アネモネ2
2章
美子の家。アパート暮らしをしている。
美子:ただいま〜。っていっても誰もいないよね。
テレビをつける。お酒のCMが流れてきた。
美子:ダメダメ。何考えてるの。でも、、。
いや、そんなこと忘れてご飯の支度しよう。
美子はテレビを消してご飯の支度を始めた。
すると必要な調味料がないことに気がついた。
美子:買い物行くか。
美子はスーパーに行った。買うものは調味料のみだったが、
美子:あ、これさっきCMで流れてた、、
美子の手が伸びて次の瞬間にはカゴにお酒が入っていた。
帰宅した美子はすぐさまお酒を飲み始めた。
美子:やっぱりこれなのよ!!!ああ(飲んでる)
もっと、ほしい、どこにある?
美子の断酒は10日間で終わってしまった。
美子:買いに行きたい、買いに行きたい、行くんだ!!
美子はお金を握りしめてお酒を買い求めにいく。
美子:はぁ、はぁ、どこ!?酒はどこよ??
少しだけだから、許して。
その後美子は持ってきたお金がなくなるまで酒を買い、家に帰った。
美子:これがないと、私、むり。
美子の飲む速度はどんどんあがり、もう制御できなくなった。
3章
明日香:今日はまた斉藤さんが来る日ですね!
大橋:野口さん、しっかり斉藤さんの様子を見るんだ。
明日香:分かりました。
美子が前回とはちがった様子で入ってくる。
美子:大橋さん、ごめん、私、飲んじゃった、CM流れてるのみて、それで、、
大橋:斉藤さん、僕に謝られてもどうすることもできないんですよ。
美子:分かってますけど、でも、うう、ごめんなさい。やめられなくて、うう、ごめんなさい。
大橋:斉藤さん、ほら語り合いいきますよ。野口さん一緒にいってください。
明日香は美子の様子に戸惑いながらも
明日香:はい、、!
語り合いの部屋へ移動中
美子:がっかりでしょ、こんな姿見て。
明日香:いえ。
美子:いいのよ、弱い人間って思ってもらって。どうせ、弱いんだから。
明日香:弱いだなんて思いません。
美子:みんなそういうから。弱いんじゃなくて病気だって。
明日香は何もいえなくなる。無言のまま語り合いの部屋へ行った。
美子:私、また飲んじゃった。ダメよね。気持ちが弱い。これじゃ一生、ああ、ごめんなさい、ごめん、(泣いて話せなくなる)
A:大丈夫、私もそういうことあったから。
B:みんなギリギリなところで生きてると、思う。
明日香は様子を見ながら、戸惑いをやはり隠せなかった。
語り合いが終わり移動中に明日香は美子の話をただただ聞くことしかできなかった
美子:所詮弱いから私。やめられないのは私のせい。野口さんもそう思ってるでしょ。
明日香:私はそんなことは、
美子:うそ。さっきから様子変だもの。ひくよね。ひくよ。でもお酒がないと私生きていけない。むりなの。(また泣き始める)
明日香:斉藤さん、とりあえず休憩しましょ。
美子:うん。
明日香は美子を見届けたあと、大橋のもとへ向かった。
明日香:施設長、斉藤さん、どうしてあんなことに?
大橋:野口さん、あれが現実だ、ここに来る人たちの。もちろんどんどん回復して、断酒できてる人もいる。ただ、斉藤さんのようによくなってきたと思ったらまたぶり返す人もいるんだ。
斉藤さん、今回は随分早かったな。
明日香:そうなんですね、、。私、ここに来る人たちは自分の意志で、
大橋:みんな意志はあるんだ。だけど、難しいんだ。それくらいアルコール依存症は難しいんだ。
明日香:斉藤さんこの後どうなるんですか?
大橋:このままの状態が続くと、入院かもしれない。今の斉藤さんはそれくらい危険な状態だってことを野口さんも知っておいてほしい。
明日香:ご家族の方は?
大橋:野口さん。その話は斉藤さんが帰ってから話してもいいかな?色々複雑でね。
明日香:分かりました。とりあえず午後の時間行ってきます!
大橋は複雑そうな目で明日香の後ろ姿を見つめた。果たして彼女にあの現実を受け入れられるのかと。
美子は午後の時間も落ち着きがない様子で過ごしていた。帰り際、美子が誰かに伝わってほしいような口ぶりで、
美子:私次こそはちゃんととめますから。あそこにだけは戻りたくない。お願い、お願いですから。
大橋:斉藤さん。今日のことはご家族にも話します。あなたは今それくらい危険な状態だということを忘れないでください。
美子:お願い、あそこにだけは行きたくないから。それだけはやめて、お願い。
大橋:そのこともいいますから。
美子は不安気な様子で帰っていった。
明日香:施設長、斉藤さんってご家族いるんですね、!
大橋:一応いるよ。この後スタッフルームで話そうか。
明日香:分かりました。
程なくして、大橋と明日香はスタッフルームで話し始めた。
大橋:これから斉藤さんのことを話すけど、個人情報だから周りの人にはいわないことを約束してほしい。
明日香:分かってます。
大橋:斉藤さんに家族はいる。ただ、長い間別居中の。
明日香:え?
大橋:旦那さんと娘さんがいる。だけど、斉藤さんがアルコール依存症になってから別居してるんだ。
明日香:悪影響を及ぼすからですか?
大橋:それもある。でも、もう少し単純で残酷なことが理由だよ。
斉藤さん一度入院して治療受けたことあるんだ。でも、
明日香:再発して、家族はそれで信じられなくなったってことですか?
大橋:そうだよ。特に娘さんはかなりショックを受けたみたいで、再発してからほとんど斉藤さんと会ってない。
明日香:、、、。
大橋:離婚こそしてないものの、斉藤さんが本当にアルコールを断ち切れるまで別居という形をとってる。斉藤さんもその日が来るのを目標にしてる。でもなかなか難しい。それがアルコール依存症なんだ。
明日香:斉藤さんは今の自分の状態わかってるんですか?
大橋:正直分かりきってはいないと思う。
明日香:そうですか、、、
大橋:野口さん。残酷だけどこれも事実なんだ。
明日香:はい。
大橋:僕から斉藤さんの家族には連絡しておく。何かあった時は連絡してほしいといわれてるから。家族も待ってるんだ、いつか斉藤さんが完全にアルコールを断ち切る日を。
明日香:分かりました。
明日香の日記
4月16日
正直これが現実だと受け入れるのに時間がかかる。こんなにも大変だなんて。ある程度覚悟はしてたけど、私まで少し裏切られたような気分になった。家族の人の気持ちがよくわかる。でもあの家族少し優しすぎる、裏切られたなら離婚したっていいのに。私今後ここでやっていけるだろうか。
少し長くなりましたが、美子さんの実態はなかなか厳しいものです🥲
明日香はここからどう向き合っていくのかも注目してもらえればと思います。(3へ続く)
前回までの記事が読めてない方はこちらから!