この料理家のレシピが天才すぎる①山本ゆりさん編/高山惠
気が付くと、ライターを名乗って25年が経っていました。
その長い年月分だけライターとしての実力がしっかり備わっているかと言われれば、とても胸を張れたものではありません。でもその間、私なりにいろいろな経験をしました。
ライター生活で転機となった年はいくつかあるのですが、そのひとつといえるのは2005年。結婚し、フードコーディネーターの資格をとるために学校へ通ったことです。
「食」への興味をライター業に生かしたかった
学校へ通うようになった一番大きな理由は、ライターとして自分があまりに武器がなさすぎること。私は大学卒業後、社会人の経験が一度もないままライターの世界に飛び込みました。武器になるような専門知識は何もありません。自分がライターです、と名乗るとよく「得意ジャンルは何ですか?」と聞かれることが多いですが、何も答えることができずに下を向くばかり。だからこそフードコーディネーターの資格を、自分のライターとしての武器にしたかったのです。
なぜフードコーディネーターなのかといえば、単純に料理と食べることが好きだから。そして「この先フードコーディネーターの資格があれば、仕事が増えそう」という戦略もありました。今もそうですが、書籍やネットなどのメディアをみると、食関係の情報であふれています。うまくいけば自分もレシピ本の1つや2つ出せちゃうんじゃない? という甘い目論見があったのです。今思うと本当に甘かったと思います。シャボン玉のようにふくらんだ妄想は、学校に入ってすぐに打ち砕かれることになります。
オリジナルレシピをつくることがいかに大変か
私が通っていたフードコーディネーターの学校では、「レシピ開発」という授業に力を入れていました。読んで字のごとく新しいレシピを自分で考える授業で、学校ではよくひとつの食材がお題として出されました。例えば「餅」というお題が出たら、餅のオリジナルレシピをいくつか考えることが求められます。
しかしオリジナルレシピを考えることは、とてつもなく難しい。例えば「麻婆豆腐の豆腐を餅に変えて作ってみたら美味しいんじゃない?」と考えたところで、試しに「マーボー餅」で検索してみたら、48万件がヒットしました。私のような人間が考えつくレシピは、100%誰かがすでにやっている。一体オリジナルなんて世の中のどこに存在しているのだろう? 学校へ行っている間はつねにそんな絶望感に苛まれました。
だからこそ、私にとって現役で活躍されている料理家およびフードコーディネーターの方々は、本当に神様のように感じます。なぜ皆さん、こんなにつねにオリジナリティあふれるレシピを開発し続け、どれも美味しくなるのでしょうか? 当然ですが、そういった方たちも神様ではなく人間なので、ひとつのレシピを世に送り出すために何度も試作を重ねるなど、膨大な手間と努力を費やしているのは間違いありません。
料理家・山本ゆりさんの「もちもちブリトー」が美味しすぎる!
前置きがかなり長くなってしまいましたが、そんな神様のような方々へのリスペクトを込めて、私が大尊敬する料理家の方が世に送り出したレシピの中から「これはスゴイ!」と思ったレシピを紹介したいと思います。
こちらは、私がこの1年間毎週末の朝ごはんに作り続けている「もちもちブリトー」。料理家・山本ゆりさんが2020年のブログに掲載したものです。(https://ameblo.jp/syunkon/entry-12588192481.html)
山本ゆりさんといえば料理本『syunkonカフェごはん』シリーズが累計630万部以上の売り上げを誇る、超人気料理家です。さらに今年は『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』に変わって4月から新しくスタートした料理番組『DAIGOも台所~今日の献立何にする?~』にも出演されています。
ブリトーといえば、もともとはメキシコ料理ですが、日本のコンビニではハムチーズ、ミートソースなどが入ったものが必ず売られていますよね。私にとってブリトーはコンビニで買うものでした。けれど、このレシピに出会って「手作りするもの」にすっかり変わりました! なぜならものすごく簡単で美味しいから。
ブリトーの生地の材料は、「小麦粉、水、オリーブ油かサラダ油、塩」のみ。分量は小麦粉と水が大さじ4ずつ、油小さじ2分の1、塩ひとつまみ。覚えやすく何度も作っているので暗記しています。これをフライパンで焼き、好みの具材をのせて両端をたためば完成!
うちではハム&チーズが定番です。本当に簡単で、軽い朝ごはんにピッタリ! 一体なぜこんな素晴らしいレシピが思いつくのでしょうか?
実は山本さん、一度2019年にも「もちもち!チーズブリトー風」というレシピを掲載しており、こちらはさらにブラッシュアップしたものになります。2019年度版の材料は「薄力粉、牛乳、塩」だったのですが、読者から「牛乳なしで作りたい」というリクエストがあったことで、改良を重ねてそれを実現させてしまったのです。さすが!
あなたもぜひ朝食にいかがですか?
次回は、引き続き山本ゆりさんのレシピの中で私が100回以上は作っている「本気の塩からあげ」と、もう一人大好きな料理家のレシピをご紹介します。
(つづく)