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【NISA貧乏】は本当? 投資が消費を抑えるという誤解とその本質

最近、「NISA貧乏」という言葉をよく耳にするようになりました。「NISAを利用して投資を始めたけれど、そのせいで日々の生活が苦しくなった」といった話もちらほら聞こえてきます。でも、本当に投資が原因でお金が足りなくなっているのでしょうか? もしかすると、その背景にはもっと大きな経済の流れが関係しているのかもしれません。

2024年、新NISAが始まり、多くの人が「投資」を身近に感じるようになりました。特に、「貯金だけじゃ将来が不安」と考える人が増え、株や投資信託を始めるケースが急増しました。すると、「投資にお金を回しているせいで、消費が落ち込んでいるのでは?」という見方が出てきたのです。

でも、これって本当に投資のせいなのでしょうか? 実は、「NISA貧乏」と言われる現象の本質をよく見ると、単なる消費の減少ではなく、家計が「インフレ対策」として投資を選んでいることが分かります。つまり、投資は消費を抑えているのではなく、むしろ「お金の価値を守るための手段」として使われているのです。


2024年に急増した「家計の円売り」


「家計の円売り」という言葉を聞いたことがありますか? これは、日本の家庭が円を持つのではなく、外貨建ての資産(例えば、米国株や外国債券など)を買うことを意味します。

新NISAの影響もあり、2024年は日本の家庭が海外の資産に投資する動きが大きく加速しました。財務省が発表したデータによると、2024年の対外証券投資額は11兆5069億円に達しました。これは、前年(2023年)の約2.5倍(4兆5447億円)です。つまり、家計の円資産が一気に外貨へと移動したわけです。

その背景には、「円安」と「インフレ」が関係しています。2022年3月の時点で1ドル113円だった円相場は、2024年には162円まで下落しました。これって、円の価値が約40%も下がったことになります。

例えば、あなたが2022年に100万円を持っていたとしましょう。そのときの為替レートでは、1ドル113円なので、100万円=約8850ドルでした。でも、2024年に円安が進んで1ドル162円になると、同じ100万円が約6170ドルにしかなりません。たった2年で、海外から見た「日本円の価値」が大きく下がってしまったのです。

こうなると、「円だけで資産を持っているのは危険だ」と考えるのは当然ですよね。だからこそ、NISAを活用して、米国株や全世界株式ファンド(オルカンなど)に投資する動きが加速したのです。


「NISA貧乏」は投資のせいではなく、インフレの影響?


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