マガジンのカバー画像

オリジナル小説

87
SF多めです。
運営しているクリエイター

#短編小説

恋愛小説家【短編小説/ネムキ】

「……れんあい」  と、ぼくはオウム返しに言った。  ノートパソコンの液晶モニターの向こう…

67

変身

 フローリングの上にゆったりととぐろを巻いている蛇。  鱗の色合いはベージュの地に、焦茶…

70

一冊の本を埋める。【#シロクマ文芸部】

 一冊の本を埋める。  自宅の郵便受けに娘からの手紙を見つけると、僕の頭の中にいつもその…

75

いやはての集いの場所に【短編小説/ネムキ】

「うそ、これ頼んでないよ、どうしたの……!」  思わずリカがこう口走ったのは、大きすぎる…

60

雨催い【短編小説】

 男は、いまにも雨粒が降ってきそうな雲のした、湿った空気がぎっしり詰まった隙間をかき分け…

104

世界の終わり【短編/加筆修正版】

「……明日、世界が終わる?ほんとに?」  世界が終わるってどういう意味?地球に隕石がぶつ…

43

きんいろの結晶【#あなたとピリカ(金)】

あなたとピリカ【金】紫乃さん作 ※前半……紫乃さん 後半……闇カラス 《前半》 校庭から、ウオーミングアップを終えた部員たちが、トラックを走り始めた声が聴こえてくる。 僕は、数Ⅲの問題集から目を上げ、窓を見つめた。 此処から見えるのはどんよりとした銀鼠ぎんねずの空、そして、ほとんど裸同然の銀杏いちょうの枝先。 ただ、一番手前、僕に近い銀杏のてっぺんにある、数枚の黄金こがねの葉が突然目に入って来た。 時折吹く風に、今にも負けて、散ってしまいそうな黄金の葉。 何だか僕みた

【かがり火は消えるか?/企画小説/まとめ】

 【A】  果てのない深い夜の中。遥か上空の暗い彼方からあたりいちめん吹きつける風のゴウ…

51

首と僕【SF短編小説】

 僕の彼女が車に轢かれた。  という連絡が、僕の携帯端末に届いたとき、僕は次の企画のため…

86

メタモルフォーゼ【SF短編小説】

 高校のときに付き合っていた彼女を親友に奪われた。  その親友……いや元親友の、晴翔から…

84

ラビリンス【掌編小説:カラスver】

 小さな息子は、ひとりぼっちで泣いているに違いない。  早く帰ってあげないと、と気持ちは…

53

ひとを呪わば【短編小説】

 ヒロインは、古びた木製の引き出しの鍵穴に、真鍮の鍵を差し込んで回す。鍵はかちりと小さな…

83

羽根が降る駅で〜空中庭園2〜【短編小説】

 イライラとかヤキモキって言葉は擬音語だろうか、それとも擬態語……と、あえてどうでもいい…

45

ななこの葬送【短編小説】

「これありがとう。家宝にするわ。マジで」  狛馬は手に持った本を掲げた。但野は穏やかに微笑んだ。 「狛馬さんはそう言ってくれるだろうって思ってましたよ」  狛馬は狭い会議室のドアを開け、但野を廊下へと通した。二人はそれ以上言葉を交わすことなくその場で別れた。  但野は雑誌や本がそこここに積まれたフロアの端を歩いて編集部の出口へと向かう。そこに並べられた机にはどれも、漫画雑誌や本がぎっしりとひしめき、隙間を埋めるようにキャラクターグッズが飾られて、机の上には紙束の詰まった封筒