「怒るなら、お勉強しといてよ 基礎知識」発達当事者から読んだ『夫と心が通わない』感想①
本の趣旨をすっとばし濫読
まず障害者が何故この本を買ったのか?に答える
私の最近の趣味は、家族もののエッセイ漫画を濫読することになりつつある。場所をとるので大体は電子だが、たまたま立ち寄った本屋で気になるものや電子でずっと先延ばしにしていたものが見つかった場合はフラッと衝動買いすることがある。昨日も書店に立ち寄り、エッセイ棚を覗き、最近サジェストによく出て来るエッセイを見つけた。
それがアゴ山女史原案、鳥頭ゆば女史著(作画?)『夫と心が通わない』だった。
私は書店に至るまでに長い障害者向け支援機関や年金事務所での手続きを立て続きで終えており、デカデカと書かれたど真ん中の『夫と心が通わない』しか目に入らなかった。後述するがADHDの不注意全開とASDのシングルフォーカス(一点に興味関心等が集中してしまう)が炸裂し
「まあ子供が欲しいDINKSとか子育てとかハッタツとか浮気のドロドロでも最後は元サヤに戻ってくれるんやろ!俺は愛を信じとるで!!」
などと「愛って素敵やん?」と某引退した司会者のような謎の勢いでレジにぶち込んだ。「ウツ婚」や「あらもん」の勢いがあったのかもしれない。しかし帰ってから副題の「カサンドラ症候群で笑えなくなった私が離婚するまでの話」と帯の「何も伝わらない」「誰にもわかってもらえない」絶望、孤独、虚しさ……という言葉が
「あぁー……生きててごめんなさい、生まれてきてごめんなさい、迷惑でごめんなさい……」
が始まってしまったのであった。
私の障害数え歌(歌ではない)
私の障害は発達障害2つに二次障害1つの地獄の3種盛りで入院時は統合失調症に片足突っ込んでいた。
アゴ山氏の元夫ユーマ氏が持っていると思われるものは自閉スペクトラム症(娘さんも自閉スペクトラム症グレーゾーンと診断されている)。というより、アコさん(作中のアゴ山女史と思われる。ユーマ氏の元奥様。主人公)は作中において娘さんの診断時において「自閉スペクトラム症」と強調し、自分がカサンドラである時にはユーマ氏を「アスペルガー」「アスペルガー」「アスペルガー」とさも有害な発達障害の一種と判断して連発している。「カサンドラ」と対立する概念と言う風に「アスペルガー」と言っている。
しかし大変残念なお知らせながら、厚生労働省曰く
なので、真面目に当事者から言うと私の第一の障害である「自閉スペクトラム症」と言う名前に作中統一して欲しいなー、ほえー、と思います。アスペルガーがいろんな場面で「アスペ」「害悪アスペ」とか悪口に使われてるから名前が変わった側面もあるの、ご存じですか。だから自分が被害者になって「カサンドラ」になった時に「アスペ」「アスペ」「アスペ」と2013年以前に戻るのは個人的にちょっと気になりましたねぇ。
二つ目は別に名前は変わっていません。自閉スペクトラム症と併存の多いADHD(注意欠陥多動性障害)です。私は衝動性も不注意もポンコツなのでジョブホッパーの有様ですが、アコさんはASD+ADHDでグレーゾーン、知能グラフは恐らく真っすぐに近い形ではないのではなかったのではないか、という理由でよろこんでおられます。しかしグレーゾーンの当事者の方々はそれなりに「福祉も受けられず、社会からも落伍してしまう」という「社会と福祉の間に」という最悪なドツボが待ち受けている恐怖もある訳ですが……まあそこはこれからのアコさんの手腕次第でしょう。
因みに自分は言語ばかり凸で他は全部パァなので生きてる意味がないレベルですね。カサンドラ的にはいかがですか?
三つ目は上記二つの発達障害(死ぬべきとまで言われた脳の欠陥)から生まれた双極性障害です。躁鬱です。これが一番恐ろしい。これもまた不治の病です。ぶっちゃけ遺伝子の欠陥かもしれない。遺伝率80パーセントでもあるので。鬱の時はもう希死念慮希死念慮希死念慮。統合失調症に片足突っ込んだ「もうお前に未来はないよ」「発達障害者は生きてるだけで迷惑」「さっさと死ねよボケカスアホンダラ」「私はあなたのせいで傷つきました」って絶え間なく聞こえてありとあらゆる方法で自殺未遂のオンパレードですよ。更に超越すればもう頭が真っ黒に塗りつぶされてただ自分の体中を剃刀や包丁で切り刻みながら薬を酒で飲んで眠るだけです。
そして躁の時は気分アゲアゲ↑なんて単純なものでなく、短気になり「前の職場パワハラしやがったから口コミに主犯の実名書いてやろー!」とか「自分が虐待された幼稚園に(自主規制)もって視察行ってみよー!」とか「カサンドラ垢に、スーパーの屋上駐車場のへりに登って下見降ろして『私発達障害なんで今から死にまーす!!喜んでくださーい!!』って言ってみようかなー!!」などと突発的攻撃行動に出そうになったりする。それを泣いて家族が止める。それか自分がこうして文章を書くことで止める。
要は自閉スペクトラム症とADHDの合併が引き起こすストレスで、人間ここまで心が壊れるんです。ガラスみたいに粉砕されるんです。金継できないくらいの細かい割れ方で。
以上の地獄の発達障害と二次障害(遺伝障害?)三種盛りで私は地獄のような人生を生きてきました。結婚どころか恋愛なんてこのアラフォーまでしてません。ハイ。父方からの遺伝であることは明らかです。特性が顕著なので。ハイ。弟も顕著に遺伝しております。ハイ。
ローナ=ウィングによる分類
お勉強しといてよ、読んどいてよ
一応申し上げておくと、カサンドラの皆様を苦しめているこの世のゴミ、死ぬべき発達障害者であるワタクシであっても教員免許を何と持っているわけなんでございますよ。ハイ。で、その関係で教職関係で働いて、健常者にパワハラを受けてその件でパワハラの主張が通りあちらに訓戒が通りました。いやあこんなこともあるのですね。
閑話休題。私のペンネームは「小犬灯火@積極奇異」となっています。この@以下の「積極奇異とは何ぞ?」と思われる方も多いでしょう。これは英国の自閉スペクトラム症研究者ローナ=ウィングによる分類です。その分類は以下の通り。
積極奇異型
私のことですね。実際自分の経験からそうではないかな、と思って自己診断でつけたので、実際専門家に診ていただける機会があれば「違ぇよバーカ」と訂正されるかもしれません。内容をざっと箇条書きにすると
・人と積極的にかかわりたい(ので、話しかける)
・けれどかかわり方が一方的
・自分の興味関心ばかり話したり、同じことを繰り返し話す
・話の切れ目がない(所謂マシンガントーク)
・友人が会話で疲弊したり「またその話?」と飽きていることに気づかない
・会話相手の気持ちを度外視してしまっている
所謂早口オタクのイメージですね。話しかけるけど、専門的なことやうんちくを自慢げに或は楽し気に好きなだけ散々語りつくして相手がげんなりする頃に去っていく。「同じことを繰り返し話す」と言う特性は私の父に顕著で、たとえばテレビの接続などを直した時に
「こんなもんすぐよ!この接続端子はここにしか繋がらんのやから、そこにつなぐだけでええ!業者なんか呼ばんでええんよ!接続端子さえな、覚えとけば大体のもんは繋がるんよ!パソコンのモニターもな……」
という一方的などや顔説明を、その後三日くらい繰り返します。母と共に「うぜぇなあ」と思いますが、見方を変えれば
「子供が『僕これ得意なんよ!あのね、これはこうでね、こうやって……』と必死に自慢して褒めてもらおうとしている」
ような姿が姿が透けて見えるようで、何だか「うるせぇ」とも言えないのです。
また、自閉スペクトラム症の中では比較的社会との交流を持とうとする分類なので、専門知識を教える側に回ったりだとか、専門知識をフルに使ってサポートする役割を得ることが出来るという持ち味があるそうです。私にはADHDの凶暴性と躁鬱の希死念慮があるので活かせないのですが。
受身型
読んで字のごとく。まとめると
・人とのかかわり方が非積極的で受動的だが、交流を拒んでいる訳ではない
・仲良くなった相手には従順で、トラブル回避に努める
・ただ、トラブル回避のために「嫌」が言えず、何かを押し付けられたり利用されたり、いじめの対象にされたりする
自己主張が弱いぶん、周囲が何かの役割を受身型の人物に与え期待すればそれが彼のアイデンティティになる、という強みがあります。周りにアイデンティティを与えてもらえるんですね。コツコツと行う仕事や、何か動植物の世話(畜産農業)では活き活きと強みを活かせるのではないでしょうか。
我が家では弟がおそらくこれに該当すると思います。工場勤務でもパワハラ等がなければ、嬉し気に健常者に混じって単純作業を活き活きと行っています。
孤立型
一番自閉寄りの性質です。以下まとめ
・人に対する関心が一番乏しく、人に話しかけられても反応に乏しい
・話しかける等しても、視線を外されたりする
・自分の好きな図鑑・ゲームに没頭し周囲が見えなくなり、自分の世界に入り込む
・「自分の世界」に没頭する様は、所謂「自閉のカプセル」と呼ばれる
・「自閉のカプセル」で周囲の刺激を遮断し自分の心を守っている
他者との交流には否定的です。人間関係をひどく脅威的なものととらえており、接し方自体の工夫が必要。「正面から大声で関わるのは避ける→斜め横から静かに声をかける」「言葉を簡素に短く伝える」等工夫を凝らす。
それらを積み重ねてやっと、心を開いてくれるかもしれない。長期戦。
以上は一応教育現場の資料を参照してまとめた。うちの父家系はずっと積極奇異と受身が混ざっている気がする。では、ユーマさんは「何」なのか?アコさんが「カサンドラ」にならなかった分岐はなかったのか?ちょっと考えてみます。
http://www.rinsho-center.aichi-edu.ac.jp/project/project1/html/file/book.pdf
参考文献:『先生のための発達障害』国立大学法人 愛知教育大学
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