋形成不全に起因する二次性の変股症で骨盤前傾パターンとなる方が多いのは、骨頭の被覆面積を増加させ、関節の負担を軽減する疼痛回避姿勢であると考えられます。

    また、骨盤前傾角度が増加すると
    股関節外転トルクの発揮能力低下
    姿勢制御における股関節の運動制限の要因ともなるといわれています。

    骨頭の被覆面積を増やそうと防御姿勢をとるが、骨盤前傾になればいいという問題ではないということです。


    また、骨盤後傾運動は、自動股関節屈曲全運動域の1/4~1/5を占めます。
    股関節の屈曲角度:120~130°(教科書では125°と習いますね)
    しかし、骨盤後傾などによる40°が含まれているとの文献もあり、
    「真の股関節屈曲角度は93°」であったとの報告もあります。
    股関節屈曲運動において骨盤後傾は大きな役割を担っているということです。
    そう考えると・・・
    逆に、股関節疾患で可動域制限があると骨盤が屈曲を代償しようとして仙腸関節のほうに影響がでるのではないかとも考えられます。
    関節可動域をしっかりと保つことが二次障害を防ぐことにつながるというわけですね◎

また、骨盤前傾パターンを呈する症例では、
骨盤後傾が制限され屈曲運動を十分に行えないこともあります。
骨盤の前後傾の可動域や筋力も、股関節の可動域や運動に影響を及ぼすということですね

  • 前額面
    変股症では骨頭の変形や上方化により、患側の脚短縮による構造的脚長差が認められることがあります。
    構造的脚長差が2~3㎝以上となると、腰椎や骨盤での代償だけでは補正できなくなり、歩容に影響を及ぼすようになるため、補高の使用を検討するようになります。

しかし、手術により構造的脚長差が補正されたのにもかかわらず、骨盤傾斜が残存している場合もあります。その場合は運動療法が第一選択となります。


②動的姿勢

  • 矢状面
    股関節伸展可動域や筋力は歩容に大きく関与します。
    立脚中期~後期の代償動作として、
    患側骨盤の後方回旋や骨盤前傾、腰椎の前弯、踵接地を早期に行う
    これらは、前方への推進力を低下させてしまいます

  • 前額面
    正常歩行における骨盤傾斜では、荷重応答期に5°の遊脚側骨盤下制がみられます。
    股関節疾患患者では、荷重応答期に過度に遊脚側に骨盤が下制するトレンデレンブルグ歩行や逆に患側立脚期に体幹を患側に傾けて健側骨盤挙上が出現するDuchenne(デュシャンヌ)歩行がみられます。

    伸展角度での筋力、筋出力の違いが歩容に影響を及ぼすので、歩行に合わせた筋力トレーニングと運動学習を進めていく必要性があります。

動的姿勢の評価=「歩行分析」です◎
今回はよくみられる現象についてのみ。詳しくはまた投稿します◎


まとめ

・股関節疾患の方を診るとき、姿勢としての観点からの見方
「全身的視点」「局所的視点」をもつ
・股関節単独の問題だけではなく、
「他の部位へ影響を及ぼしている可能性」
「他の部位が股関節へ影響を及ぼしている可能性」も見極める


自分の身体の状態や姿勢を客観的にみていると、
「全身的視点」と「局所的視点」がいかに大事かを痛感します。

日々のアプローチやケアの仕方で、その日その日の身体の状態や、身体の保て方が全然違うんです(患者の立場になり、びっくりしたこと)。
そう思うとリハビリができること、理学療法士としてできることってたくさんあるんだなと患者の立場になりより実感。
これを患者の立場である方にも、医療を提供する方にもぜひ知ってもらいたいです。

大変長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも継続し、より見やすく内容の濃い、質の良い投稿ができるように頑張っていきたいと思います◎

臼蓋形成不全.骨切り×理学療法士×ママ◎まる


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