ファッションは人生を変える
20代の頃ファッションアドバイザーをしていた。元々洋服は好きでオシャレも日常的に楽しんでいた。当時配属されたブランドは40代ぐらいをターゲットにしていたので私はちょっと不満、、、
「え?ラインとかゆったりだしデザインも好みじゃない。でもこれ着ないといけないのか。まぁ仕方ない。仕事だし。」
ってな感じでそれを受け入れ普通に毎日仕事をしていた。
ある日お世辞にもオシャレとは言えない40代ぐらいのおばさんが店に来た。すっぴん、髪の毛はボサボサ、とにかくオシャレとは無縁と思える見た目だった。なんだか店に入りにくそう。でも入りたそう。そこはすかさず声をかける。
「いらっしゃいませ。どうぞ中もご覧下さい。」
緊張の面持ち。でも何かを探している様子。どうやらお子さんのイベントでセットアップが必要みたい。あれこれオススメしてみる。でも乗り気じゃない。試着もしてくれない。とにかく恥ずかしがって下ばかり向いている。
普段洋服にあまり関心がないと何買っていいかわからない。店員さんと話すのも恥ずかしい。着こなせない。私の体型に合う物なんてあるかしら。いつも体型隠す為にダボっとしたのを着てるからセットアップとか着るの気が引ける。
ってその人は心の中で思ってたと予想。自分が今それぐらいの年齢になったので気持ちがよくわかる。
何事も一歩踏み出す時って本当に勇気がいるし後押しが欲しい。そしてなんとか試着してもらえた。お世辞じゃなく本当に体型にぴったりで似合うのが見つかった。
「え?すごい。こんなにぴったりの服着た事ないです。まさか自分に似合う服があるなんて。」
本人は感動で固まっていた。そしてそのセットアップを買って店を後にした。
それを機にそのおばさんは月一ぐらいで店に来るようになった。
「〇〇さん、あの時は本当にありがとう。私の人生変わりました。何事にも前向きに楽しめるようになりました。」と泣きながら報告しにきてくれた。
え?泣いてる?どした?そんな?
私は正直びっくり。そのセットアップを買って帰りイベント当日ご主人が「とっても似合ってる。もっとオシャレしたら?」と言ってくれたそう。そしてそれをきっかけにメイクもするようになりジムにも通いだし体型も気にするようになった。みるみるうちにその奥様は(もうおばさんとは呼べない完全に別人)若返り、オシャレに目覚め、体もスッキリし、あの下を向いてたおばさんと同一人物とは思えない変貌を遂げた。
それからも何かある度に「〇〇さん、遊びに来たよー。」って来てくれて近況を教えてくれる。そして「おまかせで。」と言う。私はその方のサイズや好みやライフスタイルを全部把握しているので選ぶのも楽。提案したら「それ全部下さい。」絶大なる信頼関係!
あの時ただ仕事として似合う服を提案しただけなのにここまで人は変わるんだ、と思い感動。
今でもその時の事は思い出すと泣けてくるし本当にやって良かったと思える仕事の一つ。それ以降も私はファッションが大好きだし一枚の洋服でも人生を変えれると自信を持って言える。
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