38 死を知ることは愛を知ること
私は、娘が死んでしまうまで、死について真剣に考えたことがありませんでした。子供の頃に母親が自分を置き去りにしていなくなる夢を見て、悲しくて泣きながら起きた記憶がありますが、子どもにとって親の死は生命に関わることですから、本能的に恐怖をおぼえ、死を考えないようにしたのかもしれません。
そんな私の身に起こった、ある日突然娘が死んでしまうという体験は、いつか人は必ず死ぬという事実を強烈に突きつけました。怖いものを見たくないがために、あたかも死が存在しないかのように、いつまでも生きる設定で人生の半分を過ごしてきたことを深く後悔しました。
たしかに怖いものを見て見ぬふりをすることは、自分をその瞬間だけは救うかもしれません。でも人が死ぬという絶対的な摂理からは誰も逃れられないのです。しかも、その瞬間はいつ訪れるかわからず、平均寿命まで生きる保証などどこにもありません。私の場合、その事実を知ったのが、大切な娘が死んだ時でした。ごまかしようのないショッキングな出来事は、娘が死から目をそらさないように教えてくれているかのようでした。
考えてみれば、死という命の期限を忘れて生きることは、怖さから逃げられるかもしれませんが、それは幸せなようでいて、自分の人生から目を背けているのと同じです。いつまでも命が続くと勘違いして生きていたら、自分のことは後回しにして、伝えたい愛の言葉もいつか言おうと思って先延ばしにしてしまいます。ひらめいたアイデアも、今やらなくても後で余分な時間ができてからにしようなどと悠長に構えていたら、結局忘れるのがオチです。
一方、目の前にいる人がもしかしたら明日死んでしまうかもしれないと思えるならば、今できるかぎりの精一杯の愛を注げますし、自分が明日死んでしまうとしたら、世間にあふれる情報など気にせず、家族や友人にありったけの感謝をして、やりたかったことを今日やれるだけやるはずです。
「人はいつ死ぬかわからない」と知った私は、自分にも家族にも、また出会う全ての人に対して、常に後悔することがないように接するようになりました。今を逃したらもう後がないかもしれないと思えることは、一瞬一瞬を大事に生きる自分にしてくれました。死を知ることは、自分の精一杯の愛を表現するきっかけになったのです。それからもう一つ、娘の死によって私に変化がありました。
それは、死ぬことがちょっと楽しみになったことです。もちろんこの世にも娘が二人いますから、この世も大切な場所ですが、もしも死んだとしても、長女が待っていてくれるなら、あの世に行くのも楽しみなのです。生きても幸せ、死んでも幸せだと思えるようになって、気付けば、死は怖いものではなくなっていました。
同時に死が怖くなくなると、何も怖いものがなくなることを発見しました。これは意外な副産物でした。全ての恐怖は、死の恐怖に繋がっているのだと思います。たとえば孤独や病気、金銭的な不安や、はたまた絶叫アトラクションなど。それらはなぜ怖いかといえば、死を連想させ、その死を怖がっているからです。
怖いものがなくなると、なんでもできてしまいます。孤独になってもいいやと思えれば、なんでも発言できますし、病気になってもいいやと思えれば、寝る時間も食べ物も好きなようにできますし、貧しくなってもいいやと思うと見栄のためより、自分が満たされるお金の使い方ができますし、怖い場所に行くことだってできます。なにより失敗が怖くないので、やりたいことに素直に挑戦できるのです。
そうなるともう、自分で自分をどうこうするというより、思いついたままに生きて、あとは神様にお任せです。自分を生きているのですが、思いつくままの自分を脳で制御しないので、誰かに動かされているかのような、謎の安心感があるのです。死も恐れない自暴自棄ともとれる自分になれたことは、川の流れに任せて流れる木の葉のように、楽に人生を進める方法があることを教えてくれました。
人は必ず死ぬということを認識させてくれた娘の死は、私の人生を充実させ、恐れることなく自分の生きる道を進んでいける力を授けてくれたのです。しかも私は強がりのビビリなので、人がいつ死ぬかわからないと知ったところで、それだけでは死の恐怖のために、不安で行動ができなかったと思いますが、娘があの世にいるなら、死ぬことも楽しみにして、安心して好きなことができるのです。娘が私の目を覚まし、行動力を授けてくれたとしか思えません。毎日を感謝して生きられる人生はとても幸せです。感謝!
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