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【対談vol. 2】期中管理で電気をつくる!~発電所の植生管理について~

こんにちは!「再エネのアセットマネジメント」noteで管理人を担当しているオリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント(以下、OREM)です。

このnoteでは、さまざまな課題が露呈している太陽光発電事業の期中管理において、これまでトライ&エラーを積み重ねてきたOREMが発電量向上に資するノウハウを皆さまと共有し

  • 環境ダメージを与えて開発したからこそ、最良の状態で活用し続けたい

  • エネルギー自給率の低い日本の電気を最適な期中管理で増やしていきたい

という想いで再エネのアセットマネジメントについて普及啓発しています。

そして、最適な管理体制で自然と共存し発電ロスを抑制することで、環境に優しいクリーンエネルギーを増やしていきたい!と私たちは考えています。

↓ 期中管理の基本的な考え方については初回の記事を参照ください。



例年、夏場は雑草に悩まされる時期です!

雑草は、梅雨の時期にたっぷりと水分を蓄え、光合成によって生長します。さらに梅雨が明けると気温が上昇し、雑草が伸びる成長スピードも加速!


発電所など産業用地のほかに、身近なところでは庭の草むしり、草刈りに苦労されている方も多いのではないでしょうか。

雑草対策にはさまざまな手法がありますが、今回は、レインボー薬品株式会社をゲストにお迎えし、発電所の雑草対策についてお話を伺います!

レインボー薬品株式会社は1966年に設立された住友化学グループの子会社で、太陽光発電・ホームセンター・ゴルフ場・森林分野と4つの分野で事業を展開しているメーカー。家庭園芸・緑地管理用薬品および用品の製造販売を行っており、全国のホームセンターにおける家庭用除草剤のうち、除草粒剤で7割以上のシェアを誇る。

レインボー薬品(株)


知っておきたい!雑草トラブル

それでは早速、除草剤の製造・販売に長年携わっているレインボー薬品株式会社さまにお話しをお伺いしていきます。

OREM:そうですね、敷地が広ければ広いほど草刈りも労力がかかりますので、発電所の植生管理は試行錯誤しています。

レインボー薬品:産業用地の場合、雑草が伸びっぱなしになっている状態が続くと、ゴミが放棄されたり、害虫が発生したり、犯罪の温床になることも懸念され、対外イメージの悪化につながる可能性もありますので注意が必要です。

OREM:そのようなリスクに繋がらないよう、事前に計画を立てるなど、対策が必要ですね。

レインボー薬品:ソーラー用地においては、雑草により、パネルに陽が当たりにくくなると、発電量の低下要因にも繋がりかねないと聞きました。

OREM:その通りです。パネル周辺の雑草により、パネルの上に日影が生じると、その日陰を起因としたホットスポット(周囲のパネル温度と比べて異常に温度が高くなる箇所)の発生を誘発します。

赤外線カメラで撮影した画像の、赤い点がホットスポットです。↓

OREM:ホットスポットは対象ストリング(太陽光パネルを直列に組み合わせた回路の単位で複数のパネルが1つのブロックとなっているもの)の発電性能低下を引き起こしますので、長期間残置した場合、パネルのクラック(ひび割れ)や火災などに発展する恐れもあります。

また、雑草の成長スピードは気候に左右されますので、管理状態によっては、PCS(Power Conditioning Subsystem:パワーコンディショナ)などの発電設備に辿り着けないほど、雑草が成長しているケースもあります。

(例)つる草がが絡まったフェンス

OREM:そのほか、発電所を囲んでいるフェンスが見えなくなるほど、つる草が成長し、絡まってしまうケースもあります。この状態で残置してしまうと、強風の影響を受けた際に、つる草が抵抗となって負荷がかかるため、最悪の場合フェンスが倒壊するなどの恐れがあります。

このように雑草は、発電所内だけではなく、周辺環境にも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。


レインボー薬品:たかが雑草、されど雑草。これから台風シーズンに備えて、状態を把握しておいた方が良さそうですね。

OREM:その通りです。さまざまなトラブルに発展しかねませんので、日頃から発電所周辺も含めた状態把握、植生管理が重要です。

レインボー薬品:安全確保はもちろん、発電量の最大化、地域との共生のためにも、除草は欠かせないメンテナンスなんですね。

最適な植生管理とは

このように、日陰や事故などのトラブル要因となりうる雑草を除去することで、発電量・売電収益の向上、事故発生などリスクの未然防止につながっていきます。

事例写真
事例写真

しかしながら、発電所内の植生管理においては、地形や設備構成、発電所固有の制約などに合わせて計画する必要があります。

OREM:地形や気候の異なる全国各地の発電所のO&Mを受託しているOREMでは、刈払作業、除草剤(液体・粒剤)散布、乗用草刈機、無線操縦草刈機など、用地や制約等に合わせて、さまざまな選択肢を組み合わせ対策しています。

レインボー薬品:ソーラー用地の雑草対策は、特に敷地が広ければ広いほど、人力による除草作業は時間と労力がかかりますよね。だからこそ、制約がなければ、コスト削減につながる「除草剤」も視野に入れていただくことをおすすめします。



レインボー薬品:例えば「ネコソギメガ粒剤」をはじめとする粒状除草剤の多くは、雑草を根まで枯らし、効果が長続きするので、雑草を長期間生やしたくない場所に最適です。また、草刈りなどに比べると、広範囲を短時間で作業することができるため、コストを抑えられます。


レインボー薬品:さらに除草剤の成分は、長期間土壌に残留することがないようにつくられているため、一定期間を過ぎると自然の力で分解されていきます。

つまり、繰り返し散布することで効果を持続させることもできますし、将来の土地活用を視野に入れる際には、除草剤の使用を中止することで活用可能となりますので、太陽光発電所など長期にわたる産業用地の雑草対策にも適していると言えます。

そもそも除草剤って何?


OREM:この機会に除草剤に関する基礎知識を教えてください!

レインボー薬品:はい。除草剤とは農薬の一種です。先ほどお話されていたソーラー用地などにおいては、雑草が発電設備や発電量などに損害を与えかねませんので、そのような事態にならないよう、雑草を防除するのが除草剤の役割です。

OREM:なるほど。安全性はどのように確保されているのでしょうか?

レインボー薬品:日本では、国が農薬の「製造・販売」に関する厳しい審査基準を設けています。

OREM:審査はどういった内容になるのでしょうか?

レインボー薬品:
具体的には以下のような観点が審査項目となっています。

  • 作物への薬害

  • 土壌、水、作物での分解性

  • 病害虫に対する効果の確認

  • 人畜、作物、環境への安全性

例えば、農薬を散布した日から180日後(約半年後)には、100%の濃度が半分になるようにしなければならない、といった内容です。

要するに、散布した農薬が、人畜等の健康を損なうなど害がない範囲を定め、長期間土壌に残留しないよう製造することが求められます。

OREM:では、市販の農薬はすべて国の安全基準を満たしたものが販売されているということでしょうか??

レインボー薬品:いえ、農薬にも色々な種類がありますので、例えば農作物等の栽培・管理を目的としない用途で使用される除草剤には、農薬登録のない無登録品も存在します。最近では、コストダウンを図れる観点から、メーカー基準で製造・販売されている無登録品も増えています。

OREM:それらを見分けることはできるのでしょうか?

レインボー薬品:はい。国の基準をクリアした農薬登録品には農林水産省登録番号が記載されています。パッケージに記載されている表示成分は似ていても、そこで見分けることができます。

このように、レインボー薬品で製造・販売している商材はすべて登録品であるため、農林水産省の登録番号が記載されています。↓

OREM:なるほど!見分けることができれば安心ですね。

レインボー薬品:しかし、こういった情報を知らずに、農薬登録のない除草剤を、農作物等の栽培・管理に使用してしまうと、農薬取締法に抵触してしまうので、使用の際には気を付けてくださいね。

除草剤の効果的な活用方法



OREM:
散布のベストシーズンはいつになるのでしょうか?

レインボー薬品:
はい。ソーラー用地などの広い敷地には、雑草が生える前(2月~3月)の散布が最も効果的です。

散布の様子

また、秋散布(9月~11月)もおすすめしています。

雑草は春に大きく成長し発芽するため、雑草が成長するタイミングに合わせて散布することで、除草剤成分の吸収が促され、散布効果を高めることができるからです。

このように、秋と春先に散布することで、雑草の増殖を抑制できます。

推奨 散布スケジュール

 

よくある質問


Q:除草剤を散布すると、汚染されて「死んだ土」になってしまうのでは?

A:土壌中の微生物を殺してしまうようなことはありません。除草剤成分は光分解、水、空気(酸化)、土壌微生物など、自然の力で徐々に分解されますので安心してください。土壌処理型除草剤は長期間効果が持続しますが、それは除草剤成分の分解には時間を要するためであるということです。

Q:敷地に河川、池や井戸があります。除草剤をまいても大丈夫ですか?

A:傾斜地や、河川や池などに流れ込むような恐れのある場所での使用は避けてください。井戸の近くでの使用については、成分は地下水を汚染する
ような深さには浸透しませんが、直接水の中に薬剤が飛散するのを避けるため、平坦地では少なくとも 1m以上は離して使用してください。


Q:除草剤がソーラーパネルに付着した場合、パネルは傷みませんか?

A:傷みません!除草剤自体が塗装面、金属、 ゴムを腐食することはありません。ただし、薬剤を付着したままにしてしまうと、日光により焼き付き、変色の恐れがあるので、塗装面や金属などに薬剤が付着した場合は、できる限り取り除いてください。


OREM:最後に、再エネ業界にむけてメッセージをお願いします!


レインボー薬品:はい、今年は梅雨明けが平年より1ヶ月も早く、梅雨明け後は一気に気温が上昇し、地域によっては40℃を超える日もありました。また、適度に雨が降ったため、雑草が昨年より大きく育っており、雑草対策は大きな課題になっていると想像できます。

遊休地などの土地に太陽光発電システムを設置した野立て案件での雑草対策においては、草刈りを行っていらっしゃる企業様が多いですが、35℃以上の猛暑日が続く夏場の草刈り作業は、熱中症や怪我につながる可能性が高く、リスクを伴います。

当社が推奨する長期持続型除草剤「ネコソギメガ粒剤」は、雑草が生える前から生え始めに散布することで長期間(約6ヵ月間)雑草の発生を抑えることができますので、ぜひ除草剤の導入をご検討ください。


対談を終えて


長期にわたる発電所の期中管理においては、発電量・売電収益を左右する雑草対策も重要な要素であり、事業運営に欠かせない植生管理は、除草剤の活用で効率化・コスト削減を図ることができる、と分かりました。

地域との共生が求められる発電所運営には、電気設備などの予防的なメンテナンスはもちろんのこと、発電所の周辺も含めた管理状態が、周囲への印象・景観の良し悪しに繋がっていきますので、近隣の不安を煽る要素とならないよう、手入れの頻度などにも気を配る必要がありますね。

そのための植生管理においては、除草剤を適切な時期に用いることで雑草の成長を抑制し、費用対効果を高めることができますので、プラン策定の際、草刈りに限らず除草剤活用も視野に、発電所ごとの制約や昨今の異常気象など変化に合わせて見直す必要がありそうです。

おわりに


今回の記事はいかがだったでしょうか?今後も発電所の事業運営に役立つ話題をお届けし、再エネに携わる皆さまと共に、産業を盛り上げていければと思います!

次回、9月はTMEICさまをゲストにお迎えし「発電所の台風対策」に関する対談を予定しています。


お楽しみに!!!


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