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五感で感じるとは!今読むべき名著『センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン

【五感で感じる森林浴ガイドをしている私がおすすめの本】


子どもの頃は誰もが持っていて、大人になると気づかない間に見失っていく「センス・オブ・ワンダー 神秘さや不思議さに目を見はる感性」をずっと新鮮に保ち続けること。自然の恵みを常に体全体で受け止めることのできるように育つことの重要さを教えてくれる一冊。


この本は、レイチェルがアメリカ・メイン州の海辺の小さな別荘で、幼い姪の子と一緒に過ごし、その際に一緒に経験した自然との触れ合いを詩的で美しい文章で綴ったものです。
短い詩集のようにも感じられますが、まさに五感で感じるとは!という私にとって教科書のような存在です。

そして、お子様がいる方にはぜひ読んでいただきたい!
特にこのメッセージは素敵です。

わたしたちは、雨の日も、おだやかな日も、夜も昼も探検にでかけていきます。それは、なにかを教えるためにではなく、いっしょに楽しむためなのです。

センス・オブ・ワンダー/著:レイチェル・カーソン


それから…ここが集約されていると言ってもいい文章です

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。

 もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。

 この感性は、やがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです。

 妖精の力にたよらないで、生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界のよろこび、感激、神秘などを子どもといっしょに再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。

センス・オブ・ワンダー/著:レイチェル・カーソン


このセンス・オブ・ワンダーは、残念ながら年齢を重ねると失われると記されています。
でも、いつでも取り戻せることもあるよ、と読みながら感じました。というのも、私は中々良い年齢になってきましたが、五感で感じる森林浴をするようになって、この小さな発見をたくさんするようになりました。

今、この本を読み返すと、容易に情景が目に浮かび、まるで同じ空間に過ごしているような気持ちさえ出てくるからです。

子どもといっしょに自然を探検するということは、まわりにあるすべてのものに対するあなた自身の感受性に磨きをかけるということです。それは、しばらくつかっていなかった感覚の回路をひらくこと、つまり、あなたの目、耳、鼻、指先のつかいかたをもう一度学び直すことなのです。

センス・オブ・ワンダー/著:レイチェル・カーソン


レイチェルは、『沈黙の春』を書き終えたとき、自分に残された時間がそれほどないことを知っていたそうです。

そして、最後の仕事としてこの本に着手したとか。
つまりこれは彼女が私たちに残してくれた最後のメッセージです。

名文多すぎて、すべて引用したいくらい心に響くものがあります。
今なお読み継がれ、そして今だからこそ読むべき一冊だと、読めば納得の理由がここにあります。


#読書感想文


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