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永遠の眠り、真実の愛

わたしはベッドが大好き。休みの日は大体ベッドにいる。ベッドとトイレの往復。怠惰の極み。そんな大好きなベッドだが、悲しいことにわたしとの相性が悪い。いや、もっとちゃんと言うとマットレスとわたしの腰の相性が悪い。

気付けば中学生の頃には腰痛に悩まされ、高校生でギックリ腰、社会人になってからは歩くのもやっとになったこともある。ここ最近気付いたのだけれど、どうやら寝て起きた後の腰が一番ぐちゃぐちゃだ。

起き上がる時には「イタタタタタ」洗顔するために屈む時にも「イタタタタタ」靴下を履く時にも「イタタタタタ」毎朝「イタタタタタ行進曲」を奏でながら家中を歩き回る。ちなみにくしゃみの姿勢を間違えると、本気で歩けなくなるので毎度命懸けだ。


耐えきれなくなったわたしは、縋る想いでネットを開いた。

そう、トゥルースリーパー。


どうやらトゥルースリーパーなるマットレスはすごいらしい。腰痛持ちも、寝起きにスッと起き上がれるし、夜中に目が覚めていた人も朝まで快眠。右手からは炎、左手には氷が出せるようになり、片想い中のあの子も思わず振り返ってしまう魔法のようなマットレスなのだ。

そして魔法のような値段設定。いつだって割引中。詳しい値段は忘れたけど、なんか半額くらいで買った気がする。人々を安眠へ導く上にお財布事情も考慮できる、素晴らしいマットレス!(割引されても別にめちゃくちゃ安いわけではない)

あみんも驚く待ちの姿勢を見せて、ついに届いたトゥルースリーパー。だってもう名前がトゥルースリーパーって。企業の自信が名前に満ち溢れている。今までの睡眠は偽物だったって言うのかよ!

早速ベッドに設置。(専用のカバーみたいなのついてきたけど、わたしは元々のマットレスの上に置いて、元々敷いてたボックスカバーをかぶせた。)

トゥルースリーパーは低反発で柔らかく、寝た感じはめちゃくちゃ気持ちいい。身体に合わせてマットが沈むので包まれているような感覚。雲に乗れたらきっとこんな感じだろう。死んだのかと思うくらいだった。こいつは期待大だ!と翌朝を楽しみに寝た。


全然痛い。毎朝奏でるイタタタタタ行進曲はとまらない。え?話とちゃいますやん?と思いながらも、まあ腰痛を治してくれるわけじゃないし、生理前もあっていつも以上に腰痛いし、と自分に言い聞かせた。誰だって初めからうまくいくわけがないのだ。うまくやれるように先輩がフォローしてやらねば。大丈夫だよ、トゥルースリーパーくん。これからこれから!分かんないこととかあったら何でも聞いてね!


それから何ヶ月か経つが、未だに効果は実感できていない。夜中に目は覚めるし、朝は相変わらず腰痛いし。

そんな折に、お布団を販売している友人から「イベントをやるので来てくれないか」とのお誘い。そんなもんは集客してナンボなので、お手伝いのつもりで行くことにした。


友人とお喋りして帰ろうなんて思っていたけど、わたしにあうお布団を見繕ってくれると言うので「どれ、物は試し」とお願いすることに。なんか不思議な道具で寝ている時にどこに体重がかかっているのかを見てくれる。

どうやらわたしはものすごく反り腰みたいだった。綺麗に重みが分散されている図と比べると、わたしの図は尾骶骨あたりに重みが一点集中していた。身体の歪みがメンヘラ決め込んで、腰に依存しすぎているようだ。このままではそのうち腰も限界がきて、ストロングをストローでキメてしまう。大丈夫そ?

友人に、こういう場合はどのようなマットを使えばいいのか?と聞いたところ、「硬すぎもダメだけど、柔らかすぎもダメ。中間あたりがいいね」とのこと。

いや、トゥルースリーパーめちゃくちゃ柔らかいねん。超低反発。ふわふわとろとろだよ。オムライスだったらめちゃくちゃ美味しいよ。半熟オムレツを割るタイプのオムライス。なんだよ、トゥルースリーパーじゃダメなのかよ。トゥルースリーパーでは幸せになれないのかよ。でも、トゥルースリーパーは悪くないもんね、悪いのはわたし…。

でもまあ、高かったし、症状悪化しているわけでもないし、寝た感じがいいことには変わりないし。変わらず相性はあまりよくないけど、都合の良いマットとして今もずぶずぶの関係です。いざとなればトゥルースリーパー外して、元のマットと(で)寝ればいいし。キープがいると心の余裕がありますね。わたし、いつでも乗り換えられるから。

ちゃんと身体のことを把握して使用する分にはとても素晴らしい商品だと思うので、きっと馬が合う方もいらっしゃると思います。コイツ慣れたらすげえいい奴だし、まあ仲良くしてやってよ。

そしてわたしは幸せになれないと分かりながら、今日もトゥルースリーパーと(で)寝るのです。彼の腕の中で真実の愛(身体にあったマットレス)を探しながら。そう、さながらジュディ・オング。トゥルースリーパーの広告に魅せられた時点で、わたしはもう負けていたのかもしれません。


まあ総括して医者行けよって話なんですけどね。