女の朝パート10
5月14日火曜日。
今日の天気は雨。
女は、電車を乗り継いで今日の第一目的地である南大沢駅に到着した。
無事に到着出来た時、女は自分の顔が僅かに綻んだ気がした。
一瞬ではあるものの、幸先が良い1日になる気がし、心が、少し弾んだ。
改札口を出ると女は更に心が弾んだ。
正直爆発しそうだった。
その時ばかりは、
不安や驚き、喜びや憂いみたいな気持ちが同時に押し寄せるものの、
女は、目の前に、いないものを、信じる事にし、黙殺することにした。
暗転。
改札口を出ると女の目に思わぬ風景が飛び込んできた。
マジかぁ!
ため息とも思われるような声だったに違いないが、
本当は形振り構わず叫びたかったに違いない。
天を仰ぎ、神様仏様スタバ様。
瞳を潤しながら、何が何でも今、本当にありがとうと、伝えなければならないと思ったに違いない。
しかし女は我慢をした模様。
暗転。
女は、自分の中で勃発している心の内をひた隠しにしなければならない気がした。
しかし、身体は正直だった。
傘をさすのも忘れ自分が何者であるかもわすれ、
歩みを薦めた。
暗転。
数秒後、おんなは座っていた。
南大沢駅の目の前にあるスタバの椅子に。
何故、南大沢のスタバにいるのだろう?
暗転
時刻は10時45分。
女は、スタバの椅子に座るとまず時計を見る。
良く見ると、いつもの時計ではなかった。
暫く、女の気持ちになって考えてみたが、
正直、どうでも良かった。
きっと、今流行りのスマートウォッチと言うやつに違いない。
暗転。
女は、スタバに来た女が写メを撮ることを知っていた。
女は、今日南大沢駅の近くにあるスタバにいる。
世の中には予想もつかないような珍しいこともあるのねと想いながらも、
女は、その後に続く言葉が見つからなかった。
暗転
時は過ぎ、
立川に移動してきた女は、とりあえず写メをとった。
女の、目の奥にある輝きがいつもと違っていたと思った。
南大沢で何があったのだろう?
完